二次創作小説(紙ほか)

Re: 【マギ】光と影−日常事件帳−コメ&リク募集 ( No.193 )
日時: 2014/06/22 17:44
名前: リーフ (ID: O72/xQMk)

46話(ピスティの場合)

「なーんて事があったの!!本当に王ったら…!!」
「へえぇぇ、シンドバッド様、見境ないもんねえ!」
「そんな事があるのですね…。」
「災難だったな。」

シンドリア王宮中庭。そこには四人掛けのテーブルとイスが4組おいてあり、多くの人間が休憩時間に使用する。とはいえこの常夏の島国でわざわざ毎日外で食事や休憩を取ろうとは思わないだろう。このセットは大体置物と化している。
そんな中庭で騒ぐ女性たちの声。ヤムライハ、ピスティ、モルジアナ、ノエルが、冷たい飲み物と菓子を持ち寄り女子会なるものを開いていた。企画者はピスティだ。一番遠慮したモルジアナも、現在は師匠であるマスルールが王であるシンドバッドと視察に同行しているため参加した。

「でもでも、ヤムはまだいい方だと思うなー。」
「え…まさかピスティ、アンタ手出されたの!!?」
「うぇ? うーん…まあ、半分っ?」

てへっと可愛らしく小首を傾げ、ピスティはとある宴の事を語った。

***

状況はヤムライハの時と変わらず、その日の宴でもほとんどの人間は泥酔していた。だが、出来上がっていたのはピスティも同じ。

「ふみやあぁぁ…ねむーい…。早くお部屋戻ろうっと…あれ?」

ピスティはゆるゆると足を止め、目を見開く。眠気も吹き飛ぶというものだ。
そこにうつ伏せで、敬愛する主君が倒れていれば。

「えっえええええ王様ああああ!!!!???どーしたんですかあっ」
「ん………ぐう…。」
「ね、寝てる…の?」

ごろんとひっくり返したその顔は穏やかで、気持ち良さそうないびきが
ピスティの耳を流れていく。こんなことだろうとは思っていたが、さすがのピスティも呆れてしまった。

「もー、びっくりした…王様、シンドバッド様!!ジャーファルさんに怒られちゃいますよー!!」
「ん…もう少し寝かせてくれ…。」
「おーうーさーまー!…もうっ、ピスティちゃん知りませんからね!」

頬をぺちぺちと叩くが寝ぼけているシンドバッドを放置し、ピスティはおもむろに立ち上がる。…と、そこで不幸が起きた。

「お、っとと…きゃあ!?」

ただでさえほろ酔いだったピスティの足元はふらつき、その白い腕が傍にあった机にぶつかった。それだけならまだしも…。
バシャッという音と共に、コップ一杯の水がシンドバッドの顔面に降り注いだ。

「うおっ!?」
「ひゃあっ!!ご、ごめんなさい〜っ!!」
「ん、いやいや、これくらい気にしなくていい。」
「えっと、お召し物は濡れてないですね。今タオルを…。」
「あぁ待ってくれ。」

走り出したピスティを呼び止め、こっちに来いと手招きする。疑問を抱えつつ傍によると、その逞しい腕に引き寄せられあっという間に抱き込まれてしまった。
どうやらシンドバッド。目は覚めても酔いは醒めなかったようである。

「そう慌てなくても…冷えた俺を温めてくれないか、お嬢さん?」
「え、え……えええええええ!!!!!????」

その後、通りかかったスパルトスが真っ赤な顔でピスティを救いだし、同じく通りかかったジャーファルが真っ赤な顔で主君を殴り飛ばしたという。