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二次創作小説(紙ほか)
- 12話 ( No.32 )
- 日時: 2014/01/27 23:29
- 名前: リーフ (ID: O72/xQMk)
12話
いきなり敵視したことを詫びるジャーファルをノエルが落ち着かせ、二人は互いに自己紹介をした。
ジャーファルはシンドリアの政務官長であり、八人将である事を。
ノエルは旅人であり、ジャーファルを助けたのは自分だという事を。
「そうですか。妹さんを追って…」
「ああ。何処にいるかわからず、その上悪行をしている愚妹だが…私が彼女を止める。そう決めた」
その眼には、尋常ではなく強い意志が宿っている。
ここまでの彼女とのやり取りで、彼女が賢く、また手練れであることにジャーファルは気が付いた。旅の荷物から見ても、効率よく行動してきたようだ。
また彼女は、海水に濡れたジャーファルの錘までも、真水で洗い保管しておいてくれていた。
「それにしてもノエル殿…本当に感謝しています」
「はは、ノエルでいい。それに、これは私のお節介だよ」
感謝を示しシンドリア式の礼法で指を組み、頭を下げる。ジャーファルの体の至る所にある傷には麻痺薬が塗られており、動かせるのはまだ上半身だけだったが、頭も下げた。
そしてノエルもまた、こちらこそと珍しい礼法を示した。
それは指を外ではなく内に組み、拳を握らずに胸に広げるというもの。
「珍しいか?祖国の礼法でな」
「…見たことがありませんね。あの、失礼ですがノエル—」
貴女はどこの出身なのか。なぜ妹を追っているのか。そして…リリィという女性を知っているか。
尋ねようとしたジャーファルと聞こうとしたノエルの耳に、2人分の足音が聞こえてきた。
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