二次創作小説(紙ほか)

Re: 【マギ】光と影−日常事件帳− ( No.33 )
日時: 2014/02/05 18:11
名前: リーフ (ID: O72/xQMk)

13話


暗い洞窟で、迷いもなく進む足音。数秒後、2人の人間が、ノエルとジャーファルの前に顔を見せた。

「何者だ?」
「あ…!」

燃えるような赤髪。吊り上がった眼。強靭な筋肉を持つ肉体。
よく似た外見を持つ男女が、そこにいた。

「………いた」
「マスルール!それに、モルジアナも!!」
「大丈夫ですか、ジャーファルさん」

そう。そこに現れたのは、ジャーファルの捜索をしていたモルジアナとマスルール。二人のファナリスである。
手足に包帯を巻かれ布の上に身体を半分起こしているという状態のジャーファル、さらに傍にいる女性—ノエルを認め、モルジアナはあっと身を固くしたが、マスルールはちらりと一瞥をよこし、すぐにジャーファルに駆け寄った。

「…大丈夫っスか」
「マスルール、君がいるってことは…」
「っス。シンさん、もう帰国してますよ」

そのセリフを訊き、ジャーファルは苦くも安心したように微笑んだ。

「ジャーファルさん、立てますか?」
「ああ、それなんだけど…」

麻痺薬が効いていることを伝えようとしたジャーファルのセリフを遮り、美しいアルトが洞窟内に響く。

「おい、彼は歩けん。痛みどめがあと数時間は効いているからな」
「痛み止め…?それより、貴方はどなたですか?」

腕の構えは説きつつも、未だ警戒した視線を送り続けて、モルジアナが問う。
ノエルもまた、モルジアナとマスルールの二人を一瞥し続けた。

「私はノエル。旅人だ。彼—ジャーファルを介抱したのは私だ」
「ジャーファルさんを?」
「本当ですよ、モルジアナ」

穏やかに微笑んで見せるジャーファルを見て、モルジアナは、今度は警戒を解いた瞳でノエルを見た。
その視線を受けてから、ノエルはゆるりとマスルールを振り返る。

「で?さしずめ貴方は、彼を探しに来たのだろう。どうする?王宮に同行する必要があるならするが」
「…ああ。そうしてもらう」
「了解した」

説明する気があったのか否か。マスルールはジャーファルをひょいっと抱え上げ、モルジアナを見た。

「モルジアナ。彼女を任せる」
「はい。私もすぐ王宮へ行きます」
「ああ」

降ろせだの、せめておんぶにしろだの恥ずかしがるジャーファルをそのまま抱え上げ、マスルールは洞窟を出る。
それを見届け、

「では、あの…ノエルさん」
「ああ、荷物をまとめたほうがいいのか?」
「はい。お手伝いします」

ノエルもまた、シンドリア王宮に出向くこととなった。