二次創作小説(紙ほか)
- Re: 【マギ】光と影−日常事件帳−アイデア募集中 ( No.39 )
- 日時: 2014/02/11 18:20
- 名前: リーフ (ID: O72/xQMk)
15話
明け方だというのに、シンドリア王宮では大勢の人間が頭を目覚めさせていた。
いや、心が騒いでいたと言うのが正しい。その原因は、主に二つほど。
一つ。八人将ジャーファルが、全身麻痺という状態で王宮に運ばれたこと。
二つ。謎の美女、ノエルの来訪である。
「とりあえず、ジャーファルさんは絶対安静ッ!!」
というヤムライハの強制指示のもと、ジャーファルは今大人しく眠りについている。そしてその間、王をはじめとする重鎮たちによって行われたのが、ノエルの詮議だった。
今回彼女を見つけたのはモルジアナであり、彼女の仲間であるアラジンとアリババも同席した。
「うっわ、美人さんだね…!」
「おいピスティ。今はそういう場合か?」
「だってシャルー…。どうしたのヤム?」
「え?あ、うん…」
あとは王と食客の子供たちの登場を待つばかりという状況の中、既に席に着き大人しくしているノエルを見て、八人将の三人がひそひそと会話をする。その中でもヤムライハは、特別彼女を訝った眼で見ていた。
「ヤムライハ殿?」
スパルトスに問われ、彼女は眉間に皺を刻みつつ答えた。
「何だか、ね。…彼女のルフがおかしいのよ」
「おかしいって…おいまさか…!」
「ううん、黒ルフってわけじゃないの…でもなんだか…」
彼女は、何だかまるで…。そうヤムライハが口にしようとしたとき。
扉を開け、王と3人の食客。そして、任務から帰還したのであろうドラコーンが入ってきた。
「待たせたな」
『はっ』
王の登場に、八人将の7人が一斉に礼をとる。食客のアリババたちも席に着き…いや、そうではなかった。
一人だけ、席につかない人物がいたのだ。
「あ、あれ…?おい、アラジンっ!?」
「ちょ、アラジン君!?」
アリババとヤムライハが驚いて目線をずらすと、なんとアラジンはノエルの前に立っていた。
「お、おい。何やってんだ!?」
「……大丈夫だよアリババ君。ただ僕は、おねいさんに訊きたいことがあるんだ。」
「え?」
静まる広間に、美しいアルトが響く。
「…何かな、少年?」
「ええっと、そうだな…。じゃあまずは…」
少し小首をかしげると、アラジンはにこっと笑った。
これから詮議される相手に、にこっと笑いかけて言ったのだ。
「僕はアラジン!初めまして、おねいさん!」
「…ノエルだ。よろしくアラジン」
「うんっ!」
呆気にとられる大人たちの前で、アラジンは…無邪気なマギはさらに続ける。
「じゃあえっと…ノエルおねいさんは、何者なんだい?」
本当に無邪気に、第一の質問を繰り出した。