二次創作小説(紙ほか)

Re: 【マギ】光と影−日常事件帳−アイデア募集中 ( No.41 )
日時: 2014/02/17 16:54
名前: リーフ (ID: O72/xQMk)

17話

八芳星の輝く金属。それは迷宮攻略者の証。
偉大なる精霊ジンの宿る金属器。それを持つ物は、ダンジョンという死地から帰還を果たした、肉体精神ともに人並み外れた実力を持つ者であることの証明に他ならない。
王の器。迷宮攻略者。金属器使い。
様々な呼び方をされようと、彼、彼女たちが常識外れの力の持ち主であり、世界の命運にかかわる運命の者であることは必然。
故に、それが王の器であり。
それが、迷宮攻略者なのだ。

「そっか、おねいさん…迷宮攻略者なんだね」
「ああ。だが、君の探し物はこれではないようだな」

そして今、同じ迷宮攻略者であるアリババとシンドバッドの前に、もう一つの輝く八芳星がある。

「ほう、ノエル。君はいや…貴女は王族なのか?」

探るような眼で、しかし平坦にシンドバッドが問うた。
迷宮攻略者とは、魔力量や戦闘力のほかに、王となる素質も必要とされる。それゆえに、ただ運命に流されるしかない奴隷や、勇気のない平民などは、ジンが王に選ばないのだ。
選ばれた。それ即ち王族か、とてつもない運命の持ち主か。
シンドバッドの問いに、ノエルは静かに顔を向けた。

「王族…そういうあなたは、確か平民の生まれでは?」
「ほう、俺を知っているのかい、お嬢さん?」
「勿論。お会いできて光栄だ。伝説の迷宮攻略者にして七海の覇王。シンドバッド王よ」
「こちらこそ。…それで」

にこりと笑い先ほどの質問の答えを促すと、ノエルは小さく頷いた。

「王族…というほどでもないが、私は一族の長の娘だった。もともと一族だけで構成している国だったから、まあ姫といえば姫だったかもしれないな」

ちらりと八芳星の刻まれた腕輪を見、今度はアラジンを振り返る。

「アラジン、だったね。疑問は解決したか?」
「うぅーん…ねぇノエルさん。ノエルさんの故郷では、何か変わったことはなかったかい?」
「変わったこと、か?」
「うん。もしかしたら、ルフが寄らない理由はそれかも」

ふむ、と頷き、ノエルはほんの少しだけ口角をあげて見せる。
中々に美しい笑顔だ。

「私は魔導士ではないから詳しいことはわからんが…人と変わった力と
言えば…これかな?」

そう言うと、ノエルはアラジンの眼前に片手を掲げて見せた。