二次創作小説(紙ほか)
- Re: 【マギ】光と影−日常事件帳−アイデア募集中 ( No.47 )
- 日時: 2014/03/07 16:39
- 名前: リーフ (ID: O72/xQMk)
物語は章ごとですが、話数は継続させていただきます。
一章 影使いノエル
19話
ノエルがシンドリア王宮から一時保護を受けることになり、さらに兵の惨殺体が見つかった日…の、翌日の昼。
「…暑いな。さすがは南国。」
ノエルは藍色の短髪を南国の風になびかせ、王宮の廊下を歩いていた。
すれ違う文官が会釈をしてくれるので返すが、どちらも笑顔がぎこちない。
無理もないと思う。
傍目から見れば、大怪我で海に溺れていた八人将の一人を単身助けた美女である。怪しまれないほうがおかしい。
しかも、迷宮攻略者となれば尚更だ。
「まあ、ほんの一時だな…。」
ノエルは、見た目や外見年齢以上の知恵を持つ。それはすべて旅で学んだことだ。だが街暮らしにしか…否、旅というもの、ダンジョン攻略というものと縁のない常人にとって、ノエルという存在は少し異質だった。
まだ若いのに。本当に19か?
そんな声の籠った視線には慣れている。だから、別に嫌悪を覚えるほどではなかった。
「しかし…この格好は、なあ。」
ノエルは自身の服装を見直し、ふぅとため息をついた。
今のノエルは、シンドリア文官たちの着るシャツを一枚貰い受けていた。それに手を加えノースリーブにし、裾にも斜めに鋏を入れて、足回りの自由さを大幅にアップさせた。そのシャツの下に、胸から太ももくらいまでの長さのワンピースを着ている。海色のこれは私物だ。胸から上にはなく、背中で留められている。
足元を飾るのは機動性に長けた黒の編み上げサンダル。これは八人将のシャルルカンも、似たような物を使っているらしい。
動きやすさに関しては何の問題も文句もない、が。
南国で仕方がないものの、露出が多いのだ。
素足にサンダル。指先から肩。足も同じく太ももまで。
機動力と暑さ対策を講じた結果だが、ノエルは少し納得いかない。
というのも、それはノエルに、自分の容姿の美しさの自覚がないだけである。つまり、傍の男性から見ればありがたいほどの服装なのだ。
「やはり上からローブを…いや、それでは暑さ対策の意味がないし、何より動きにくい…。」
うぅんどうすれば…と悩むノエルに、近づく二つの足音があった。