二次創作小説(紙ほか)

Re: 【マギ】光と影−日常事件帳−コメ&ネタ募集 ( No.57 )
日時: 2014/03/21 18:11
名前: リーフ (ID: O72/xQMk)

24話

ノエルの実践が終わり、二人が席に着いたところでシンドバッドが質問した。

「影か。何とも不思議な力だが…それは何なんだ?」
「すまんが分からん」

怪訝そうな顔をしている全員を見回して、ノエルは力なく首を振る。手の上で出現させた影をくるくると変えながら言葉を紡ぐ。

「この力が何なのか、私にもわからない。同じ力が使える人物を私は一人しか知らないし、彼女と連絡を取る手段はないからな。」

彼女、同じ力、という言葉にジャーファルがピクリと反応するが、気付かずノエルは続ける。

「それに…私には、7歳から10歳、迷宮攻略前後、それから故郷を出て旅を始める前後の記憶が断片的にないんだ。」
「記憶喪失、という事ですか?」
「よく知ってるねモルジアナ。そうだ。だから私はこの力の事も、故郷の事もわからない。」

今のところはな。そうつぶやくノエルを、全員がじっと見つめた。
静寂の中、ジャーファルが沈黙を破る。

「ではあなたが旅をするのは、その力の謎を知るためですか?」
「いや。…まあそれもあるが、もう一つある。」

弄んでいた影を消滅させ、ノエルは居住まいを正した。

「ここからは、先日起きた事件についてなのだが…」

話題が急に身近になり、全員の表情が引き締まる。特に家族ともいえる国民を殺されたシンドバッドは、真剣な表情で先を促した。

「兵を殺したのとジャーファルが対戦した相手は、同一人物らしいと言っていたな。なら私には、犯人が推測できる。」
「……貴女の妹、リリィですか?」

驚きに目を見開く彼らに答えを言ったのは、ノエルではなくジャーファルだった。

「ジャーファル、お前っ…!?」
「ええシン。堂々と名乗られましたよ。顔もそっくりでしたしね。」
「なるほど、だから私の顔を見た時あんなに驚いたのか?」
「ええ。彼女の能力は貴女と同じようなものでしたし…正解ですか?」

ジャーファルの問いを頷いて肯定すると、ノエルはリリィについて話し始める。

「リリィ。いつ別れたのか覚えていないが、私の双子の妹だ。今は強い相手を好んで暗殺の依頼を引き受ける暗殺者。私は彼女を追って各地を転々としているが…なかなか足が速くて追いつけなくてな、どんな手を使っているのか知らんが。ちなみに彼女が操るのは光だ。」
「ええ。発光するナイフを乱射されました。」
「傷を見た時は懸念したが…裁いただけでもすごいぞ。」

ノエルの褒め言葉に軽く低頭し、ジャーファルは我が主シンドバッドを見やる。

「…わかった。リリィの狙いは…まあ俺だろうな」
「ああ、恐らく。」
「ではノエル。君はしばらくシンドリアに滞在する気はないか?」
「……いいのか?」
「もちろん歓迎する。旅の疲れを癒してほしいし…ヤムライハなら、君たちの力についても、何かわかるかもしれないからな。」

そうだろう、と声をかけると、ヤムライハは微笑んで頷いた。
そこでアラジンが、ぱっとノエルの手を取る。

「僕、ノエルさんの事もっと知りたいよ!!」
「アラジン…。」
「決まったようだな。」

ニッと笑うと、シンドバットは立ち上がり八人将に号令をかけた。

「国民への感謝を兼ねて、ノエル歓迎の宴を開く!準備してくれ!」

『仰せのままに、王よ!!』