二次創作小説(紙ほか)
- Re: 【マギ】光と影−日常事件帳−コメ&ネタ募集 ( No.74 )
- 日時: 2014/03/24 12:04
- 名前: リーフ (ID: O72/xQMk)
26話
タイトワンピの裾からはえる、すらりと伸びた両足。深い藍色の髪にかかる、薄黄色のベール。サンダルを脱いで現れた爪先は整い、造られたかのように美しい。
シンドバッドに言われて、あとから女中が持ってきた足環や首飾りなどを身に纏い、ノエルは舞台に上がる。
舞っていた踊り子たちが舞台を降り、ノエルだけのオンステージだ。国民は勿論の事、歓声を上げて拍手喝采である。
「ああ、なぜこんなことに…」
顔を赤らめ伏せているノエルに視線が集中し、楽器が奏でられ始める。それは偶然にも、ノエルが得意とし旅の途中で最も踊った舞曲だった。
最初はゆったり滑らかに、そして、次第に激しく細かく最後は速さに乗ってという曲調だった。
そして、舞が始まる。
滑らかに右腕、左腕を伸ばす。くるりと回り、ゆっくりと弧を描くように腕を回して…。
やがて太鼓と笛が演奏に加わり、次第に激しさを増していく。足は素早く細かいステップを刻み、手は各関節がせわしなく反される。
頭のヴェールがふわりと浮き、足環と腕輪についた金具が小さく音を立てた。回るたびに腰に何重にも巻いた薄布がほどけ、次第にスカートの様に広がっていく。
曲は最終楽章まで進み、フィナーレを示すかのように舞も速くなっていく。そこで、ノエルは一つの思い付きを実行した。
「あれ…?アリババくん、見て!!」
「ん?え、あれって…ノエルの!!?」
ゆっくりとだが確かにノエルの足元から黒い影が立ち上っていく。そしてそれは次第に背中へと集まっていった。
「何をする気でしょうか、ノエルさん…」
「さあ……?…あぁっ!!」
曲の終盤、最後の太鼓が打ち鳴らされるとともに、ノエルの背中に巨大な漆黒の翼が生える。
その様は、美しいヤタガラスのようだった。
『うおおおおおぉぉッ!!!!!』
「いいぞー、ねぇちゃん!!」
「素敵っ!!」
その後、国民の歓声はしばらく続いたという。