二次創作小説(紙ほか)
- Re: 【マギ】光と影−日常事件帳−コメ&ネタ募集 ( No.77 )
- 日時: 2014/03/26 12:57
- 名前: リーフ (ID: WUYVvI61)
27話
ノエルの舞に影響されてか、その後の宴では全員が好き勝手に踊りを始めていた。恋人、兄弟、夫婦…酔った勢いで肉屋と魚屋の主人というペアまでできている。
「おし!俺達も踊るぞ!」
「うんっ」
「はいっ、アリババさん!」
あの後続けて三曲ほど舞ったノエルはクタクタで、今は酒を飲みながら休憩している。ようやく疲れが取れてきた。
そんな自分に近づいてくる、ガシャガシャという金属音。現れたのは、八人将のスパルトスだ。
「楽しんでおられるか、ノエル殿。」
「あぁ、スパルトス。いやはは、楽しいがさすがに疲れたよ。」
「無理もあるまい。それにしても、先ほどは見事でした。」
ふわりとほほ笑んで褒められれば、誰だって悪い気はしない。お隣よろしいか、という問いに、ノエルは快く頷いた。
長椅子に腰かけ酒を飲むスパルトスをじっと見つめていると、何か?と声をかけられ率直に思っていたことを言った。
「豪奢な鎧だと思ってな。動きにくくはないのか?」
「まあ多少の不便はありますが。王の身を守るものです故。」
答えにそんなものなのかと頷き、次の質問をかける。
「スパルトスは踊らないのか?その鎧でも十分踊れるだろう?」
「あ、いえ…私はそのようなことは。」
「うん?確かに君の出身ササンは、教義に厳しい国だとは聞いている。だが、それは国外でも通ずるのか?」
「いいえ。これはあくまで私自身の問題でして…」
なるほど性格上の問題か、とノエルは推測する。恐らく彼の心の内には、国外であるシンドリアでもササンの教義が居座っているのだろう。
ふむ、と頷くと、ノエルは長机に酒杯を置いた。
「では、私と踊るか?」
「は、はい?」
「教義を厳守する必要がないのならいいだろう。それとも…女性の誘いを無下にするのは、教義に反さないと?」
「あ、ええとだなノエル殿…酔っていないか?」
「何を言う、そんなはずないだろう!」
嘘である。事実、ノエルは『自覚なしに』酔っていた。疲れて、しかも空腹の状態で飲んでしまったため、酔いの回りが早かったのだ。
頬を薄らと赤く染め、首をすくませて挑発する姿に、堕ちない男などいるのだろうか。
さあさあと言い寄るノエルに限界を感じ、踊れば気が鎮まるだろうと考え手を取ろうとしたスパルトスだったが…それはできなかった。
「え…………な!?」
「ん、う…んん…」
酔ったノエルはそのままスパルトスに雪崩れかかり、気が付いたときには眠っていた。要するに膝枕状態である。
自分の膝で寝てしまった美女を見ながら、呆れて長机に目を走らせた。
そこに、酒の空き瓶が転がっているのに気付く。
「ノエル殿…一杯だけかと思えば、瓶一本飲んでいたのか!」
「う〜…んぅ…」
どうやら思った以上の酒豪だったようだが、さすがに飲みすぎたというところだろう。スパルトスの膝の上で、猫のように丸まっている。
仕方なく、頭のヴェールを外して少し乱れた髪を梳いてやると、苦笑が漏れる。
それにしても、珍しい髪色だ。
「やれやれ…………はっ!?」
その時すでに遅しだが、スパルトスは気が付いた。自分を見つめる視線に。
「マジかよスパルトス…」
「うわぁノエルやるぅ!スパちゃんとられちゃったー」
「おぉスパルトス!ようやくその気になったんだな!」
そのあとスパルトスが、王と八人将にしばらく弄られ続けたのは言うまでもない。
***
すいません。スパルトスを困らせてみたかったんです!
ノエルは基本誰とでも交流を持つ女なので、皆さん嫉妬しないで見守ってください。