二次創作小説(紙ほか)

Re: 【マギ】光と影−日常事件帳−コメ&ネタ募集 ( No.95 )
日時: 2014/03/31 15:34
名前: リーフ (ID: O72/xQMk)

アイス様よりリクエスト!

#二章 極東大国の日常

29話

「ジュダルちゃんのっ………っバカーーーーーッ!!!!!!」

その日、朝からとある第八皇女の怒声が響いた。

***

シンドバッドと彼の護衛、シャルルカンやヒナホホたちは、現在時刻シンドリアを遠く離れて東の大陸にいた。
極東の大国、煌帝国。
睨み合いをしあっている七海連合と煌帝国だが、表向きには友好条約なるものを結んでいる。今回もいつも通り大きな問題もなく、彼らは船で自国へと帰還するところだった。
何人かの煌帝国兵、そして第二皇子である練紅明がシンドバッドを見送る。いがみ合う中でも、シンドバッドのほうがはるかに立場が上だ。

「今回もお互い収められてよかった。」
「本当に。今度は是非観光でいらしてくださいね。シンドリアほど観る所はないかもしれませんが。」
「そんな事はない。機会があれば是非。」

清々しくていっそ怖いくらいに、王と第二皇子は微笑みを交わす。口角は上り目は細められているが、心から言っているわけでは勿論ないだろう。
やがて部下が出港準備の完了を告げ、シンドリア勢が船に乗り込む。その時、思い出したように紅明が尋ねた。

「あぁ失礼シンドバッド王よ。我が国の神官をお見かけしては?」
「いや見かけていないが?」
「左様ですか…失礼しました。道中お気をつけて。」

煌帝国神官、ジュダル。
アラジンと同じマギだが、彼の場合は事情が違う。その心は深く闇に染まり、シンドバッドが、世界が敵とみなす組織の一員だ。
しかも彼の場合、シンドバッド個人に対してではあるが、度々戯れという名の傷害事件を仕掛けてきている。かなり複雑な関係なのだ。

「では、失礼する。」

何かあったのかと思いつつ、あの冷酷な少年が自分のいない自国に襲撃を仕掛けているのではと胸がざわつく。
複雑な気持ちで船に乗り込み、シンドバッドは船がスピードを上げていくのを感じながら懐からルフの瞳を取り出した。
ルフの瞳は、ヤムライハが開発した魔法道具で、顔を見ながら話ができる道具だ。通信距離はお互いの魔力量によって色々だが、幸いにも二人とも大陸の反対からでも通信できるほどの力の持ち主だ。

「…ヤムライハ、聞こえるか?」
《……おはようございます、王よ。外交は如何でしたか?》
「あぁ心配ない。国の様子はどうだ。」
《はい。今、紅玉姫が空中散歩をご所望しまして…アラジン君たちと一緒にあそこに…ああっ!!?》
「何だ、どうした!?」

その直後、ルフの瞳を通して聞こえてきた声に、シンドバッドは図らずも現在の状況を知ることになった。

《ジュダルちゃんのっ………っバカーーーーーッ!!!!!!》