二次創作小説(紙ほか)
- Re: 【マギ】光と影−日常事件帳−コメ&ネタ募集 ( No.98 )
- 日時: 2014/04/03 13:36
- 名前: リーフ (ID: O72/xQMk)
30話
南海の島国、シンドリア王国上空にて………。
「バカ!ジュダルちゃんの馬鹿!どうしてお友達に優しくできないのぉ!!?」
「はぁ!?こんなチビと泣き虫、友達なんかじゃねぇよ!…大体紅玉、バカ殿はいねぇんだし、帰るぞ!」
「いやよぉ、アリババちゃんがもっと綺麗な花冠の作り方を教えてくれるのよぉ?」
と、こんな具合に。
某侵略国家の第八皇女と神官の口喧嘩が繰り広げられていた。戦場となっているのはアラジンのターバンである。
「そもそもシンドバッド様は関係ないわぁ!ジュダルちゃんだけ帰ればいいじゃなぁい。」
「帰ったってヒマなんだよ。……おいチビ、ちょっと俺と遊べ!」
「え、えええぇっ!!?」
「安心しろ加減してやっから。島ぶっ壊すことはしねぇよ。」
「駄目よぉ、そんなことしたらシンドリアの皆さんにご迷惑だわ!ねっ、アリババちゃん?」
事が起きたのは今朝の事。小さな案件で外交に出向いた紅玉姫は、シンドリアに滞在していた。そこでアラジンたちが魔法のターバンに乗り空中散歩をしているのを見て、自分も参加したいと申し出たのだ。
この申し出を3人は受け入れ、空で駄弁っていた…のだが。
またというか何というか、ヤムライハの防御結界の命令式を弄り、ジュダルが不法入国してきたのである。
事態が事態なだけに、八人将が出ざるを得なかったが…一つ予想外なことが起きた。
アラジンとアリババに喧嘩を吹っ掛けたジュダルだが、なんと紅玉との口喧嘩に発展したのである。紅玉からすれば友人を悪く言われ許せなかったのだろうが、こうなれば兵たちは手を出せない。
相手が相手なだけに、王不在の中攻撃を仕掛けるなどできるはずもなく。結果王から国を任された政務官、ジャーファルの出した結論が。
「ひとまず、アラジンたちに任せましょう。」
だった。
賢明であり、英断である。
上空から聞こえる少年少女の言い合いに、ジャーファルは不謹慎さを自覚しながらも微笑ましく思い、同時に両国とのこれからについて考え頭を抱えた。
と、そこにかけられるアルトがあった。
「頭痛か?ジャーファルさん。」
「え、あぁ。ノエルでしたか。大丈夫ですよ。」
「ならいいが…あの三つ編みの青年はどなたか?」
「はい。彼はジュダルといって煌帝国の神官です。…我々の、シンドバッド王の敵。」
「ふぅん…ジュダル、か。………ッ?」
その時、チクリと何かがノエルの頭を刺激した。
いや、刺激されたのは記憶。何か、何かが見えそうな…。けれど思い出せなくて。
まるで、ここから先を見ては。ここから先を思い出しては
「…いけないような……?」
「ノエル?……ノエル?」
「っあ、あぁ何だ?如何したジャーファルさん。」
「それはこちらのセリフですよ。顔色が悪い。」
「はは、昨夜星を眺めていたら夜更かししてしまってな。」
笑って誤魔化すと、ジャーファルはまだ何か言いたそうだった口を閉じた。そして、もう一度上空を見た。
ノエルもつられて顔を上げる。
「……元気なものだな。」
口喧嘩はまだ続いているらしかった。