二次創作小説(紙ほか)
- Re: 【マギ】光と影−日常事件帳−コメ&ネタ募集 ( No.99 )
- 日時: 2014/04/05 14:03
- 名前: リーフ (ID: O72/xQMk)
31話
シンドリア上空。口喧嘩は終わりを見せず、逆に熾烈を極めていた。
「あーったく!!こんな泣き虫のどこがいいんだよババア!?」
「ば、ババア!?言ったわねジュダルちゃんっ。それに、アリババちゃんを悪く言ったら私、許さないんだからぁ!!」
「お、おい…落ち着けよお前ら。」
「アリババちゃん黙っててっ!!」
「泣き虫は黙ってろよッ!!」
「……………。」
喧嘩は終わらない。その情景を真下から眺めるシンドリア兵だが、聞こえてくる幼稚な言い合いに穏やかな苦笑を浮かべる者までいる。
「は〜ああぁぁぁぁああっ……ヤムライハ。」
「ふふ……はい。」
キリがないと判断したジャーファルが、ヤムライハに声をかける。彼女も同じく苦笑を浮かべて杖にまたがり、アラジンたちの元へ飛翔していった。
***
そのころ。極東の大国煌帝国。
「白龍、鍛錬中すみません。紅玉殿を見かけませんでしたか?」
「おや姉上。…そうか、姉上は2日前に帰還したばかりでしたね。紅玉義姉上は、ただいま外交で数日前からシンドリアに」
「シンドリア…そうでしたか。」
何か用事だろうかと白龍は姉の白瑛を見やる。すると、両手に何か持っているのに気が付いた。
「姉上、それは?」
「はい。紅玉殿に差し上げようかと。先日私の不注意で傷をつけてしまったので。」
これですと白瑛が見せてきたのは、暖色系の布が使われた布袋だった。西方から帰還してから部屋に籠っていた白瑛だが、どうやらこれを作っていたらしい。
「すごい!お上手ではありませんか姉上!」
「そうかしら。紅玉殿にも気に入って頂けるといいのだけれど。」
「大丈夫ですよ。それにしても、上手な巾着だなあ…」
「え………?」
ぴしりと白瑛の笑顔がひび割れたことに気が付かず、白龍は鍛錬に戻っていった。
呆けて立っていると、そこに声をかけられる。
「おや、白瑛殿。如何なされたのです?」
「これは…紅明殿。いえ、何でも…。」
「ん、持っていらっしゃるそれは…。」
ふと紅明も、白瑛の持つ布袋に気が付く。こうなれば白瑛の性格上、白を切るわけにはいかなかった。
「えぇ。先日私の不注意で、紅玉殿の物を傷つけてしまいまして。お詫びに送ろうと作ったのです。」
「これを白瑛殿が?…お上手ですね。ご趣味は裁縫だとか?」
「はい。」
袋を手に取り、世辞でなく褒めてから紅明はその場を後にした。だが、二人に褒められても当の本人の心境は複雑である。
「巾着、ですか…」
すっと自作の布袋に目をやり、はあ、とため息をつく。そして、誰にともなく呟いた。
「……財布に見えないかしら……?」