二次創作小説(紙ほか)

Re: 【カゲプロ】 キドとカノの約束 ( No.42 )
日時: 2014/04/09 21:03
名前: 木蓮 (ID: 1SUNyTaV)  


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朝、6時頃だろうか。
アジト中に今まで聞いたことも無いような高い悲鳴が上がる。

「きゃああああぁぁぁぁぁー!!!」

その声は…記憶の戻らないキドの部屋から聞こえた。

僕は急いでキドの元に駆けて行く。

まさか、記憶が戻ったのかな!?

途中、急ぎ過ぎておでこを擦ってしまったが、キドの為なんだ!と、言い訳をしようと考えてしまった。

部屋の扉を開くとそこには目に涙をためて、枕をぎゅっと抱いているキドがいた。

「どうしたの!?」

「あ、あの……む…」

敬語、ということは戻ってないのか…。僕は肩を落とす。

「…む?って何?」

するとキドはポロポロと泣き出した。と、同時に悲鳴を聞いたのかみんなが入ってくる。

「何があったんですか!?」

「まさか…カノが……?」

「い、いやいや、何で僕なのさ」

シンタロー君がじっとりとした目で僕のことを見た。

「ほら、なにキド泣かせてるんだよ…」

「もう!駄目じゃないですか」

「酷くない…?」

はて、キドに何か悪いことしたっけな?
いやいや!あった方がマズいでしょ。

すると、泣いていたキドが顔を上げて震えた声で言う。

「…そ、そこ…上に…虫が…」

指を指したのは、天井。
確かに小さな黒い物体がいる。

「ああ、ゴキブリね…」

「うわああぁぁぁ!!嫌だぁぁぁ!!!」

みんなは急に部屋を出ていってしまった。

キドは僕の手を握る。

…………握る?

「ああああ、あの、早く行きましょうよ…」

そりゃあ誰だって目覚めてすぐそこにゴキブリがいたら悲鳴のひとつくらい上げたくなるよね…。

僕はパジャマ姿のキドをゆっくりと部屋から連れ出した。

「ありがとうございます、え、と…カノさん?でしたよね」

「……あ!ああ、敬語禁止、あと『カノさん』じゃなくて『カノ』でいいよ」

「は、はい…」

とか言っておきながら結局は敬語なんだけど。
まぁ、慣れるまでは良いかな。

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セトの作ってくれた朝食を食べ終え、マリーがテレビをつけた。
やっていたのは、報道番組。

『昨晩、暴行と強制わいせつの容疑で、東京都に住む…………さんが逮捕されました』

画面に映しだされた男の写真は…

『容疑者は、今までに数回、犯行に及んだようで昨夜から取り調べを受けている様子です』

あのときの………

ガンッと鈍い音が部屋中に響き渡った。
隣を見ると、完全に意識を手放したキドが…横たわっている。

「……………キド?」

どうして幸せというのは、いつまでも続かないものなんだろう。

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