二次創作小説(紙ほか)
- Re: 散りゆく蘇芳色の灯 (銀魂) ( No.7 )
- 日時: 2014/03/31 20:31
- 名前: 花火 ◆Pt1jMZuGaQ (ID: Ma3wYmlW)
- プロフ: http://ameblo.jp/hanabi1010/entry-11809711384.html
弐
「ゴホッ、ゴホゴホッ」
花見の日から数日。俺は完全なる風邪というものにかかっていた。
熱自体はそこまで高くもなく、どちらかというと微熱だ。しかしそれが何日も何日も続いている。おまけに咳が出るもんだから、流石に土方の野郎に迷惑云々言われちまって、結局は療養状態だ。だけど野郎の言葉なんざ、どうせ俺の身体をいたわってのもんだろう。むかつくけど、アイツはそういうやつだ。
「、ゴホッ」
微熱だが、こうも毎日続かれると気が滅入る。早く外に出たいし、早く戦いたい。剣を振るえない日々が、こんなにも狂おしい程に惜しいものだとは思っていなかった。ブルリと寒気が襲ってきて、俺は布団を己の身にグルグルまいた。
「失礼します、沖田隊長」
「ザキ」
どこかぼーっとする頭を必死に働かせ、その名を呼ぶ。音もなく障子を開けて入ってきたザキの手には、水と薬、それにフルーツゼリーを乗せた茶色い丸型の盆がある。あ、うまそう。
「気分はどうですか?」
「俺ァピンピンしてらァ。ったく……土方のヤローが大げさすぎるだけなんでィ。今すぐにでも外に行って戦いたいぐれーだ」
「はいはい、それはその掠れ切った声を治してからにしましょう」
うっせェ。そう返したいが、また出てきた咳によりそれは為せなかった。ザキが慌てたかのように俺の名を呼び、盆をおいて急いで駆け寄ってくる。んなおおげさにすんなっての。
「っは……」
「…沖田隊長。そろそろ、病院に行った方がいいんじゃないですか?」
「はぁ?」
「松本先生にも、そう言われたんですよね?」
確かにそう言われた。こうも微熱が長続きしているのは明らかにおかしい。薬も毎日しっかり飲んでいるし、食事もできる限りの量をきっちり食している。そろそろ治ってもいい頃だというのに、治るどころか、咳が日々悪化していっている気がする。
だが、たかが微熱だ。たかが風邪なのだ。俺ァそろそろ本気で仕事に戻りたい。風邪なんかに負けているようでは、真選組一番隊隊長は務まらない。
「言われたけど、行く気はねェ」
「どうしてですか」
「だって、もう元気でィ」
「……はぁ」
ちょっ、コイツ、ザキのくせに思いっきりため息つきやがった。ザキのくせにすんげぇ呆れた顔しやがった。ザキのくせに。
薬と水、それにフルーツゼリーが乗った盆を自分の方に寄せると、俺ァザキを思いっきり蹴飛ばした。ドンガラガッシャンという音を立てて、ザキは俺の部屋を飛び出し、庭へと転がっていく。スパーンと強く障子を閉めると、沖田隊長ォォーと縋り付くような声が聞こえてきた。ザマァみやがれ、ザキのくせにでっけぇため息つきやがった罰だ。それに、伝染っちまったらテメーまで仕事できねぇだろうがよ。
「とりあえず……」
寝よう。寝て、ちょっとでも熱が下がってたら、仕事に戻ろう。そうしたらあのカタブツ土方も納得すんだろ。そう思って俺は薬を飲み、即座に眠りにおちた。
***
樹海様
コメント有難う御座います、樹海様!
お褒めの言葉、とっても嬉しいです! 更新力の源です(´∀`)!
本当に有難う御座います! 頑張ります!