二次創作小説(紙ほか)

Re: 【銀魂】はろー、幕府のお犬さま ( No.3 )
日時: 2014/08/07 18:17
名前: 春太郎 (ID: D7i.SwLm)

「あー、えっと。今回は、犯人逮捕にご協力ありがとうございました?」

「山崎、銃刀法違反も追加しとけ」

「漫画借りパクした罪も加えときなせェ」

「いや、だからちゃんと原ちゃんに返すって」










 第二訓【学校の図書室の本って、借りパクしても案外バレないらしい】










「この御時世に刀なんかぶら下げやがって」

「それ、鞘から抜けないんですよ。だから、玩具みたいなもんです」

「土方さん、この刀簡単に抜けやすぜィ」




 どうも、こんばんは。第一訓に出てた者です。
 そうです。犯人のナニを壊滅させた、あの人質です。

 あの後、腰にぶら下げていた刀が土方さんとかいう隊士に見つかり、事件の事情聴取という名目で真選組屯所に連れて来られました。



「いやいやまさか。今まで全く抜けなかったんですよー?」

「オイ。冷や汗半端ねェぞ」




 だって、本当に今まで抜けなかったんだもん。どうせ抜けないんなら、護身用に持っててもいいかなぁって思うじゃん。


 私が半ば涙目になっていると、襖ががらりと開いてゴリラ改め近藤さんが入ってきた。



「トシ、そのくらいにしとけ。仮にも犯人逮捕の協力者だぞ」



 舌打ちをしながらも、渋々といった様子で私から目を反らす土方さん。
 沖田さんも刀を鞘に戻してから、私に向かって放り投げる。

 どうやら、刀の件は見逃してくれるようだ。



「えっと、……ありがとうございます」

「いやァ、すいませんね。うちの奴らが迷惑かけて」



 あっはっはっ、と豪快に笑う近藤さん。
 それを合図にするように、山崎さんという隊士がこちらに向き直る。



「では、改めて事情を聞かせて頂きます。まずはお名前から教えてください」

「掛井遥です」

「遥さん、ですね。年齢と住所、それと職業をどうぞ」

「えっと、年は18です。かぶき町の外れの方に住んでます」

「外れっていうと、あの田舎ンところか」

「このちんちくりん、俺と同い年なんですかィ? それにしちゃあ、ガキ臭ェ」

「てめえの方がガキ臭いだろうがよ!? 私は純粋なだけだコノヤロー!!」



 私と沖田さんがぎゃあぎゃあ騒いでいると、近藤さんに「まあまあ」と宥められた。

 仕方なく私が黙ると、沖田さんがにやにや笑いながらあっかんべぇをしてきた。あの野郎、あとでぶん殴る。



「で、職業は?」

「……無職です」




 私の発言で凍りつく場の空気。近藤さん、土方さん、山崎さんの三人は、それぞれの反応で私に同情していることが分かる。
 沖田さんだけは特に表情を変えることなく、質問を重ねてくる。



「家族は? アンタを養える奴は居るんですかィ?」

「妹とは子供の頃に生き別れましたし、私を育ててくれた兄は二年前に死にました」



 だから今は一人です。

 そう言おうとしたところで近藤さんに両手をとられた。そのまま、近藤さんは私の手を力いっぱい握っている。

 近藤さんの目からは涙が滝のように流れ、鼻水を隠すことなく垂らしている。
 汚い顔から目を背けると、困ったような顔をする山崎さんが見えた。
 あの沖田さんでさえ、先ほどと打って変わって、私に哀れみの視線を向けている。

 え? 何? この御時世、私みたいな奴は珍しくないんじゃないの?



 私が戸惑いを隠せずにいると、しかめっ面で腕を組んでいた土方さんが、徐に口を開いた。



「お前、真選組で働かねェか?」

「へ?」

「元々、女隊士を雇うって話は出てたんだ。最近は女子供の犯罪も多いしな」

「いや、あの……」

「遥ちゃん、女の子にしては強いみたいですしね」

「や、山崎さんまで何言ってるんですか?」

「いやァ、遥ちゃんがいれば真選組のイメージアップになっちゃうかもなァ!」

「足手まといにならねぇように精々頑張りなせェ」





 どうやら、四人の中では私が入隊することは決まっているようで。





 ……いやいやいや。私が真選組とか、あり得ないって。