二次創作小説(紙ほか)

Re: 【銀魂】はろー、幕府のお犬さま【質問受付中!】 ( No.36 )
日時: 2014/07/25 16:52
名前: 春太郎 (ID: hVaFVRO5)

(しゅうさんに参加して頂いた、お誕生日企画です。)





「兄さーん、墓の中は涼しいですか」
 梅雨が開けて、蝉たちがうるさくなった七月中旬。夏の太陽が容赦なくジリジリと照りつけてくる。吹いている風もなんだかぬるいし、墓にかけた水も蒸発してしゅうしゅういっている。

 ——要するに暑い。暑すぎる。溶けそう。

 私服の着物は、隊服と違って通気性はいいけど暑いのには変わりないし。暑いし。なんか墓の中涼しそうだし。暑いし。暑いし。暑いし。兄さんずるい。もう本当に溶けちゃうよ私。


 着物の裾をがばりとたくしあげて墓の前に座る。ときどき墓に水をかけたり、磨いたりしながら項垂れていたら、ふと女の子の声が聞こえてきた。あれ? 空耳かなぁ。なんて最初は思ったけど、その声は私を呼んでいるようにも思える。
 頭を上げるのが面倒くさくて目線だけをちらりとやると、声が聞こえた方には見知ったチャイナ服がいた。だぼだぼの袖を揺らしながら、花束を抱える少女。花は兄さんが好きだった花と同じものだ。



「遥ぁ! 久し振り! 元気してた? 琥次郎さんにちゃんとお花、持ってきたよ」
「————しゅう!」



 久しぶりに見る幼馴染みの姿。花を抱えにこにこと笑うしゅうは、とても可愛らしい。しゃがんでいた足にぐっと力を入れ、しゅうのもとへ駆け寄って隣に立つ。なんだかしゅう、前より背が高くなった気が……。

「しゅう……こんなに大きくなって! お姉ちゃん嬉しい!」
「遥うっとおしい! てか、遥はお姉ちゃんじゃないし」

 そう言われても、やっぱり年下のしゅうは可愛いし、お姉ちゃんぶりたい。特に最近はやたらとデカイ隊士たちに囲まれていたから余計にね! あんだけむさ苦しいとね! 目の保養が欲しいよね!
 相変わらず元気そうなしゅうに、「ありがとね。兄さん喜ぶよ」と礼をいう。兄さんもこの幼馴染みのことを随分と可愛がっていたから、墓の中で笑ってるんだろうなぁ。



 ○




 いつのまにかオレンジ色に染まった空。気温も少し下がって、昼間よりは過ごしやすくなった。ついお喋りに夢中になっていたら、もう夕方だ。今日は一日休みをもらったけど、そろそろ帰らないとなぁ。
 どうやらそれはしゅうも同じらしい。しゅうは、兄さんの墓に向かって「琥次郎さん、また来るね」というと、私に向かって手を振った。私も同じように手を振りかえす。こうして二人は、別々の帰り道を歩いていった。







(遅れてしまいましたが、しゅうさんお誕生日おめでとうございました!)