二次創作小説(紙ほか)

Re: 【銀魂】はろー、幕府のお犬さま【質問受付中!】 ( No.45 )
日時: 2014/08/07 21:41
名前: 春太郎 (ID: D7i.SwLm)

「ごめんくださーい。坂田さんいますかー」



 目の前の扉ががらりと開く。それと同時に頭を掻きながら、出てきた家の主。



「おはようございます、銀さん」










 第十一訓【死んでも守りたい約束】










 ————万事屋なう。


 私がソファに座ると、メガネ君がお茶を出してくれた。


「ありがとう、えっと……新一くん」

「いや新八です」

「遥ァ、コイツのことはダメガネでいいアル」

「いや、ダメだから!! 遥さんもいい加減覚えてください」


 そうは言われても、新八くん何話ぶり? 申し訳ないけど私、人の名前覚えるのあんま得意じゃないんだよねぇ。



「んで、何の用だよ? また急に襲ってくるんじゃねーだろーな?」

「そんな野蛮なことするの、土方さんくらいですよ。今日は昨日のお詫びに来たんです」

「お詫びィ?」


 そう言う銀さんの左肩には血がにじんでいる。土方さんに斬られたのが昨日だから、当然なんだけど……。
 やっぱり痛々しいというかなんというか。


 そんなに傷は深くないと思うけど、今日は様子見も兼ねて此処に来たのだ。とりあえず元気そうで良かった。



「これで全部チャラにしようってか? 俺はそう簡単に丸めこまれねーぞ」

「まあまあ、これでも飲んで落ち着いてください」

「おー、サンキュ……ってコレ俺のいちご牛乳じゃねーかァァ!!」

「そうですよ?」

「そうですよ? じゃねェよ! マジでお前何しに来たの? 銀さん怒っちゃうよ?」



 青筋を浮かべる銀さんに、持ってきていた紙袋を手渡す。



「なんだコレ」

「えっと、いちご牛乳と、コーヒー牛乳が入ってます」

「フーン」

「酢昆布はないアルか?」

「ないだろ多分」



 袋の中をがさごそと漁る銀さん。急にその手を止めたかと思うと、一つの封筒を取り出した。



「……? なんだコレ、札束じゃねーか」

「銀ちゃんきっとそれ賄賂ヨ。受け取ったら最後、暗黒騎士団ファキナウェイの団長バルムンク=フェザリオンの手中に堕ちてしまうアル」

「んな訳ないでしょ神楽ちゃん。でも遥さん、これがほんとに賄賂だったら僕たち受け取れませんよ」

「大丈夫。賄賂なんかじゃないから」





「実は、今日来たのは昨日の件のことだけじゃないんです。万事屋に依頼したいことが」





 新八君が出してくれたお茶をぎゅっと握る。銀さんの隣には神楽ちゃんが座り、ソファの横には新八君が立っている。
 三人とも私が口を開くのを待ってくれている。
 一つ、深呼吸をした。






「……私の、私の妹を探してください」

Re: 【銀魂】はろー、幕府のお犬さま【守りたい約束篇】 ( No.46 )
日時: 2014/08/07 21:43
名前: 春太郎 (ID: D7i.SwLm)

「どうするんですか、銀さん。遥さんの依頼、受けるんですか?」

「どうするってお前、金受け取っちまったんだから探すしかねェだろ」



 ポニーテールの依頼は簡単に言っちまえば、人探し。
 なんでも、昔生き別れた妹の所在が知りたいんだと。



 ちょうど仕事がなくて冷蔵庫ん中がすっからかんだった俺達にとっては、またとないチャンス。
 とりあえず金を受け取っちまったから、依頼を解決しないといけねェ。



 まあ、めんどくせぇけどな。



 大体、手がかりがこの紙切れだけってどういうことだよ。せめてさ、写真とかないわけ?

 ポニーテールに聞いても、「私と同じような顔してるんですぐ分かりますよ。ま、私の方が可愛いですけどォ?」とかなんとか言うだけだったしよォ。





「とりあえずあれだろ? ポニーテールの貧乳探せばいいんだろ?」


 そういえば、割と近くにそんな感じの奴いたな……。



「……一応言っときますけど、姉さんと遥さんは全くの無関係ですからね」


 いちご牛乳とコーヒー牛乳を冷蔵庫へとしまう新八。自分の姉の姿が思い浮かんだのか、苦虫を擂り潰したみてェな顔をしている。

 神楽はさっきあのポニーテールが持ってきた紙袋を逆さまにして、中を覗きこんでいる。
 何度見ても空っぽだっつーの。



「銀ちゃーん、なんで酢昆布ないアルか?」

「知るか、んなもん」



 さっきからぶーぶー言っている神楽の顔をわしづかむ。これで少しは静かになんだろ、うん。



「でも、遥さんに妹なんて居たんですね。僕てっきり一人っ子かと思ってました」

「ワタシは遥に妹が居るって分かってたアル。そんなことも分かんないなんて、お前ら馬鹿アルか」

「いやいやいや、銀さんも気づいてたからね。アイツはなんつーか妹居そうな顔してるもん」

「はいはい、二人とも分かったから」

「あ! 新八お前信じてねーだろ」

「銀ちゃんのは嘘でもワタシのは本物ネ!」

「はー。そんなことより……」



 いちご牛乳たちを冷蔵庫にしまえ終えた新八が、机の上の紙を手にとる。




「明日はこの紙のところに行きますからね!」

「えー、めんどくせェ。お前一人で行ってこいよぱっつぁん」

「ダメです! 銀さんも来てください。あと神楽ちゃんも」







 そうして翌日、俺達は、ポニーテールの妹が住んでいるという場所へ向かうことになる。