二次創作小説(紙ほか)
- Re: 【銀魂】はろー、幕府のお犬さま ( No.6 )
- 日時: 2014/08/07 19:13
- 名前: 春太郎 (ID: D7i.SwLm)
屯所前まで戻ってきました。
が、門をくぐって良いものか迷ってます。
土方さんの説教が嫌っていうのもあるんだけど、こういうのってどんな顔して入ればいいの?
お邪魔しますでもないし、無言で入るのもあれだし……。
第五訓【久しぶりにじいちゃん家とか行くと何か緊張して人見知りしちゃうよね】
「遥、何やってんでィ。ンなとこいたら邪魔でさァ」
背後から声がかかる。振り返ると、そこには不思議そうな顔をした沖田さんがいた。早く入りなせェ、と催促される。
いや、でも、どう入ったら……。
いつまでたっても中に入らない私に痺れを切らしたのか、背中をどんと押してくる沖田さん。
「沖田てめえ! 痛いじゃないですか死ね!!」
「てめえが死になァ」
「あ、沖田さんお帰りなさい。遥ちゃんもお帰り」
いがみ合っている私たちに気付いた山崎さんが、声をかけてくれる。
山崎さんだけじゃない。他の隊士たちも、次々にお帰りと言ってくれる。
チンピラみたいな顔をしたみんなが、当たり前みたいに笑顔で言ってくるのが、なんだか可笑しい。
「た、ただいまっ!」
「ただいまじゃねェよ! どこで油売ってたんだテメエ」
満面の笑みを浮かべていた私の頭に、ガツンと鋭い衝撃が走る。どうやら、土方さんに拳骨で殴られた様子。
お、女相手になんてことを……!
「あ! そういえば土方さん。真選組って、私以外に女の子いるんですか?」
「いや、お前だけだけど」
「さっき、女の子がパトカー運転してましたよ。なんか、スクーター追いかけて暴走してたみたいですけど」
「フン。テメエの見間違いだろ」
そうなのかな。やっぱ私の見間違いかぁ。
「そうですよね。真選組に美少女は二人も要りませんよね!」
「胸無いくせに何が美少女なんでさァ。一回鏡見てこい」
「うっせー! 私のは慎ましいだけだ!!」
「あ! 居た居たっ! 遥ちゃん探したよ〜!」
声がした方を振り返ると、嬉々とした表情の近藤さんがこちらへ駆けてきていた。
その手に握られているのは……
「何ですかそれ?」
「ああコレ? 制服だよ」
近藤さんは制服を広げて、私に見せてくれる。
確かに、みんなが着ているものと同じ、真選組の制服だ。
「ありがとうございます」
「部屋で着替えておいで」
〇
私の部屋に集まる、いつもの四人。制服にポニーテール姿の私を、奇妙なものでも見るように見つめている。
「どうですか? 似合います?」
「おお! なかなか制服も似合うなぁ!」
「サイズもぴったりみたいですね」
「やっぱり美少女はなに着ても似合うんですよ」
「馬子にも衣装ってやつだな。少しはまともに見えますぜ」
「私がまともじゃないみたいに聞こえるんですけど」
「そう言ってるんでさァ」
「ひど!」
「おお。馬子にも衣装」
「土方さんもそれ言いますか……」
「他のみんなにも見せてきますねー!」
部屋から出て、廊下を駆けていく。すれ違うみんなが、私に声をかけてくれるのが嬉しい。
でもやっぱり、馬子にも衣装という感想が一番多かった。
「……アイツ、もう馴染んでやがる」