二次創作小説(紙ほか)

Re: 【カゲプロ】目を止めた双子の話 ( No.6 )
日時: 2014/04/14 16:25
名前: 木蓮 (ID: 1SUNyTaV)


<1> 目を疑う咄 -3

目の奥が、熱い。

陽菜子はあれっきり姿を見せなくなった。
取り残された私は、ただじっと暗闇の真ん中に座っている。

もう、何日が過ぎたのだろうか…。

息ができない、目眩と頭痛がする。

そして遂には、意識を失った。

『やっと来たのか』

「え……?」

目の前には誰もいない。が、その『声』は聞こえる。私の、すぐ…近くから…。

『自分の生まれた日…か。お前がひかれたのは』

ひかれた…ということは、やはりあのトラックの事だろう。そうか、ひかれたのか、私“達”。
私はぎゅうっと目を瞑った。

「何で…そんな事知ってるの…」

『ははっ!これは奇遇だな、8月15日とは…』

8月15日、それがどうした。
何か意味でもあるのか?この日にちに。

「文句あるの…?」

私はキッと見えない”何か”を睨んだ。
するとその”何か”は笑って言う。

『気づいているか?お前の…”目”に…』

「はぁ?目って…?」

『クククッ…お前、元の目の色は何だ』

目の色?
そりゃあ確か…髪と同じ色だったような?

「紫色だけど」

『色、分離してるんじゃないか?』

「…はぁっ!?」分離?どういうことだ…?
あ、つまりアレか。赤と青を混ぜると紫色ーみたい…な?あは、あはは。

いや、それは流石に無いだろう。
と、突然、目の前に一つの手鏡が差し出される。

それを受け取り、自分の顔をうつす…と、そこには確かに赤と青の目をした私がいた。

「ぎゃああぁぁぁ!!!何コレ!?」

『能力の証みたいなものだ。”制御”できるようになれば普通に戻るだろうな。まぁ、無理か』

”何か”は喉を鳴らして笑うと、こう言った。

『貴様は特例だ。あの8月15日の全てを、その目に止めろ』

「は…何言って…」

『チャンスは一度だけ、成功すれば今まで通りの生活に戻してやる。失敗すれば…あとは無いぞ』

「〜〜っ!陽菜子は…っ!?」

『やれやれ、まだ気づかないのか。あいつは…貴様の”目”になった』

「目!?何よ、それ!」

『自分で確かめてみればいいだろう』

”何か”は笑う。いや、嘲笑っていたのだ。その『大蛇』は…


………メヲトメロ…


ピピピピと、目覚まし時計のデジタルな音が聞こえる。

カレンダーを見ると、今日は8月14日だった。