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二次創作小説(紙ほか)
- Re: 【カゲプロ】目を止めた双子の咄 ( No.14 )
- 日時: 2014/05/14 19:28
- 名前: 木蓮 (ID: 1SUNyTaV)
<3> 目に浮かぶ咄
カレンダーを何度確認したところで、今日の日付が変わる訳がなかった。
どうして……『今日』じゃないの…?
私は慌ててリビングに行くと、そこには誰もいなかった。
陽菜子は…どこに行ったの?
辺りを見回しても、いる気配がない。
本当に消えてしまったのだろうか。
名前を、呼ぼうとした。
「………っ!……」
声が出ない。
口から出るのは僅かな呻き声と、呼吸音。
喉が焼けるように痛い。
痛みは、悲しみに変わる。
嫌だ…逝かないでよ、私を独りにしないで…陽菜子…。
ふらふらとソファーに寄り掛かる。
と、そこには一通の手紙が置いてあった。
『奈菜美へ
『ごめん、先に逝くことになっちゃった…。
許してくれないよね?
私のことは心配しないで、ずっと奈菜美のそばで見守っているから。
私を追いかけちゃ駄目だよ?
もしそんな事になったら私が奈菜美と離れた意味がなくなってしまうから…。
泣かないでね。
あ、あとその青い目は…私。
いつもそばにいられるように…目になったの。
だから…生きてて良いんだよ?
陽菜子』
その文章は、さすが陽菜子…という意味不明なものだった。
けれど今の私にその言葉は十分で、気が付いた時にはもう、家を駆け出していた。
向かうのは……自分が消えた、あの道路…。
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