二次創作小説(紙ほか)

29話「撃英雄」 ( No.113 )
日時: 2014/06/09 00:21
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: hF19FRKd)

「ウォォォォッ! 《熱血龍 タイラント・ダイラント》召喚!」
 暁とフルボコ・ドナックルのデュエル。
 現在、両者シールドは五枚。暁の場には《コッコ・ルピア》と《スピア・ルピア》。フルボコ・ドナックルの場は《フレフレ・ピッピー》と先ほど召喚した《タイラント・ダイラント》。
「《タイラント・ダイラント》がいると、全部のクリーチャーで攻撃しなきゃいけないんだ……鬱陶しいなぁ」


熱血龍 タイラント・ダイラント 火文明 (7)
クリーチャー:ガイアール・コマンド・ドラゴン 8000
すべてのクリーチャーは、可能であれば攻撃する。
W・ブレイカー


「私のターン。ファイアー・バードも攻撃しなきゃいけないのは嫌だけど、だったら速度を上げるよ! 《竜星バルガライザー》召喚! スピードアタッカーの《バルガライザー》で攻撃! 能力発動!」
 バルガの有する力、それは龍を呼ぶ力だ。《バルガライザー》の咆哮でトップデックが吹き飛ばされ、ドラゴンを呼び寄せる。そして現れたのは、
「暁の先に、龍の世界を——《龍世界 ドラゴ大王》!」

 《バルガライザー》の呼び声に応えたのは、暁のデッキで最重量のドラゴン、《ドラゴ大王》だった。
「頼んだよ、《ドラゴ大王》!」
『我に指図するな。我が能力発動! 我のクリーチャーと、相手クリーチャーを強制バトル!』
「《ドラゴ大王》と《タイラント・ダイラント》をバトルだよ!」
 《タイラント・ダイラント》はパワー8000だが、パワー13000の《ドラゴ大王》に敵うはずもなく、一撃で消し飛ばされてしまった。
「これで鬱陶しいのはいなくなった! 《バルガライザー》でWブレイク!」
 《ドラゴ大王》を呼びつつ、《バルガライザー》の剣がフルボコ・ドナックルのシールドを二枚。切り裂いた。
 しかしその斬られた二枚のシールドは、光と束となって収束する。
「S・トリガー発動ッ! 《ミラクル・バーストショット》! パワー3000以下のクリーチャーをすべて破壊!」
「《コッコ・ルピア》と《スピア・ルピア》が……でも《スピア・ルピア》が破壊された時、山札からドラゴンをサーチできる。《アブドーラ・フレイム・ドラゴン》を手札に加えるよ」
「まだだッ! もう一枚のS・トリガー《ジャジャーン・カイザー》を召喚!」
 これで暁のターンは終わりだが、現時点では暁が優勢。特に《ドラゴ大王》を出せたのは大きい。暁も出せるクリーチャーが限られてしまうが、フルボコ・ドナックルも軽量クリーチャーを並べるような作戦を取れなくなる。なにより《ドラゴ大王》の打点があれば、このまま押し切ってしまえるだろう。
 そう考える暁だが、彼女は知らなかった。
 力押しにおいては、《ドラゴ大王》よりもフルボコ・ドナックルの方が上手であるということに。
「ウォォォォッ! 《ジャジャーン・カイザー》進化!」
「っ、来るぞ、暁!」
「うん……!」
 《ジャジャーン・カイザー》が燃え盛る猛火に包み込まれる。そして、金色の光を発しながらその姿にさらなる熱血を注ぎ込み、進化する。

「《超熱血 フルボコ・ドナックル》!」


超熱血 フルボコ・ドナックル 火文明 (6)
進化クリーチャー:ガイアール・コマンド・ドラゴン 11000
進化—自分のドラゴン1体の上に置く。
このクリーチャーがバトルに勝った時、このクリーチャーをアンタップし、相手のシールドを2枚ブレイクする。
W・ブレイカー


「暁! 《フルボコ・ドナックル》は、バトルに勝てば無限にアンタップして、しかも相手のシールドも二枚ブレイクする進化クリーチャーだ!」
「うぇっ、なにそれ。でもパワー11000じゃ《ドラゴ大王》は倒せないよね」
 そもそも《ドラゴ大王》はアンタップ状態だ。このターンにとどめを刺されることもないので、まだなんとなるはず。
 はず、だったが、
『呪文! 《勝負だ!チャージャー》を《フルボコ・ドナックル》に!』
 これで《フルボコ・ドナックル》はアンタップ状態のクリーチャーも殴れるようになった。
『だが、それでもパワーは我の方が高い!』
「そうだよ! 《ドラゴ大王》がやられることはない!」
 声高にそう叫ぶ《ドラゴ大王》と暁だが、しかし《フルボコ・ドナックル》は、なにもマナ加速のために《勝負だ!チャージャー》を唱えたわけではないのだ。
『呪文! 《熱血トレーニング》!』
「っ!?」
 《フルボコ・ドナックル》の墓地に、火のカードは三枚。よってバトル中のパワーはプラス3000され、14000。
 《ドラゴ大王》を上回った。
「やば……!」
『ウォォォォッ! 《フルボコ・ドナックル》で《ドラゴ大王》を攻撃!』
 《フルボコ・ドナックル》が大地を蹴り、一直線に《ドラゴ大王》へと飛び込んでいく。《ドラゴ大王》は飛翔してその拳を避けるが、《フルボコ・ドナックル》は、巨体のわりに軽快なフットワークで切り替えし、その後を追いかけた。
『ぐぅ! 振り切れん……!』
『ウオォォォォォォォォッ!』
 遂に《ドラゴ大王》は追いつかれ、翼を掴まれる。そして力任せに、地面へと叩きつけられた。
 その後、落下してくる《フルボコ・ドナックル》の拳を、地面を転がって間一髪回避。しかし、直後に切り替えして突き出された一撃を、躱すことはできなかった。
『ぐおぉぉぉ!』
「《ドラゴ大王》!」
 《フルボコ・ドナックル》の拳に打ち砕かれる《ドラゴ大王》。しかも、それだけでは終わらない。
『ウォォォォッ! Wブレイク!』
「っ、うぁ……!」
 バトルに勝利した《フルボコ・ドナックル》は暁のシールドを二枚ブレイクする。さらにアンタップされ、
『《バルガライザー》を攻撃! バトル勝利でWブレイク!』
「んっ、つぅ……!」
 一瞬で暁の重量級ドラゴンたちが一掃され、しかもシールドもほとんど割られてしまった。
「このままじゃ……S・トリガー発動! 《天守閣 龍王武陣》!」


天守閣 龍王武陣 火文明 (5)
呪文
S・トリガー
自分の山札の上から5枚を見る。その中から火のクリーチャーを1体、相手に見せ、そのクリーチャーのパワー以下の相手のクリーチャーを1体破壊してもよい。
マナ武装5:自分のマナゾーンに火のカードが5枚以上あれば、その見せたカードを自分の手札に加える。
自分の山札をシャッフルする。


 山札の上から五枚のカードが捲られ、それらを眺める暁。しかし、その表情は少々苦しい。
「うぅ、いいカードが来ない……」
 捲られた五枚は、《コッコ・ルピア》《スーパー炎獄スクラッパー》《火焔タイガーグレンオー》《メテオ・チャージャー》《フレフレ・ピッピー》。見事に一枚もドラゴンがない。
「《火焔タイガーグレンオー》を選択して、《フレフレ・ピッピー》を破壊するよ。そしてマナ武装5で《タイガーグレンオー》を手札に」
 一応残りのアタッカーは破壊できたので、このターンにとどめは刺されないが、それでも暁の不利は変わらない。
『最後のシールドをブレイクッ!』
「くぅ……!」
 これで暁のシールドはゼロ。もう後がない。
「このターンで、逆転手を引かないと……」
 暁のデッキで《フルボコ・ドナックル》を倒せるカードと言えば《ドラゴ大王》か《サンバースト・NEX》くらいだが、《ドラゴ大王》は破壊されて墓地、《サンバースト・NEX》はマナにある。
「どうすれば——」
 と、その時だった。

 ——暁。