二次創作小説(紙ほか)

33話「界王類絶対目」 ( No.127 )
日時: 2014/06/24 22:46
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: hF19FRKd)

「う……」
「あ、浬。起きた?」
「あいつは……?」
「柚ちゃんが戦ってるわ」
「霞が……? 大丈夫なのか?」
「ゆずなら大丈夫だよ。それより、浬はどう?」
「大丈夫だ、問題ない」
 まだ軽く頭痛でもあるのか、頭を押さえる浬。しかし、特に大事はないようだった。
「それより霞だ。あのクリーチャーは、なにも知らずに戦ったらまずい……!」
「ねえカイ、あのクリーチャー——ワルド・ブラッキオは、どんなクリーチャーだったの?」
「浬が負けるほどなんて、よっぽどだよね。どんな風に負けたの?」
「…………」
 少しだけ口をつぐむ浬だったが、やがてゆっくりと言葉を紡いでいく。
「……俺のクリーチャーが、通じなかったんだ」
「は?」
「エリアスも、《サイクロペディア》も《ジャバジャック》も《スペルサイクリカ》も《デカルトQ》も《Q.E.D.》も……すべて通じなかった。《Q.E.D.》に至っては、《エビデンス》すら出せなかった」
「そ、それって、浬の切り札のほとんどが封じられてるじゃん……一体どんなクリーチャーなのさ……」
「《エビデンス》が出せなかったって言ってるけど、《メタルアベンジャー》も出せなかったのかしら?」
「いや……《メタルアベンジャー》までは出せた。だが、その後が続かなかったんだ。あいつの能力でな」
 サソリスはそのことをまったく触れなかったが、今ここで、浬が告げる。
 ワルド・ブラッキオの、恐るべき能力を。
「……あいつの、ワルド・ブラッキオの能力は——」



 大地を割る、砕くなんてものではない、すべてを消滅させてしまうのではないかと思うほどの雄叫びが響き渡る。その瞬間、古代の界王がその姿を現した。
「で、出ちゃいました……でも大丈夫です。わたしには、仲間がいます」
 過剰なほどの大量マナブーストから早期に呼び出された《界王類絶対目 ワルド・ブラッキオ》。その圧倒的なまでの存在感に気圧されそうになる柚だったが、カードをき、気を強く持つ。
 その自信を裏付けるのは、彼女の仲間だった。
「お願いしますっ! 《龍覇 サソリス》を召喚です!」
『え、ちょ、待っ——』
 柚はこのターン引いてきた《サソリス》を召喚。その能力で、ドラグハートを呼び出そうとするが、
「あ、あれ……なにも起こりません……」
「そういえば言ってなかったっけ。《ワルド・ブラッキオ》が場にいる限り、僕らはクリーチャーがバトルゾーンに出た時の能力が使えなくなるんだ」
「えぇっ!? そ、そんな能力、ありですかっ!?」


界王類絶対目 ワルド・ブラッキオ 自然文明 (11)
クリーチャー:ジュラシック・コマンド・ドラゴン 27000
ワールド・ブレイカー
相手のクリーチャーがバトルゾーンに出て、そのクリーチャーの能力がトリガーする時、かわりにその能力はトリガーしない。(例えば、相手は「このクリーチャーをバトルゾーンに出した時」で始まる能力を使えない)


 しかもパワー27000のワールド・ブレイカー。単純な打点とパワーも凄まじい。伊達に力がすべてと謳ってはいない。
 結局《サソリス》の能力は不発し、ワルド・ブラッキオのターン。
 《二角の超人》でマナ加速とマナ回収を行い、マナ進化で《密林の総督ハックル・キリンソーヤ》が現れる。さらに《古龍の罠》で、《サソリス》もマナゾーンに送られてしまった。
「《サソリス》さんが……これでアタッカーが二体です……あれ?」
 そこでふと、柚は気付いた。
「《ワルド・ブラッキオ》は、ワールド・ブレイカー……ワールド・ブレイカーって、確か……」
『一度の攻撃ですべてのシールドをブレイクする能力だ。S・トリガーでシールドを増やしても無意味だし、まずいよ』
 たった二体のアタッカーしかいない《ワルド・ブラッキオ》だが、その二体で十分だった。
 一撃でシールドをすべて粉砕するだけのパワーがあれば、後はとどめを刺すクリーチャーがいればいい。正に、力押しの攻めだ。
「わ、わわ……っ」
 《ワルド・ブラッキオ》が雄叫びを上げる。その直後、柚のシールドが一斉に砕け散った。
 この攻撃で柚のシールドはゼロ枚になる。よってこのターンにマナ進化した《ハックル・キリンソーヤ》が柚にとどめの一撃を叩き込むべく、突撃して来るが、
「し……S・トリガーですっ! 《古龍遺跡エウル=ブッカ》! アンタップ状態の《ハックル・キリンソーヤ》をマナゾーンへ!」
 砕かれた最後のシールドから、S・トリガーが発動する。
 《エウル=ブッカ》の能力で、攻撃していない《ハックル・キリンソーヤ》がマナに送られ、柚は九死に一生を得た。さらに、
「マナ武装5も発動ですっ! 《ワルド・ブラッキオ》もマナゾーンへ送りますっ!」
 古龍遺跡の力が自然のマナによって解放され、最も厄介だった《ワルド・ブラッキオ》をも土へと還す。
 なんとか攻撃を凌ぎ切った柚。しかも《ワルド・ブラッキオ》を除去できたのはかなり大きい。
 それにより、ここから彼女の反撃が開始されるのだった。
「わたしのターンです、お願いしますっ」
 シールドはないが、マナも手札も十分にある。
 しかも彼女には、心強い仲間ができたのだ。
「原始林の英雄、龍の力をその身に宿し、古の栄光で武装せよ——《牙英雄 オトマ=クット》!」
 地中より緑色の怪物——自然の英雄《オトマ=クット》が這い出て来る。
「《オトマ=クット》のマナ武装7発動! わたしのマナをアンタップして、《ピーア》の能力でマナを追加しますっ!」
 柚の使用したマナは《オトマ=クット》の能力ですべて起き上がった。そして、この起き上がったマナが、連鎖の力を発現させる。
「連鎖します、覇王様——《連鎖類覇王目 ティラノヴェノム》!」
 《オトマ=クット》に続き地中から蘇るのは、猛毒と連鎖の力を有する古代龍《ティラノヴェノム》。
 地に立った《ティラノヴェノム》が咆哮すると、再び大地が鳴動する。
「《ティラノヴェノム》の能力発動ですっ! 登場時にマナゾーンからコスト6以下の自然クリーチャーをバトルゾーンに出します。出て来てくださいっ、《サソリス》さん!」
『了解したよ。今度こそ、僕の力を見せる時だね』
 《ティラノヴェノム》の呼び声に応えたのは、前のターンにマナに送られたばかりの《龍覇 サソリス》。
「次は《サソリス》さんの能力発動ですっ。超次元ゾーンから、コスト4以下の自然のドラグハートを呼びます。呼び出すのは——《始原塊 ジュダイナ》ですっ!」


龍覇 サソリス 自然文明 (6)
クリーチャー:ビーストフォーク號/ドラグナー 4000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、コスト2以下のドラグハート1枚、または、コスト4以下の自然のドラグハートを1枚、自分の超次元ゾーンからバトルゾーンに出す。(それがウエポンであれば、このクリーチャーに装備して出す)
このクリーチャーが破壊される時、墓地に置くかわりに自分のマナゾーンに置く。


始原塊(ジュラシック・ハンマー) ジュダイナ ≡V≡ 自然文明 (4)
ドラグハート・ウエポン
自分のターン中、ドラゴンを1体、自分のマナゾーンから召喚してもよい。
龍解:自分のターンの終わりに、バトルゾーンに自分のドラゴンが3体以上あれば、このドラグハートをクリーチャー側に裏返し、アンタップする。


『よいしょ、っと! さあ、どうしようか?』
 地中より《ジュダイナ》を引っ張り出す《サソリス》。身の丈ほどもある槌を担ぎ、柚に呼びかける。
「《ジュダイナ》の能力を発動させます」
『そっか。《ジュダイナ》はマナゾーンからドラゴンを召喚できる……なにを呼ぶ? マナはほとんど残ってないけど』
「そうですね、残りマナはわずか。なので……マナゾーンから《緑神龍ドラピ》を召喚ですっ!」
 少ないマナから召喚するドラゴンと言えば、これしかない。柚のマナはまだ九枚に達しているので、《ドラピ》も破壊されず、場にとどまる。
 そしてこれで、柚の場にドラゴンが三体並んだ。それは単純に打点が増えたというだけではなく、もっと大きな意味を持っている。
 そう——龍解だ。
「わたしの場にはドラゴンが三体。《ジュダイナ》の龍解条件をクリアしました。なのでターン終了時、《ジュダイナ》は龍解しますっ!」
 《サソリス》は空高くに《ジュダイナ》を投げ飛ばす。場の三体のドラゴンの力を受けた《ジュダイナ》は、そのまま落下し、地中へと潜り込む。
「古代の王様、大地を揺るがし、原始の力を蘇らせます。龍解——」
 刹那、大地が鳴動する。地震の如く大きく揺さぶられた。
 それは予兆だ。古代龍の頂点に立つ古代の王が、今ここに君臨する——

「——《古代王 ザウルピオ》!」