二次創作小説(紙ほか)

35話「護英雄」 ( No.129 )
日時: 2014/07/03 18:02
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: hF19FRKd)

「……《提督の精霊龍 ボンソワール》を召喚」


提督の精霊龍 ボンソワール 光文明 (7)
クリーチャー:エンジェル・コマンド・ドラゴン 5000
ブロッカー
相手の呪文またはバトルゾーンにある相手のクリーチャーの能力によって、このクリーチャーが自分の手札から捨てられる時、墓地に置くかわりにバトルゾーンに出してもよい。
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の山札の上から3枚をすべてのプレイヤーに見せる。その中から、「ブロッカー」を持つクリーチャーをすべて自分の手札に加え、その後、残りを好きな順序で山札の一番下に置く。


 《提督の精霊龍 ボンソワール》は、いわゆる提督と呼ばれる特殊なサイクルのクリーチャーで、相手のカード手札から捨てられた時にバトルゾーンに出る能力と、山札を三枚捲りその中の指定されたカードを手札に加える能力を持つ。
 《ボンソワール》が手札に加えられるカードの指定は、ブロッカー。ラヴァーの山札の上から三枚——《純白の翼 キグナシオン》《不屈の翼 サジトリオ》《聖龍の翼 コッコルア》——が捲られた。
「すべてブロッカー……よって、この三枚を、手札に……ターン、終了……」
 一気に三枚ものカードを手に入れたラヴァーだが、追加のブロッカーはたった一体。
 このターンから、暁の猛攻が始まる。
「私のターンだよ! 《熱血龍 バトルネード》召喚! そして《バトライオウ》でWブレイク!」
「……S・トリガー、ない……」
「だったら《バトラッシュ・ナックル》でも攻撃! Wブレイク!」
「……S・トリガー発動、《ドラゴンズ・サイン》。《天運の精霊龍 ヴァールハイト》を、バトルゾーンに……」


ドラゴンズ・サイン 光文明 (5)
呪文
S・トリガー
コスト7以下の、進化ではない光のドラゴンを1体、自分の手札からバトルゾーンに出す。次の自分のターンのはじめまで、そのクリーチャーは「ブロッカー」を得る。


天運の精霊龍 ヴァールハイト 光文明 (7)
クリーチャー:エンジェル・コマンド・ドラゴン 6500
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の山札の上から2枚を見る。その中から1枚を裏向きのまま、新しいシールドとして自分のシールドゾーンに加え、もう1枚を自分の手札に加える。
W・ブレイカー


「シールドとブロッカーが増えた……まあいいや。どの道このターンはこれ以上攻撃しないし。ターン終了」
「私の、ターン……《純白の翼 キグナシオン》《不屈の翼 サジトリオ》《聖龍の翼 コッコルア》を、召喚……」
 ラヴァーは前のターンに《ボンソワール》で手に入れたブロッカーを一気に展開する。最大パワーでは暁の方が上だが、この守りは簡単には崩せないだろう。
「ブロッカーを並べるなら、片っ端から薙ぎ倒すだけだよ! 《熱血龍 グランドスラム》を召喚! 《バトルネード》で攻撃、その時《バトルネード》の能力発動!」
 《爆竜トルネードシヴァXX》が熱血の力に目覚め、ガイアール・コマンド・ドラゴンとなった姿、それが《熱血龍 バトルネード》だ。
 身体が小型化してパワーが下がり、XXとしての力も失われてしまったが、その分身軽で小回りが利くようになった。
 そしてなにより、戦いを引き起こす熱き血潮は失われないどころか、さらに増している。
「《バトルネード》の能力で、《グランドスラム》と《ヴァールハイト》をバトル!」
 鎖が《バトルネード》から伸び、《ヴァールハイト》が引き寄せられる。そこに《グランドスラム》がバットのような棍棒で火球を打ち飛ばし、《ヴァールハイト》の身体を貫いた。
 これで《ヴァールハイト》は破壊されるが、その破壊は《グランドスラム》とのバトルの結果だ。つまり、《グランドスラム》がバトルに勝ったのだ。
「《グランドスラム》がバトルに勝ったことで、《グランドスラム》の能力も発動! 手札をすべて捨てて、四枚ドロー!」


熱血龍 バトルネード 火文明 (6)
クリーチャー:ガイアール・コマンド・ドラゴン 6000
このクリーチャーが攻撃する時、バトルゾーンにある自分のクリーチャーを1体と相手のクリーチャーを1体、選んでもよい。その2体をバトルさせる。
W・ブレイカー


熱血龍 グランドスラム 火文明 (6)
クリーチャー:ガイアール・コマンド・ドラゴン 7000
このクリーチャーがバトルに勝った時、自分の手札をすべて捨ててもよい。そうした場合、カードを4枚引く。
W・ブレイカー


「私に手札はないから、そのまま四枚引くよ」
 一見すると《グランドスラム》の能力は、手札を捨てなければ発動しないように見える。しかし手札がゼロでも、カードを“ゼロ枚”捨てたことになるため、カードを引けるのだ。
 火文明では数少ない手札補充手段。《グランドスラム》はスピードアタッカーを持たないので、能力発動までにタイムラグがあるが、暁は《バトルネード》と組み合わせることで、そのラグをなくしている。
 そして、《バトルネード》の攻撃も繰り出される。
「……《キグナシオン》で、ブロック……」
「まだまだ! 《バトライオウ》でWブレイク!」
 この時、暁は勢いのままに《バトライオウ》で殴り掛かったが、それは失敗だった。
 暁はよく確認すべきだったのだ。ラヴァーが、どのクリーチャーでブロックしたのかを。もっと言えば、ラヴァーのどのようなクリーチャーが、破壊されたのかを。
「…………」
 直後、《バトライオウ》の刃がラヴァーのシールドを切り裂いた。
「ブロックしない……!? さっきはブロックしてたのに……」
 吃驚する暁。だが、ラヴァーの先ほどのブロックには意味があり、このスルーにも意味がある。そしてこれら二つの意味は、繋がっているのだ。
「……S・トリガー、発動」
 純白の羽を受け、ラヴァーの割られたシールドが光の束となり収束する。

「私が世界を支配する——《支配の精霊龍 ヴァルハラナイツ》」

 そのシールドから現れたのは、なんと《ヴァルハラナイツ》。
「な……そのクリーチャーはS・トリガーじゃないよ!」
「普段なら、そう……でも、今は、違う……」


純白の翼 キグナシオン 光文明 (2)
クリーチャー:ジャスティス・ウイング 2000
ブロッカー
このクリーチャーは、相手プレイヤーを攻撃できない。
相手のターン中に、このクリーチャーが破壊された時、そのターン自分が手札に加えるシールドカードはすべて「S・トリガー」を得る。


 《キグナシオン》は相手ターン中に破壊されると、そのターンに限りシールドの中身をすべてS・トリガーにするクリーチャーだ。
 先ほどの《バトルネード》の攻撃をブロックし、ラヴァーの《キグナシオン》は破壊されている。即ち、この《バトライオウ》がブレイクするシールドはすべてS・トリガーとなってしまうのだ。
「もう一枚……S・トリガー《白壁の精霊龍 ヌーベル・バウラ》を、召喚……」
「うぅ……」
 ワンミスで一気にラヴァーの場に二体のドラゴンが並んでしまった。さらに、
「《ヴァルハラナイツ》効果で、《コッコ・ルピア》を、タップ……次のターン、アンタップも、できない……」
「ん、んぅ……《バトラッシュ・ナックル》でダイレクトアタック!」
「……《サジトリオ》でブロック」
 《サジトリオ》が破壊され山札が捲られるが、その中にコスト3以下のブロッカーはいなかった。なので《サジトリオ》の能力は発動しない。
 だが、それでも問題はなかった。今の流れはラヴァーの向いている。
 ラヴァーのターン。突如、彼女の周囲から讃美歌のような音曲が流れ、光が差し込む。

「私の世界の英雄、龍の力をその身に纏い、聖歌の祈りで武装せよ——《護英雄 シール・ド・レイユ》」


護英雄 シール・ド・レイユ 光文明 (7)
クリーチャー:エンジェル・コマンド・ドラゴン 7500
ブロッカー
マナ武装7:このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分のマナゾーンに光のカードが7枚以上あれば、バトルゾーンにある相手の進化ではないクリーチャーを2体まで選び、新しいシールドとして持ち主のシールドゾーンに裏向きにして加えてもよい。
W・ブレイカー


「え、英雄のクリーチャー……!?」
「やっぱりあいつも、英雄の力を手に入れてたのか!」
 現れたのは、流麗な身体を持つ白龍。
 白龍は聖歌と祈り、そして神々しき光を受け、その身に金色の装甲を纏う。
「《シール・ド・レイユ》の、マナ武装7、発動……」
 ラヴァーのマナゾーンに光のカードは七枚以上。よってマナ武装が発動し、
「《バトライオウ》と《グランドスラム》を、シールドへ……」
「嘘っ!? 《バトライオウ》……《グランドスラム》!」
 ドローソースと高パワークリーチャーが同時に潰される。特に《バトライオウ》が除去されたのは辛い。残ったクリーチャーでは、《ヴァルハラナイツ》に太刀打ちできない。
「まずいぞ、暁!」
「っ……!」
 徐々に押され始める暁。その心中は、闘志の炎から、焦燥の火に変わりつつあった。
 そしてここから、ラヴァーの反撃が開始される。