二次創作小説(紙ほか)
- 37話「正義執行の天命王」 ( No.131 )
- 日時: 2014/07/03 18:05
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: hF19FRKd)
天命王 エバーラスト ≡V≡ 光文明 (7)
ドラグハート・クリーチャー:エンジェル・コマンド・ドラゴン 13500
ブロッカー
T・ブレイカー
自分の光のドラゴンがバトルゾーンから墓地以外のどこかに離れる時、離れるかわりにバトルゾーンにとどまる。
自分の「ブロッカー」を持つクリーチャーの、攻撃できない能力を無効にする。ただし、そのクリーチャーの召喚酔いは無効にならない。
煌々とした光が差し込み、地上に降り立ったのは、正義の名の下に天命を授ける精霊龍《天命王 エバーラスト》。
青白い翼を羽ばたかせ、光り輝く槍を携えて、神々しきその姿を現す。
「龍解……完了……」
「……!」
さしもの暁も、あまりの威圧感に圧倒される。
なにより、このクリーチャーの存在が、このデュエルにおいて大きすぎる。
(《天命王 エバーラスト》は、パワー13500のブロッカー……大きすぎる)
《スピア・ルピア》のパンプアップを足しても《ボルシャック・NEX》が《エバーラスト》に打ち勝つためには、墓地にファイアー・バードを六体以上溜めなければならないが、そんな大量のファイアー・バードはすぐには落とせない。
「……《偽りの名 バルキリー・ラゴン》を召喚。山札から《竜星バルガライザー》を手札に加えて、ターン終了」
一点突破は難しいと考えた暁の作戦は、手数で攻めること。
確かに《エバーラスト》のパワーは高いが、他のクリーチャーはそこまででもない。ならば、《エバーラスト》はとりあえず無視して、クリーチャーを並べて突破してしまおうという魂胆だ。ラヴァーのシールドはゼロ枚なので、一撃でも通れば勝てる。
だが勿論、ラヴァーもそんなことは重々承知していて、理解している。
「私の、ターン……《天運の精霊龍 ヴァールハイト》《聖歌の翼 アンドロム》《救護の翼 フィルミエ》を、召喚……《ヴァールハイト》の能力で、手札と、シールドを、追加……《アンドロム》のマナ武装3、発動……《スピア・ルピア》を、フリーズ」
シールドを増やされ、クリーチャーも止められる。だが、こんなものは保険程度の意味合いしかない。
次の瞬間、ラヴァーのクリーチャーが一斉に攻勢に出た。
「……《リブラミラ》で、《スピア・ルピア》を攻撃……破壊」
「《スピア・ルピア》が……でも、破壊時能力で、山札から《バトラッシュ・ナックル》を手札に加えるよ!」
まず最初にクリーチャーが破壊される。だが、これからだ。
今まで耐えてきたラヴァーの反撃の狼煙が上がる。
「《エバーラスト》で、Tブレイク……」
「S・トリガー……ない」
「《バラディオス》で、Tブレイク……」
一瞬で七枚あった暁のシールドが六枚も吹き飛ばされた。
このままでは、残るアタッカーにとどめを刺されてしまうが、ブレイクされた六枚目のシールドが光の束となり収束していく。
「来た、S・トリガー発動! 《超爆デュエル・ファイアー》!」
超爆デュエル・ファイアー 火文明 (6)
呪文
S・トリガー
「ブロッカー」を持つクリーチャーをすべて破壊する。
こんなこともあろうかと、デッキに何枚か入れておいた、対ラヴァー用の切り札《超爆デュエル・ファイアー》。
ブロッカーをすべて破壊するという、単純ながら強力な効果を持つ呪文だ。相手によってはなんの役にも立たなくなるが、ブロッカーの多い光文明をメインにするラヴァーのような相手に対しては、凄まじい性能を発揮する。
「《超爆デュエル・ファイアー》で、ブロッカーをすべて破壊!」
「……破壊じゃ、《エバーラスト》で防げない……」
現に、ラヴァーの場はたった一枚の呪文で半壊してしまう。残ったのは、《ヴァールハイト》と《リブラミラ》のみ——
「……《フィルミエ》のせいばー、発動……《バラディオス》を、守る……」
——ではなく、《フィルミエ》のセイバーで《バラディオス》も残った。さらに、
「《リブラミラ》の能力、発動……相手が、呪文を唱えた時、山札からもう一体、《リブラミラ》を、出す……」
鏡面に映し出された、もう一体の《リブラミラ》が山札から現れる。
《リブラミラ》は相手の呪文に反応して山札から現れるクリーチャー。もう一度唱えれば、さらに倍に増える。
「でも、もう遅いよ! 私のターン! 《バルガライザー》を召喚、そして攻撃! 能力発動!」
今更《リブラミラ》が増えたところで、暁にとっては痛手にはならない。どの道、ラヴァーの攻撃は《デュエル・ファイアー》を踏んだ時点でストップされ、暁の反撃が始まる。
《バルガライザー》の咆哮で山札が捲られ、現れたのは《不敗のダイハード・リュウセイ》。
「よしっ! 最後のシールドをブレイク!」
「…………」
ラヴァーの最後のシールドが、破られる。
その刹那、眩い閃光がバトルゾーンを支配した。
「っ、なに……!?」
「……《バラディオス》の能力、発動」
閃光は電撃のように暁のクリーチャーに襲い掛かり、暁のクリーチャーの動きはすべて、封じられてしまう。
「私の最後のシールドがブレイクされる時にも、《バラディオス》の能力は、発動する……相手クリーチャーを、すべて、フリーズ……」
「そ、そんな……ってことは、私の攻撃はこれで終わりってこと……!?」
その通りだ。
それだけでなく、次の暁のターンにもアンタップできないため、攻めの手が一気に遅くなってしまう。
「……私のターン。《救護の翼 フィルミエ》《充填の精霊龍 シャクシール》を、召喚……シールドを追加。さらに《龍覇 エバーローズ》も、召喚……」
再び現れたドラグナー。その能力で、《不滅槍 パーフェクト》が装備され、
「《バラディオス》で、《ダイハード・リュウセイ》を、攻撃……」
「っ……! でも、《ダイハード・リュウセイ》が破壊されたターン、私はゲームに負けない!」
なのでこのターンは凌げる。凌げるが、
「《ヴァールハイト》で、《ボルシャック・NEX》を、攻撃……《リブラミラ》で、《フレフレ・ピッピー》を、攻撃……もう一体の《リブラミラ》で、最後のシールドを……ブレイク」
このターンにとどめを刺せないと分かっているがゆえに、ラヴァーはクリーチャーを破壊してくる。
さらにこのターンの終わり、ラヴァーの場にはクリーチャーが五体以上。なので、
「《不滅槍 パーフェクト》……龍解」
再び《パーフェクト》が天高く打ち上げられ、大空より神々しき光と共に《天命王 エバーラスト》が降臨する。
「っ、わ、私のターン……!」
ほとんど存在しない、一縷の望みをかけ、暁はカードを引くが、この状況で逆転できるようなカードがないことは、暁自身が一番分かっていた。
どう考えても、このターンだけでラヴァーのクリーチャーを殲滅することなど不可能だ。
「《ギャノバズガ・ドラゴン》! 《爆竜 GENJI・XX》を召喚!」
それが分かっていながらも、諦めの付かない暁。さらにクリーチャーを並べるが、
「……それで、なに」
「……っ、ターン終了」
並べたところで、なにも変わりはしない。最後のシールドで出て来た《GENJI》も、攻撃してブロッカーを破壊しようにも《フィルミエ》でエンジェル・コマンドは守られてしまう。今突っ込んでも、ほとんど無駄死にするだけだ。
今突っ込まなければ、このデュエルにおいて、攻撃する機会などなくなるのだが。
「私のターン……」
ラヴァーのターンが訪れる。
彼女の従える精霊龍は、正義の勅令に従い、その命を果たす。
即ち、暁にとどめを刺すこと。そしてその正義を執行するのは、《エバーラスト》だった。
光り輝く槍を水平に構え、一直線に突貫。まっすぐに、その槍を突き出す——
「……《天命王 エバーラスト》で、ダイレクトアタック——」