二次創作小説(紙ほか)
- 39話「怒英雄」 ( No.139 )
- 日時: 2014/10/29 21:53
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: UrB7UrBs)
怒英雄 ガイムソウ 火文明 (7)
クリーチャー:ガイアール・コマンド・ドラゴン 7000
マナ武装7:このクリーチャーとバトルゾーンに出した時、自分のマナゾーンに火のカードが7枚以上あれば、《怒英雄 ガイムソウ》以外の進化ではない火のクリーチャーを1体、自分の手札からバトルゾーンに出してもよい。そのクリーチャーは「スピードアタッカー」を得、ターンの終わりにバトルゾーンから自分の手札に戻す。
W・ブレイカー
「これが《怒英雄》……!」
戦慄する暁の前に立つのは、《怒英雄 ガイムソウ》。《ガイゲンスイ》に並ぶ、火文明の英雄だ。
『うらあぁぁぁぁぁぁ! オレの能力、マナ武装7、発動ッ!』
《ガイムソウ》が咆哮する。すると、大地が震撼し、《ガイムソウ》のマナゾーンから爆炎が噴き出し、怒り狂ったように燃え盛る。
爆炎は《ガイムソウ》に纏われ、堅牢な鎧となった。
そして炎の中から、一体の龍が飛び出す。
『出て来い! 《アクセル・カイザー「迅雷」》!』
アクセル・カイザー「迅雷」 火文明 (9)
クリーチャー:レッド・コマンド・ドラゴン/ハンター/エイリアン 9000
バトルゾーンにある自分のドラゴンはすべて「スピードアタッカー」を得る。
W・ブレイカー
自分のドラゴンはすべて、シールドをさらに1枚ブレイクする。
「コスト9のドラゴンがタダで出た!?」
『これがオレの能力だぜ。手札の火のドラゴンを、スピードアタッカー付きで呼び出せる。まぁ《「迅雷」》は味方ドラゴンをすべてスピードアタッカーにするから、関係ねぇがな』
得意気に言うガイムソウ。それだけでなく、
『さらにドラゴンのシールドブレイク数も増えるから、このターンに決めちまえば手札に戻ろうと関係ねぇ。さぁ、覚悟しやがれ!』
《ガイムソウ》の怒声と共に、暁へと一斉にドラゴンが襲い掛かって来る。
『まずは《「迅雷」》で攻撃! Tブレイクだ!』
「……っ!」
《アクセル・カイザー「迅雷」》が、その名の通り迅雷の如きスピードで駆け抜ける。気付けば、暁のシールドは二枚にまで減らされていた。
「やば……!」
『おらおらぁ! ボケッとしてんじゃねぇぞ! 《時空の火焔ボルシャック・ドラゴン》で、残りのシールドをブレイクだ!』
続いて《時空の火焔ボルシャック・ドラゴン》も、暁残ったシールドをすべて引き裂く。
これで、シールドゼロ。
『口ほどにもねぇなぁ! 最後はオレが直々にとどめを刺してやらぁ! 《怒英雄 ガイムソウ》で、ダイレクト——』
「待った! S・トリガー発動だよ!」
《時空の火焔ボルシャック・ドラゴン》が割った最後のシールドが、光の束となって収束していく。
「《天守閣 龍王武陣》! 山札の上から五枚捲って、選んだ火のクリーチャーのパワー以下の相手クリーチャーを一体破壊する!」
『……チッ』
つまらなさそうに舌打ちする《ガイムソウ》。
《ガイムソウ》のパワーは7000、暁は捲った五枚の中から、パワー7000以上のクリーチャーを引かなくてはならない。
《天守閣 龍王武陣》の能力で、暁の山札が捲られていく。
《フレフレ・ピッピー》《爆速 ココッチ》《ギャノバズガ・ドラゴン》《爆竜 バトラッシュ・ナックル》——
「って、何気にパワー7000以上のクリーチャー出ないし……」
捲れるカードはあと一枚。その一枚で、逆転に繋がるカードを引きたいところだ。
「来て、なにか来て……!」
そう祈りながら、最後のカードが捲られる——
「——来たぁ! 《爆竜勝利 バトライオウ》だよ! 《バトライオウ》のパワーは8000、《ガイムソウ》を破壊!」
『な……っ!?』
《天守閣 龍王武陣》から発射された《バトライオウ》が、腕に装着された剣で《ガイムソウ》を貫く。
これで、とどめまでは届かない。
「これで凌いだ。さあ、どうする?」
「チィ……ターンエンドだ」
そしてこのターンの終わりに、《ガイムソウ》の能力で現れた《アクセル・カイザー「迅雷」》が手札に戻る。
「さあ、私のターンだよ。《ボルシャック・NEX》を進化、《超熱血 フルボコ・ドナックル》!」
進化して現れた《フルボコ・ドナックル》。このクリーチャーなら、相手クリーチャーを殴り倒しつつ、シールドも破ることができる。
「決めるよ! まずは《コッコ・ルピア》でシールドをブレイク! 続けて《フルボコ・ドナックル》で《時空の火焔ボルシャック・ドラゴン》を攻撃!」
《フルボコ・ドナックル》の拳が、《時空の火焔ボルシャック・ドラゴン》を殴り飛ばす。その衝撃で、ガイムソウの残った二枚のシールドが吹き飛ばされる。
同時に《フルボコ・ドナックル》もアンタップするので、そのままダイレクトアタックを決めてしまうつもりだったが、
「まだだぁ! S・トリガー《天守閣 龍王武陣》!」
砕かれた最後のシールドから、S・トリガーが放たれる。
「でも、《フルボコ・ドナックル》のパワーは11000、そう簡単には破壊できないよ」
いくらドラゴンのパワーが高いと言っても、非進化ドラゴン程度なら、そう簡単に10000を超えたりはしない。《フルボコ・ドナックル》が破壊される可能性は低いはずだが、
「知ったことか! 選ぶのは《真実の皇帝 アドレナリン・マックス》! こいつのパワーは12000、《フルボコ・ドナックル》を破壊だ!」
「うっそ!?」
思いのほか、あっさりと破壊されてしまった。
「そんな、《フルボコ・ドナックル》が……」
「残念だったなぁ! てめぇなんざにやられるオレじゃねぇんだよ!」
「うぅ……」
頼みの綱を潰され、打つ手なしとなった暁。
もうシールドもないので、S・トリガーにも期待できない——
「……なーんてね」
——のは、ガイムソウの方だった。
「あ?」
「まだ私のターンは終わってないよ! 《フルボコ・ドナックル》の勝利によって——」
「《バトライオウ》か? ハンッ、今更そんな奴が出たところで、なにもできねぇよ!」
前のターン暁は《天守閣 龍王武陣》で《バトライオウ》を手札に加えていた。よってこのタイミングで出すとしたら、《バトライオウ》だが、
「違う違う、一応《バトライオウ》も出すけど、本命はこっちだよ! おいで、コルル!」
「おうよ!」
「!」
暁の手札から飛び出したのは、《コルル》だった。
《コルル》は火のドラゴンとファイアー・バードの勝利に反応して現れるスピードアタッカー。《バトライオウ》にはない奇襲性と速効性がある。
「くっ、やべぇ……!」
歯噛みするガイムソウ。しかし、シールドをすべて失った彼に、打つ手はない。
そんな彼に、《太陽の語り手》が飛び掛かる。
「《太陽の語り手 コルル》で、ダイレクトアタック——!」
「——クソッ! 負けたぁ!」
神話空間が閉じ、元の小部屋へと戻ってくる暁とガイムソウ。
戻るや否や、ガイムソウは天を仰いで叫び出した。
『ガイムソウよ、分かったか』
「あぁ!?」
『まだ未熟な面もある、粗削りなところもある。しかし、暁は強い』
「…………」
『彼女はまだ、その才を完全に開花させていない。しかしその才は、儂らをもさらなる高みへと導くものだ』
「……知ったことかよ」
諭そうとする《ガイゲンスイ》の言葉を、しかしガイムソウは正面から突っ撥ねる。
「オレはいつだって、アポロンさんに付き従う! なにがあろうと、それは曲げねぇ!」
『ガイムソウ!』
《ガイゲンスイ》が声を荒げる。いつも物静かで、落ち着いている彼からは考えられないような、鋭い声だった。
『あの方はもういないのだ……そなたも分かっているだろう』
「だから関係ねぇつってんだろうが! あの人がいないからって、それがこの女に従う理由にはならねぇ!」
対するガイムソウも声を荒げる。こちらはただでさえ響く声が、さらに大きく響き、同時に胸の内にも悲痛なまでに響いてくる。
だがそんなガイムソウに対し、《ガイゲンスイ》は言う。
『ガイムソウ、そなたが本当にアポロンの意志に添うというのなら、乱れたこの世界を放っておいていいのか!?』
「っ……!」
『コルルはアポロンの後を継ぐ者、そしてその使い手である暁も、それと同じ存在だ』
つまり、
『彼女の行動そのものが、アポロンの意志に繋がる……分かるな、ガイムソウ』
「……チッ」
ガイムソウは舌打ちすると、次の瞬間にはカードの姿となっていた。
そして、暁の手元へとやって来る。
「おおぅ」
『暁つったか。やっぱりオレは、てめぇのことは認めねぇ』
「え……」
思っていたのとは違う言葉を放つガイムソウだが、
『だが少しだけてめぇに興味を持った。だから、しばらくてめぇのことを、傍で見極めるとする』
「それって……仲間になってくれる、ってことだよね?」
『勘違いすんな! てめぇがアポロンさんに匹敵するなんざありえねぇが、あの人の凄さの一割でも見出せたなら……仲間になってやらねぇこともねぇ』
「……《ドラゴ大王》といい、こういうのってなんて言うんだっけ。ツンデレ?」
なにはともあれ。
暁の手には、新たな英雄のカード《怒英雄 ガイムソウ》がある。
新たなクリーチャーが、暁の仲間となったのであった。