二次創作小説(紙ほか)
- 烏ヶ森編 10話「フォートレス ( No.143 )
- 日時: 2014/10/28 20:41
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: UrB7UrBs)
「《アクア監視員 リツイート》を召喚! 《アクア戦士 バットマスク》でシールドをブレイク!」
「《電脳封魔マクスヴァル》を召喚! コストを1軽減して《暗黒秘宝ザマル》も召喚!」
美琴とガンバランダーのデュエルは、序盤から活発な動きを見せ始めていた。ガンバランダーは小型クリーチャーでビートダウンを開始し、美琴もやや出遅れたがクリーチャーを並べ始める。
「行くぞ! この私《龍覇 ガンバランダー》を召喚!」
そんな折、いち早く自分自身を呼び出す《ガンバランダー》。さらに、それにより超次元の彼方より一対の銃が飛来する。
「私の能力で、超次元ゾーンよりドラグハート・ウエポン、《二丁龍銃 マルチプライ》を呼び出し、私に装備!」
二丁龍銃 マルチプライ 水文明 (2)
ドラグハート・ウエポン
これを装備したクリーチャーはブロックされない。
龍解:自分のターンの終わりに、これを装備したクリーチャーがタップされていれば、このドラグハートをクリーチャー側に裏返し、アンタップする。
《ガンバランダー》は超次元の彼方より飛んできた、龍を模した二丁の拳銃を掴み取る。
「さらに《リツイート》で攻撃! 1枚ドローしシールドをブレイク!」
じわりじわりとアドバンテージを稼ぎつつ攻めてくる《ガンバランダー》。しかし、美琴も押されてばかりではない。
「《マクスヴァル》でコストを下げ、《死神の影デスプルーフ》《死神亡者ボーン・アミーゴ》《死神盗掘男》を召喚!」
手札を使い切り、一気にクリーチャーを展開。さらに、攻撃も開始する。
「《ザマル》で攻撃! その時、相手の手札を一枚墓地へ!」
シールドを割りつつ、手札を削ることで相手のハンドアドバンテージを±0に抑える美琴。とはいえ、相手はドローが得意な水文明、±0では相手のドローが圧倒的に速い。
『私のターン。《アクア操縦士 ニュートン》を召喚、マナ武装3で一枚ドロー! さらにシンパシーでコストを軽減し、1マナで《エナジー・フォーメーション》を発動、二枚ドロー! さらにもう一度《エナジー・フォーメーション》! 二枚ドロー!』
一気に手札を補充する《ガンバランダー》は、さらに、
『私でシールドをブレイク! 《マルチプライ》を装備した私はブロックされない!』
「くっ、S・トリガーは……ない」
拳銃から放たれた銃撃が美琴のシールドを砕くが、トリガーは出ず。
『《リツイート》で攻撃、一枚ドロー!』
「《ボーン・アミーゴ》でブロック! 《デスプルーフ》の効果で私の死神はスレイヤー化しているから、相打ちよ!」
さらに死神が破壊されたことで《死神盗掘男》の能力で一枚ドロー。先ほど消費した手札を補填する。
だがしかし、このターンで《ガンバランダー》を除去できなかったことは痛い。このターン終了時、《マルチプライ》を装備した《ガンバランダー》はタップ状態。
それにより、
『《マルチプライ》の龍解条件成立! 《二丁龍銃 マルチプライ》龍解!』
《ガンバランダー》は両手で構えた《マルチプライ》を空高く放り投げる。二つの拳銃が交錯する瞬間、その二つは変形し始めた。
『——《龍素記号nb ライプニッツ》!』
龍素記号nb ライプニッツ 水文明 (5)
ドラグハート・クリーチャー:クリスタル・コマンド・ドラゴン 5000
このクリーチャーは攻撃もブロックもされない。
落下してきた拳銃は既に《マルチプライ》ではなくなっていた。空中で分解し、合体した二丁拳銃は双頭の龍の姿となり、地に降り立つ。
『ターン終了だ』
「むぅ……私のターン」
美琴のデッキは決してブロッカーが多いわけでも、除去が多いわけでもない。相手の手札を削りながらビートダウンして、一方的に攻める戦術を基礎としている。
なのでこうなってくると、巻き返すのはやや厳しい。
「《死神ギガアニマ》《死神の邪険デスライオス》を召喚! 《デスライオス》の効果で自身を破壊。あなたも一体破壊して」
『《バットマスク》を破壊する』
「さらに《ギガアニマ》の効果で墓地から《ボーン・アミーゴ》を回収。そして《ザマル》でシールドをブレイク! 《死神盗掘男》でシールドをブレイク!」
《ガンバランダー》に負けじとシールドを削っていく美琴。現状では互角の様相を呈している。場だけを見れば。
しかし、《ガンバランダー》は既に決着の一手を持っていた。
『私のターンだ! シンパシーコストを軽減し、呪文《スパイラル・フォーメーション》! 《死神ギガアニマ》を手札へ! さらにもう一枚、呪文《スパイラル・フォーメーション》! 《死神盗掘男》を手札へ! そして——』
残った4マナをすべて使い切ると、どこからともなく《ガンバランダー》たちに後光が差す。
閃光のような、眩い煌めきが発せられる。
『——呪文《閃攻のヒーローラッシュ》! これで私の水クリーチャーはすべてブロックされなくなる!』
「っ!」
《ライプニッツ》と《ニュートン》はもとより、《ガンバランダー》もブロックされなくなったため、《マクスヴァル》では残り二枚のシールドを守れなくなってしまった。
『《ライプニッツ》でシールドをブレイク!』
多銃口のハンドマシンガンから大量の弾丸が放たれ、美琴のシールドが一枚、砕け散る。
『私でシールドをブレイク! さあ、これでとどめだ! 《ニュートン》でダイレクト——』
とどめの一撃を繰り出すその直前、砕かれた美琴のシールドから、漆黒の魔手が伸びる。
「S・トリガー発動《地獄門デス・ゲート》! 《ニュートン》を破壊して、墓地から《デスプルーフ》をバトルゾーンへ!」
なんとか《ガンバランダー》の攻撃を食い止める美琴。しかも同時にクリーチャーを復活できたため、かなり美味しい展開だ。
現状《ガンバランダー》のシールドは二枚。対する美琴のアタッカーは《暗黒秘宝ザマル》と二体の《デスプルーフ》、三打点ある。
つまり返しのターンに、すべてのシールドを割ってとどめまで刺せる戦力が揃ったのだ。
『ぐ、ぬぅ……』
「私のターン。《ボーン・アミーゴ》を召喚、そしてそのまま進化!」
だがしかし、美琴はここで更なる手を打っておく。コストを軽減して出した《ボーン・アミーゴ》をすぐさま進化元とし、死神の頂点に立つ悪魔神を降臨させるのだ。
「死神よ、戦場に蘇れ! 《死神明王バロム・モナーク》!」
これでとどめを刺すには十分すぎる打点が揃ったが、そのすべてをシールドに向ける必要はない。
「《バロム・モナーク》で《ガンバランダー》を攻撃!」
本来ならパワーのより高い《ライプニッツ》を破壊したいところだが、《ライプニッツ》は攻撃されないため、仕方なくドラグナーの方を破壊する。
「私の死神がバトルに勝ったことで、墓地から《死神盗掘男》をバトルゾーンへ! そして《ザマル》でシールドをブレイク!」
《ザマル》の魔手が《ガンバランダー》のシールドを砕く。あと二回の攻撃で、美琴の勝ちだ。
しかし、その砕かれたシールドが、光の束となり収束する。
「っ、来た! S・トリガー発動《龍素記号St フラスコビーカ》を召喚!」
「!」
「残念だったな! これで貴様はこのターン攻め切れない! 勝ち目はなくなったぞ!」
《ライプニッツ》は攻撃もブロックもされないクリーチャー。カードの効果で除去するしかないため、もうどうしようもない。S・トリガーに賭けることも不可能だ。
「くっ……《デスプルーフ》でシールドをブレイク!」
「無駄な足掻きだ。《フラスコビーカ》でブロック!」
残った一枚のシールドはもう一体の《デスプルーフ》がブレイクし、シールドの数はどちらもゼロとなったが、
「このターンで終わりだ! やれ《ライプニッツ》! とどめだ——」
と、《ライプニッツ》が銃口を美琴に向けた刹那、
《ライプニッツ》の首が飛んだ。
「は……?」
唖然とするガンバランダー。どうやら《ライプニッツ》が破壊されたらしいが、あらゆる障害をすり抜け、相手から感知されない《ライプニッツ》が破壊されることなどそうあることではない。
一体なにが、と思ったところに飛び込んできたのは、蛙のような姿のクリーチャー。
「……ニンジャ・ストライク《威牙の幻ハンゾウ》。アンブロッカブルが残って確実に決められると思って油断したわね。《ライプニッツ》は攻撃もブロックもされないけれど、アンタッチャブルじゃないから“選ぶこと”はできる。選べるなら、カードの効果で破壊できるわ」
ともあれ、これでガンバランダーはこのターン、とどめが刺せなくなった。
そして逆に、美琴のとどめを防ぐ手段が彼にはない。
「《バロム・モナーク》で、ダイレクトアタック!」