二次創作小説(紙ほか)
- 烏ヶ森編 11話「怠惰の城下町」 ( No.161 )
- 日時: 2014/11/12 00:48
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: RHpGihsX)
空護とニンジャリバンのデュエル。
まだお互いに大きな動きは見せていない。どちらも相手の出方を伺い、様子を探るように下準備を進めていた。
「拙者のターン。《ボンバク・ボッボーン》召喚! 続けて呪文《邪魂創生》! 《ボンバク・ボッボーン》を破壊し、三枚ドローなり!」
ニンジャリバンの《ボンバク・ボッボーン》が破壊される。そしてその時、《ボンバク・ボッボーン》が弾け飛んだ。
「《ボンバク・ボッボーン》が破壊される時、相手クリーチャー一体のパワーを−2000! 《ユウナギ》を破壊!」
「手札補充と敵獣破壊を同時にこなしますかー……なら僕のターン。《クアトロ・ブレイン》で四枚ドロー、ターン終了ですよー」
「《ポーク・ビーフ》を召喚。そして再び呪文《邪魂創生》! 《ポーク・ビーフ》を破壊し、《ポーク・ビーフ》の効果と合わせて四枚ドロー!」
まるで競い合うようにカードを引きまくる双方。とはいえ、デュエマにおいて手札は非常に重要なので、その量と質を良くするという意味では、あながち悪い手ではない。
「《土隠妖精ユウナギ》二体と、《アクア・スーパーエメラル》を召喚ですよー」
空護は大量の手札から、クリーチャーを並べて来た。かといって積極的に攻めようというつもりではないが、隙あらば攻勢に出るつもりではある。
だが、ニンジャリバンのターン。
「……来たぞ。召喚忍法、口寄せの術! 現れよ《隠密の悪魔龍 フドウガマオウ》!」
隠密の悪魔龍 フドウガマオウ 闇文明 (7)
クリーチャー:デーモン・コマンド・ドラゴン/シノビ 8000
相手のターンのはじめに、バトルゾーンにある相手のクリーチャーを1体選ぶ。そのクリーチャーはそのターン、可能であれば攻撃する。
相手のクリーチャーが攻撃する時、それがそのターンはじめての攻撃であれば、コスト6以下の進化ではないファンキー・ナイトメアを1体、自分の手札からバトルゾーンに出してもよい。そうした場合、そのターンの終わりにそのファンキー・ナイトメアを破壊する。
W・ブレイカー
もくもくと煙を立てて現れたのは、一体の悪魔龍。しかしそれは、罪に罰を与える存在ではなく、戦いの中で生き残るため、勝ち抜くために生み出された、暗殺に特化した悪魔龍だ。
「ターン終了なり」
「ドラゴン・サーガのクリーチャーでありながらシノビ、ですかー……面白いですねー。僕のターン」
と、空護がカードを引く直前、《フドウガマオウ》の目が赤く光った。そして、下半身の蝦蟇口が舌を出し、あからさまに挑発している。
「忍ッ! 貴様のターンの最初に《フドウガマオウ》の能力が発動する。貴様の《アクア・スーパーエメラル》は、このターン拙者を攻撃しなくてはならない。これぞ忍法、怒車の術!」
「強制攻撃ですかー、面倒ですねー……」
まだ準備が完了していないので、下手にシールドを割りたくはない。それに次のターンには確実に殴り返されるので、リスクが大きい。
しかしそれをごねたところで、どうにかなるものでもない。
「とりあえず《緑神龍バグナボーン》を召喚。《アクア・スーパーエメラル》で攻撃——」
「忍ッ! 再び《フドウガマオウ》の能力発動なり!」
《フドウガマオウ》は、相手の初撃に反応し、手札からファンキー・ナイトメアを呼び出すことができる。この時《フドウガマオウ》の呼び声に応えたのは、
「出陣せよ、《龍覇 ドクロスカル》! そして超次元の彼方より、ここに呼べ! 《悪夢卍 ミガワリ》!」
骸骨のような姿のぬいぐるみが現れると、今度は超次元ゾーンから卍型の手裏剣が飛来し、《ドクロスカル》に装着される。
「《悪夢卍 ミガワリ》を《ドクロスカル》に装備だ」
「でも、僕の攻撃は通りますよー。シールドをブレイク」
そしてターン終了、する時に。
「《フドウガマオウ》の能力により呼び出された《ドクロスカル》は破壊される」
「破壊……?」
せっかく出したのに、すぐに破壊されるのでは意味がない。
ドラグハート・ウエポンも装備しておきながら、返しのターンに生き残れないのであれば無意味だ——それが、普通のドラグハートであるならば。
「しかし、《ドクロスカル》が破壊される代わりに、《ドクロスカル》に装備された《ミガワリ》を龍解させる! これぞ忍法、身代わりの術なり! 忍ッ!」
卍型の手裏剣は《ドクロスカル》に突き刺さったが、まるで《ドクロスカル》の死を吸い取っているかの如く、その身を赤く発光させる。
そして次の瞬間。ガタガタガタ! と凄まじい勢いで《ミガワリ》が変形していく。その果てには——
「《悪夢卍 ミガワリ》、2D龍解なり! ここに建て、我らが屋敷よ! 《忍者屋敷 カラクリガエシ》!」
悪夢卍(まんじ) ミガワリ 闇文明 (2)
ドラグハート・ウエポン
龍解:これを装備したクリーチャーが破壊される時、墓地に置くかわりにこのドラグハートをフォートレス側に裏返す。
忍者屋敷 カラクリガエシ 闇文明 (4)
ドラグハート・フォートレス
自分のターンのはじめに、自分の山札の上から2枚を墓地に置いてもよい。
龍解:自分の闇のクリーチャーが破壊された時、このドラグハートをクリーチャー側に裏返し、アンタップしてもよい。
瞬く間に組み上がったのは、正に忍者屋敷。卍型の赤い装飾が施された、和風の屋敷だ。
「破壊される代わりに龍解して、フォートレスになるんですかー……」
空護も一騎がドラグハートをよく使うので、龍解のギミックは知っている。しかし、破壊を置換して龍解するドラグハート、しかもウエポンからフォートレスへ変形するドラグハートは初めて見た。
「では、拙者のターンなり。まずは《カラクリガエシ》の能力で、山札の上から二枚を墓地へ。続き、墓地の《シバカゲ斎》のマナ武装5、発動。山札の上から五枚を墓地へ送り、墓地の《シバカゲ斎》をバトルゾーンへ」
シバカゲ斎 闇文明 (5)
クリーチャー:ファンキー・ナイトメア 2000
ブロッカー
このクリーチャーは攻撃することができない。
マナ武装 5:自分のターンのはじめに、このクリーチャーが自分の墓地にあり、自分のマナゾーンに闇のカードが5枚以上あれば、自分の山札の上から5枚を墓地に置いてもよい。そうした場合、このクリーチャーをバトルゾーンに出す。
墓地からクリーチャーが戻って来るのは面倒だが、《カラクリガエシ》《シバカゲ斎》と、凄い勢いで墓地が肥えていき、ニンジャリバンの山札は残り僅か。かなり危ない橋を渡っている状態だ。
そんな中、ニンジャリバンはさらに動く。
「そして拙者《龍覇 ニンジャリバン》、ただいま推参!」
遂に《ニンジャリバン》本体が、バトルゾーンへと参上した。
『拙者の能力により、超次元の彼方から出でよ! 月下に建つ獣の古城! 《魂喰いの魔狼月下城》!』
魂喰いの魔狼月下城 闇文明 (3)
ドラグハート・フォートレス
バトルゾーンにある自分の闇のクリーチャーはすべて「スレイヤー」を得る。
龍解:自分のターンのはじめに、バトルゾーンに自分の闇のクリーチャーが2体以上あれば、このドラグハートをクリーチャー側に裏返し、アンタップする。
「次から次へとドラグハートが出ますねー……まったく、参りますよー」
『《ドクロスカル》で《アクア・スーパーエメラル》を攻撃!』
そしてクリーチャーも殴り返される。じわりじわりと追い詰められてきた。
「僕のターン」
『《フドウガマオウ》の能力発動! 《バグナボーン》を指定するぞ』
これで《バグナボーン》は攻撃を強制されてしまった。
《ニンジャリバン》の場には《魂喰いの魔狼月下城》でスレイヤーと化した、ブロッカーの《シバカゲ斎》。さらに相手の攻撃時に手札からファンキー・ナイトメアを呼び出す《フドウガマオウ》が構えており、こちらから攻撃するデメリットが大きすぎる。
だが、それでも攻撃しなくてはならない。
「……とりあえず、厄介なクリーチャーだけでも掃除しておきますかー。呪文《グローバル・ナビゲーション》で《フドウガマオウ》をマナゾーンへ。さらにマナからクリーチャーを回収し、《スペース・クロウラー》を召喚」
恐らく、《ニンジャリバン》は手札にブロッカーを握っている。ならば《シバカゲ斎》を除去してこのターンの《バグナボーン》の攻撃を通すより、アタッカーにもなり得る《フドウガマオウ》を除去した方が良いという判断だ。どの道、残りデッキが少なすぎて《シバカゲ斎》はこれ以上復活できないのだから。
「《バグナボーン》で攻撃、その時マナゾーンから《土隠雲の超人》をバトルゾーンへ。山札から《斬隠蒼頭龍バイケン》《光牙忍ハヤブサマル》《土隠妖精ユウナギ》の三枚を選択し、このうち一枚を手札へ」
『《シバカゲ斎》でブロックなり! 《シバカゲ斎》はスレイヤー、《バグナボーン》も道連れだ!』
《バグナボーン》と《シバカゲ斎》が共に墓地へと落ちていく。
さらに、《カラクリガエシ》も鳴動し始めた。
「……?」
『遂にこの時が来たか……拙者のクリーチャーが破壊されたことで、《カラクリガエシ》の龍解条件が満たされた』
「なんだって……?」
《カラクリガエシ》はガタガタと震え、やがてその振動が頂点に達した。
『参上せよ、変幻自在な忍の龍! ここにその姿を現せ! 《忍者屋敷 カラクリガエシ》——3D龍解!』
その瞬間、中からなにかが飛び出るように。封印が解かれるかのように。《カラクリガエシ》の秘めたる龍の力が解放される——
『——《絡繰の悪魔龍 ウツセミヘンゲ》!』