二次創作小説(紙ほか)
- 43話「ラヴァー再戦」 ( No.166 )
- 日時: 2015/05/19 02:13
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: RHpGihsX)
「《ドラゴ大王》の能力で、《ドラゴ大王》と《シール・ド・レイユ》をバトル!」
『我が王権の前にひれ伏すがいい! 惰弱なる光の龍よ!』
《シール・ド・レイユ》は《ドラゴ大王》の巨大な爪に引き裂かれ、破壊される。
「やっぱり頼りになるね、流石《ドラゴ大王》」
『当然だ、我を誰だと思っている……それよりも小娘。貴様この頃、少し馴れ馴れしいぞ。大王たる我の前であまりにも頭が高い——』
「そーゆーのいいから! 《バトラッシュ・ナックル》でWブレイク!」
「……S・トリガー《DNA・スパーク》……《ドラゴ大王》をタップ、シールドを追加……」
またシールドを増やされたが、しかしさしたる問題ではない。
《ドラゴ大王》が出れば、もうラヴァーは小型のジャスティス・ウイングを並べて守ることはできない。大型のドラゴンは出てしまうが、そう連打できるものではないので、《ドラゴ大王》のパワーがあれば圧倒できるはずだ。
「……《光線の精霊龍 カチャルディ》召喚。さらに呪文、《ドラゴンズ・サイン》……手札から出すのは、これ……」
光の龍門が開かれ、その中から一体の龍が降り立つ。それは、英雄の名を冠する、正義の龍であった。
「私の世界の英雄、龍の力をその身に纏い、支配の盾で武装せよ——《天英雄 ヴァルハラ・デューク》」
天英雄 ヴァルハラ・デューク 光文明 (7)
クリーチャー:エンジェル・コマンド・ドラゴン 7000
マナ武装7:このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分のマナゾーンに光のカードが7枚以上あれば、次の自分のターンのはじめまで自分のクリーチャーは破壊されない。
W・ブレイカー
現れたのは、《ヴァルハラナイツ》によく似たクリーチャー。しかし《ヴァルハラナイツ》と比べて、その兵装はより防御的なものとなっていた。
「天……英雄? え、英雄のクリーチャーなの? まだ他にもいたんだ……」
てっきり光文明の英雄は《シール・ド・レイユ》だけだと思っていたが、どうやらまだ他にもいたようだ。しかも、その姿を見るに《ヴァルハラナイツ》が変化したクリーチャーのようである。
「《ヴァルハラ・デューク》のマナ武装7、発動……」
「っ、なに……?」
ラヴァーのマナが光り輝く。
「……? あれ?」
しかし、それ以降はなにも起こらない。《ヴァルハラナイツ》のようにクリーチャーをフリーズするのかと思ったが、そうではないらしい。
「よく分からないけど……まあいいや。なにもしてこないなら私のターンだよ! 《熱血龍 バトクロス・バトル》召喚! 《カチャルディ》とバトル!」
ここでブロッカーを破壊できれば、二体のアタッカーでシールドを突き破り、とどめまで行くことができる。
だが、しかし。
《バトクロス・バトル》に殴り掛かられる《カチャルディ》は、マナゾーンから放たれる光の盾によってその拳を受け止めた。
「え!? なに!?」
バトルは発生したようだが、しかし《カチャルディ》は破壊されていない。どういうことかと、暁が驚愕していると、
「《ヴァルハラ・デューク》の能力で、私のクリーチャーは破壊されない……」
「えぇ!? 嘘!」
これでは、このターンにとどめを刺すことができない。どころかブロッカーが除去できないとなれば、次のターンにまた展開を許してしまう。
「いや……それでもこっちが優勢だし、ここは攻める! 行って《ドラゴ大王》!」
『貴様に指図されるまでもない! 喰らうがいい!』
「《カチャルディ》でブロック……」
《ドラゴ大王》が飛翔し、シールドへと突っ込むが、《カチャルディ》がそれを阻む。そして、やはりその攻撃は光の盾によって弾かれ、《カチャルディ》は守られた。
『ちぃ、小癪な……!』
「でも、これでシールドは貰った! 《バトラッシュ・ナックル》で最後のシールドをブレイク!」
《バトラッシュ・ナックル》の爪が、ラヴァーの最後のシールドを引き裂く。
「…………」
シールドの破片が飛び、ブレイクの衝撃でラヴァーの髪がなびく。
スッと、ラヴァーは閉じていた目を開き、砕かれたシールドを手にして、山札からカードを引く。
「それで、終わり……なら、私の、ターン」
「っ!」
思わず目を瞑る暁。ラヴァーの背後で眩い光が発せられている。非常に眩しい、世界を照らすかのような閃光だ——
「私の世界を照らし出す——《聖霊龍王 バラディオス》」
《サリヴァン》の上に、新たなクリーチャーが重ねられる。
それは、絶望とも言えるタイミングで現れた光の龍、《バラディオス》。
「やば……!」
「《バラディオス》の能力で、相手クリーチャーはすべて、フリーズ……」
《バラディオス》の放つ閃光が暁のクリーチャーに襲い掛かる。その光を浴びたクリーチャーの動きは、停止してしまうのだ。
『ぬぅ、またも小癪な……!』
「でも、《ドラゴ大王》のパワーは13000、《バラディオス》じゃ倒せないし、《ムルムル》とか、《エバーローズ》から《エバーラスト》が出ることもないよ」
とはいえ、安心はできない。それに《ドラゴ大王》が無事であっても、他のクリーチャーはそうではないのだ。
「なんでもいい……《ヴァルハラ・デューク》で、《バトラッシュ・ナックル》を、《バラディオス》で、《バトクロス・バトル》を、破壊……」
「っ、くぅ……!」
暁の場から、《ドラゴ大王》以外のクリーチャーが消え去った。これで場数でもさらに差がついてしまう。《ドラゴ大王》がいるとはいえ、どんどん暁が不利になっていく。
「大丈夫、私にはまだ《ドラゴ大王》がいてくれるんだから! 呪文《天守閣 龍王武陣》! 山札から《バトルネード》を選んで、今度こそ《カチャルディ》を破壊!」
しかしそれでも、暁は《ドラゴ大王》に縋る。呪文で前のターンに破壊できなかった《カチャルディ》を破壊し、
「マナ武装5で、《天守閣 龍王武陣》で見せた《バトルネード》を手札に! そして《熱血龍 バトルネード》召喚!」
次のターン。次のターンさえ凌げれば、《バトルネード》の能力で《ドラゴ大王》と《バラディオス》をバトルさせ、一方的に討ち取ることができる。
凌げれば、だが。そのような隙のある策を、ラヴァーが見逃すはずもない。
「《光神龍セブンス》……《高貴の精霊龍 ペトローズ》、召喚……」
高貴の精霊龍 ペトローズ 光文明 (5)
クリーチャー:エンジェル・コマンド・ドラゴン 4500
バトルゾーンにある自分の他のドラゴンすべてのパワーは+4000される。
「ドラゴンを強化するドラゴン……まずい……」
これで《バラディオス》のパワーは16000——《ドラゴ大王》を、上回った。
「《バラディオス》で、《ドラゴ大王》を、攻撃……」
刹那。
輝く光輪が、《ドラゴ大王》の翼を切り落としていた。
「っ……《ドラゴ大王》……!」
『ぐ、ぬぅ……!』
そして次の刹那。
《ドラゴ大王》の身が、切り裂かれた。
『ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁ!』
「《ドラゴ大王》!」
なす術もなく、《ドラゴ大王》は墓地へと落ちて行った。
「そ、そんな、《ドラゴ大王》が……」
一気に苦しくなってしまう暁。これでジャスティス・ウイングの展開を許してしまう上に、高パワー、高打点のアタッカーを失ってしまった。
一方、ラヴァーの場には大型の《バラディオス》を筆頭に、五体のクリーチャーが並んでいる。
「うぅ……《セルリアン・ダガー・ドラゴン》召喚。カードをドロー。《霊峰竜騎フジサンダー》召喚……!」
しかし暁は諦めなかった。必死にクリーチャーを展開し、反撃の芽をなんとか作ろうとする。
だが、それももはや無意味だ。
「《天運の精霊龍 ヴァールハイト》……《聖歌の翼 アンドロム》、召喚……《バトルネード》を、フリーズ……」
シールドが増え、《バラディオス》の防衛線が復活。ブロッカーが出され、《バトルネード》の動きも止められる。
今まで何度も経験した。敗北の未来へ向かう、一方通行の道を歩かされるこの感覚。非常に不快で——悔しい。
「《セルリアン・ダガー・ドラゴン》進化! 《超竜サンバースト・NEX》!」
それに抗おうとするも、その抵抗は虚しく、そして儚く散る。
「《サンバースト・NEX》で最後のシールドをブレイク!」
「私の最後のシールドが割られたから、《バラディオス》の、能力発動……相手クリーチャーをすべて、フリーズ……」
何度目になるのか、光が暁のクリーチャーを縛り付ける。
これでは、抵抗も出来ない。
ただただ、弾圧されるのみ。
「……やっと、終わり……《レグルスピア》で、シールドブレイク……」
一枚、シールドが割れる。
「……次……《ヴァールハイト》で、Wブレイク……」
二枚、シールドが割れる。
「……最後……《バラディオス》で、Tブレイク……」
三枚、シールドが割れる。
「あ……う、く……」
もう、暁にシールドは残されていなかった。
盾のなき暁に、英雄の一閃が迸る。
「《天英雄 ヴァルハラ・デューク》で……ダイレクトアタック——」