二次創作小説(紙ほか)
- 烏ヶ森編 12話「太陽山脈」 ( No.168 )
- 日時: 2015/05/19 20:48
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: RHpGihsX)
空護とゴシック・ヘレンのデュエル。
空護の場には《白骨の守護者ホネンビー》。一方ゴシック・ヘレンの場には《不屈の翼 サジトリオ》。
互いにまだシールドは五枚。ほとんど動きのないまま、ゴシック・ヘレンのターン。
「呪文《トロワ・チャージャー》を発動します。手札からコスト3以下の光クリーチャー、《栄光の翼 バロンアルデ》をバトルゾーンへ。私のマナが貴方よりも少ないため、マナを1枚追加します。さらに使用した《トロワ・チャージャー》も、発動後、チャージャーでマナへ行きます。さらにこの増えたマナで、《聖鐘の翼 ティグヌス》を召喚です」
ゴシック・ヘレンは、《バロンアルデ》と《トロワ・チャージャー》の併用で、自然のマナ加速を絡める空護のマナ数を追い抜く。チャージャーが発動後にマナへ行くことを利用した、《バロンアルデ》と組み合わせるマナ加速戦術だ。
「まあ、しかしそんな手間のかかること、そう何度もできるわけでもないですし、別に痛くはないですかねー。んじゃ、僕のターン」
空護はそんなゴシック・ヘレンのことなど意にも介さず、マイペースで自分のターンを開始する。
「《霞み妖精ジャスミン》を召喚、即破壊してマナを追加。続けて、二体目の《ホネンビー》を召喚。山札の上三枚を墓地へ送り、墓地から《隠密の悪魔龍 フドウガマオウ》を回収して、ターン終了です」
「私のターン……さて、遂にこの時が来ました。遂に時が満ちました。この瞬間、この時を、私は心待ちにしていたのです」
「? なんですかー、もったいぶって」
「なに、そう難しいことではありません、簡単なことです。今に分かります」
と言って、ゴシック・ヘレンはすべてのマナを使い切り、残る手札を、場へと送り出す。
「この私、《救済の精霊龍 ゴシック・ヘレン》を召喚!」
現れたのは、数々の装飾を施した天使龍、《ゴシック・ヘレン》。
正義を掲げ、正義の名のもとに行動するエンジェル・コマンド・ドラゴン。それぞれが秘める正義の形は異なり、そんな彼の正義は、自身の僕への救済。
惰弱で矮小だが、大きな正義を執行するためには欠かすことのできない、正義の翼を持つものたち。ともすれば容易く息絶えてしまう彼らを救済し、新たな命を紡ぐのが、彼の正義なのだ。
「……ま、だからなんだって感じですけどねー。それなら僕も動きますよ。呪文《超次元ライデン・ホール》! 超次元ゾーンから《サンダー・ティーガー》をバトルゾーンに。さらに《ホネンビー》を破壊して、《ヴォルグ・サンダー》もバトルゾーンに!」
激しい稲光と電撃が迸り、超次元の門が開かれる。
そこから現れるのは、獣の悪魔。命を一つ、彼らの供物として捧げることで、その命を糧に、二体の悪魔が超次元の彼方より姿を現す。
「《サンダー・ティーガー》の能力で、《バロンアルデ》のパワーを2000下げて破壊。さらに《ヴォルグ・サンダー》の能力で、僕の山札を削りますねー」
サンダー・ティーガー 闇文明 (5)
サイキック・クリーチャー:デーモン・コマンド/ハンター 3000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、バトルゾーンにある相手のクリーチャーを1体選ぶ。そのターン、そのクリーチャーのパワーは−2000される。
覚醒リンク—自分のターンのはじめに、バトルゾーンに自分の《ヴォルグ・サンダー》があれば、そのクリーチャーとこのクリーチャーを裏返しリンクさせる。
ヴォルグ・サンダー ≡V≡ 闇文明 (6)
サイキック・クリーチャー:デーモン・コマンド/ハンター 7000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、プレイヤーを一人選ぶ。そのプレイヤーは、自身の山札の上から、クリーチャーが2体出るまでカードを墓地に置く。
W・ブレイカー
《サンダー・ティーガー》の雷撃で《バロンアルデ》が破壊され、《ヴォルグ・サンダー》の能力で空護の山札からクリーチャーが二体、墓地へと落とされる。
クリーチャーを破壊され、墓地も肥やされたが、だがこの時、《ゴシック・ヘレン》は小さく微笑んだ。
『《バロンアルデ》が破壊されたことで、私の能力が発動します』
救済の精霊龍 ゴシック・ヘレン 光文明 (6)
クリーチャー:エンジェル・コマンド・ドラゴン 6000
W・ブレイカー
このクリーチャーまたは自分の他のクリーチャーが破壊された時、自分の山札の上から2枚を見る。その中から、コスト3以下の進化ではないクリーチャーを1体、バトルゾーンに出してもよい。残りのカードを好きな順序で自分の山札の一番下に置く。
ここで、《ゴシック・ヘレン》の救済が行われる。
《バロンアルデ》は《サンダー・ティーガー》の雷に打たれ、死滅した。しかしその魂は救済され、新たな器を得て現れるのだ。
『山札の上から二枚を見て、その中から《救護の翼 フィルミエ》をバトルゾーンへ』
破壊された《バロンアルデ》に代わり、《フィルミエ》をバトルゾーンへと現れる。
確実ではないとはいえ、クリーチャーを破壊しても、また新しいクリーチャーを出せる《ゴシック・ヘレン》。なかなか厄介な能力だった。
『そして私のターン。《ジャスティス・プラン》を唱え、《聖龍の翼 コッコルア》と《堅牢の翼 アリシオン》を手札に。そして、私でシールドをWブレイク!』
「っ……!」
並んだブロッカーと、自身の能力による疑似的な除去耐性を盾に、《ゴシック・ヘレン》は空護を攻める。
大きな一撃ではないにしろ、そう何度も喰らえる攻撃でもない。早めに処理しなければ。
「とりあえず……僕のターンの初め、《サンダー・ティーガー》と《ヴォルグ・サンダー》を覚醒リンク! 《雷獣ヴォルグ・ティーガー》!」
雷獣ヴォルグ・ティーガー ≡V≡ 闇文明 (12)
サイキック・スーパー・クリーチャー:デーモン・コマンド/ハンター 11000
このクリーチャーが攻撃する時、相手の手札を見ないで1枚選び、捨てさせる。その後、その捨てたカードよりコストが小さいクリーチャーを1体、自分の墓地からバトルゾーンに出してもよい。
W・ブレイカー
リンク解除
二体の獣の悪魔は覚醒し、リンクし、一体となり——雷電の獣となる。
「さらに《隠密の悪魔龍 フドウガマオウ》を召喚! 《ヴォルグ・ティーガー》で《ゴシック・ヘレン》を攻撃! そして、能力発動!」
《ヴォルグ・サンダー》の咆哮と共に、激しい稲妻が迸る。
その雷撃は、《ゴシック・ヘレン》の手札を一枚、貫いた。貫かれたのは、《アリシオン》だ。
「攻撃時、《ヴォルグ・ティーガー》は相手の手札を破壊します。そして、その捨てられたカード未満のコストのクリーチャーを、墓地から呼び戻しますよ。《アリシオン》のコストは3、なので僕は、墓地から《ジャスミン》を復活させます」
だがすぐに破壊してしまい、マナを増やす。
そして雷獣が再び咆哮し、今度は《ゴシック・ヘレン》へとその牙を剥くが、
『守りなさい、《サジトリオ》。ブロックです』
その途中、《ヴォルグ・ティーガー》の進行を《サジトリオ》が妨げる。
とはいえ《サジトリオ》は決して強力なクリーチャーではない。《ヴォルグ・サンダー》の牙によって、粉々に粉砕されるが、
『《サジトリオ》の能力発動! 破壊されることで、山札の上三枚から、コスト3以下のブロッカーをバトルゾーンへ。出てきなさい、《栄光の翼 バロンアルデ》。能力でマナを追加します』
《サジトリオ》は、破壊されても能力で場数が減らない。守りを構築する上では、非常に粘り強いブロッカーだ。
だがしかし、場数が減らないだけなら、まだマシだ。
『さらに、私の能力も発動です。山札の上から二枚を見て、《制御の翼 オリオティス》をバトルゾーンへ』
《ゴシック・ヘレン》の能力によって、新しいクリーチャーが現れる。《サジトリオ》と《ゴシック・ヘレン》の効果が重なることで、場数が減らないどころか、クリーチャー数が増えてしまった。
『では、私のターン——』
「ちょっと待ってくださいよ」
空護の攻撃も空しく防がれ、《ゴシック・ヘレン》のターンがやってくるが、その時、空護は彼にストップをかける。
「ターンを始めるなら、《フドウガマオウ》の能力発動ですよー。《フィルミエ》を指定しますー」
《フドウガマオウ》は、相手ターンの初めに、相手クリーチャーに攻撃を強要する能力を持つ。
基本的にブロッカーは相手プレイヤーを攻撃できないが、ここで《フィルミエ》を指定することで、前のターンに攻撃した《ヴォルグ・ティーガー》へと自爆特攻しなければいけなくなる。
『……まあ、いいでしょう。その程度は些細なことです。私のターン、《コッコルア》を召喚。そして、まずは《フィルミエ》で《ヴォルグ・ティーガーを攻撃——』
「おっと、その時に《フドウガマオウ》の、もう一つの能力を発動させますよー。手札からコスト6以下のファンキー・ナイトメア、《龍覇 ドクロスカル》をバトルゾーンへ」
《フドウガマオウ》の術法により、空護の手札から《ドクロスカル》が飛び出る。
だからといって、攻撃が防がれるわけでもないが、
「《ドクロスカル》がバトルゾーンに出た時、コスト2以下のドラグハートを呼び出しますよー……では、ここからが悪夢の始まりです。《悪夢卍 ミガワリ》を、《ドクロスカル》に装備」
超次元のどこかから、卍型の禍々しい手裏剣が飛来し、《ドクロスカル》へと装備される。
そしてその後、《フィルミエ》の自爆特攻が解決され、《ヴォルグ・ティーガー》に返り討ちにされるが、
『私の能力で、《フィルミエ》を新たな《フィルミエ》としてバトルゾーンへ。そして今度は、私で攻撃! Wブレイク!』
「く……っ!」
再び、《ゴシック・ヘレン》の攻撃が叩き込まれるが、まだシールドは一枚残っている。
そしてなにより、本番はここからだ。
「ターン終了時、《フドウガマオウ》の能力でバトルゾーンに出た《ドクロスカル》を破壊——する代わりに、《ミガワリ》を龍解!」
《ドクロスカル》の破壊によって生じた気を吸収し、《ミガワリ》は《ドクロスカル》身代わりとなって、龍解する。
「《忍者屋敷 カラクリガエシ》! 2D龍解完了、そして僕のターン」
颯爽と龍解を成し遂げ、空護はターンを進めていく。
「《カラクリガエシ》の能力で、山札の上から二枚を墓地へ。さらにマナ武装5、発動! 山札の上から五枚を墓地に置いて、《シバカゲ斎》を墓地からバトルゾーンへ!」
高速で山札を削りながら、空護はさらにクリーチャーを展開していく。その二つは、この後の展開への布石。
その準備を進め、それもそろそろ、終わりの段階へと入る。
「《龍覇 ニンジャリバン》を召喚! その能力で、超次元ゾーンから《魂食いの魔狼月下城》をバトルゾーンへ! さらに《学校男》を召喚! 《シバカゲ斎》と《ドクロスカル》を破壊! そちらも一体、破壊してください」
『《バロンアルデ》を破壊します。しかし私の能力で、山札から《ティグヌス》をバトルゾーンへ』
いくら破壊しても、《ゴシック・ヘレン》の救済により、クリーチャーが減らない。どころか、ターンが進むにつれて、数は増える一方だ。
しかしこの時の空護は、破壊が目的ではなかった。いや、目的は破壊だ。しかし、その矛先は、自分にあった。
「僕の闇のクリーチャーが破壊されたことで……《忍者屋敷 カラクリガエシ》の龍解条件成立」
空護の狙いは、破壊は破壊でも、“自分のクリーチャー”の破壊だ。
それによって、《カラクリガエシ》が、最後の姿を現す準備が整った。
《カラクリガエシ》がガタガタと鳴動し、そのうちに秘めた、変幻自在な悪夢の絡繰りを顕現させる。
「悪夢忍法、絡繰返しの術! 虚空に現れし変幻自在の忍、此処に降臨せん——《絡繰の悪魔龍 ウツセミヘンゲ》!」