二次創作小説(紙ほか)

Another Mythology 6話「賢愚の語り手」 ( No.17 )
日時: 2014/04/21 08:00
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: hF19FRKd)

『侵入者ノ交戦意思ヲ確認。コレヨリ《アクア戦士 バットマスク》ノ第二形態超閃変身ヲ開始シマス』
 アナウンスのような、無機質な電子音のようなものがバットマスクから発せられる。
 すると次の瞬間、バットマスクが眩い光に包まれ、その光の中で姿を変える。
「……! 《ジャバジャック》だと……!?」
 そこに立っていたのは、もはやバットマスクではない。一回り大きくなったバットマスクの進化形、ジャバジャックだ。
「進化したのか……所詮は小型クリーチャーだと思って侮っていたけど、これは少し気を引き締めないとな」



 浬とジャバジャックのデュエル。
 互いにシールドは五枚あり、浬の場には《アクア・メルゲ》《アクア・ハルカス》の二体。
 対するジャバジャックの場には《アクア・ガード》《アクア戦士 バットマスク》《アクア・シャークス》の三体。
「俺のターン。《解体人形ジェニー》を召喚。手札を見せてもらうぞ」
 ジャバジャックの手札にあったのは《アクア・ジェスタールーペ》と《電脳提督アクア・ジーニアス》。
「《ジーニアス》はマッドネス……なら《ジェスタールーペ》を墓地へ。《アクア・ハルカス》でシールドをブレイク!」
『ネクストターン。《バットマスク》ヲ進化《超閃機 ジャバジャック》!』


超閃機 ジャバジャック 水文明 (4)
進化クリーチャー:リキッド・ピープル閃 6000
進化-自分のリキッド・ピープル1体の上に置く。
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、カードを4枚引いてもよい。そうした場合、自分の手札を2枚、好きな順序で山札の一番下に置く。
W・ブレイカー


『《ジャバジャック》デ《アクア・ハルカス》ヲ攻撃。《アクア・シャークス》デシールドブレイク』
「ぐっ……俺のターン! 《アクア・ソニックウェーブ》を召喚し、《アクア・ガード》をバウンス! さらに《腐敗電脳メルニア》を召喚! 《アクア・メルゲ》と《ジェニー》でシールドをブレイク!」
 進化クリーチャーに押されかけている浬だが、負けじとシールドを割り、《ジャバジャック》のシールドは残り二枚。
『ネクストターン。《アクア・ジェスタールーペ》召喚、連鎖発動。《アクア・ガード》ヲバトルゾーンニ出シ、一枚ドロー。サラニ二体目ノ《アクア・ガード》ヲ召喚』
 一気にクリーチャーが三体も並ぶ。しかもうち二体はブロッカーだ。
『《ジャバジャック》《アクア・シャークス》デ《アクア・メルゲ》《ジェニー》ヲ攻撃』
「まだだ! G・ゼロで《盗掘人形モールス》を召喚! 墓地から《アクア・ハルカス》を回収してそのまま召喚! 《腐敗電脳ディス・メルニア》も召喚だ!」
 しかし、展開力なら浬も負けていない。浬も三体のクリーチャーを展開し、
「《メルニア》で《ジャバジャック》を攻撃!」
 《腐敗電脳メルニア》はブロックされないスレイヤー。なのでブロッカーに邪魔されることなく《ジャバジャック》と相打ちになった。
「《アクア・ソニックウェーブ》でシールドをブレイク!」
 ブロックはされず、これでシールドは残り一枚だ。
『ネクストターン。《アクア・エボリューター》召喚。ソノ能力デコストヲ1軽減、《アクア・エボリューター》進化《超閃機 ジャバジャック》!』
「っ、またか……!」
『《アクア・ガード》ヲ召喚。《アクア・シャークス》デ《アクア・ソニックウェーブ》ヲ攻撃』
 《アクア・ソニックウェーブ》が《アクア・シャークス》と相打ちになる。さらに、
『《ジャバジャック》デシールドブレイク』
「《ディス・メルニア》でブロック! お前も道連れだ!」
『問題ナシ。《アクア・ジェスタールーペ》デシールドブレイク』
 少しずつではあるが、浬のシールドも削られている。
「《メルニア》と《アクア・ハンマープライス》を召喚。《モールス》と《アクア・ハルカス》でシールドをブレイク!」
『《アクア・ガード》デブロック』
 《モールス》も《アクア・ハルカス》も《アクア・ガード》もパワー2000。どちらも相打ちとなり破壊される。
「……ターン終了」
『ネクストターン。《アクア・ジェスタールーペ》進化《超閃機 ジャバジャック》!』
 三度現れる《ジャバジャック》。大量ドローによる手札補充と手札交換に加え、高打点アタッカー。流石に浬も、そろそろ耐えきれない。
 しかも、
『《アクア・ガード》ヲ召喚。呪文《スパイラル・ゲート》。《メルニア》ヲ手札ニ戻ス』
「っ!」
『《ジャバジャック》デ攻撃、Wブレイク!』
 遂に《ジャバジャック》の攻撃が、浬のシールドを突き破る。今までの軽量クリーチャーの攻撃の比ではない衝撃が、浬に襲い掛かった。
「が……っ!」
 その一撃でシールドの破片が浬の制服を切り裂く。残りシールドも一枚だけ。
「ご主人様! だ、大丈夫ですか……?」
「……眼鏡が吹っ飛んだ」
 顔を押さえる浬。目を細め、鋭い目がさらに鋭くなる。
「手札は見えるが、相手の場がよく見えない……」
 とはいえ今の状況は理解して記憶している。《ジャバジャック》もプレイングは口にするので、今のところデュエルの進行に問題はない。
「S・トリガー《アクア・バースター》を二体召喚!」
 ここで《アクア・バースター》を破壊すれば、相手のクリーチャーをバウンスできる。となると、どのクリーチャーを戻すか。《アクア・ハンマープライス》で攻撃することを考えればブロッカー二体だが、《ジャバジャック》を戻して手を遅らせるという手もある。しかし《ジャバジャック》は進化クリーチャーなので召喚酔いがない。バウンスでは効果が薄い。
 そのように浬が考え込んでいると、エリアスが、
「ご主人様。《アクア・バースター》は破壊さないでください」
「なに? 手数で攻めろと言うことか?」
「違いますが……とにかく、破壊しないでください。お願いします」
「…………」
 なにやら必死なエリアスを見て、浬はまた考え込む。そして、
「……終わりか?」
 《アクア・バースター》を、破壊しなかった。
『……ターンエンド』
「ご主人様……!」
「だからご主人様じゃない」
 見上げるエリアスにぶっきらぼうに言うと、浬は自分のターンを開始する。
 ターン最初のドロー。その時だ。
「! これは……そういうことか」
 エリアスの魂胆をその時に理解した。同時に、そのカードに書けることを決心した。
 後はただ、そのカードを解き放つだけだ。
「俺のバトルゾーンにリキッド・ピープルは三体。シンパシーによってマナコストを3軽減し、こいつを召喚する!」
 《賢愚神話》によって生み出され、神殿に眠っていた結晶龍。その神秘が今、目覚める——

「海里の知識よ、結晶となれ——《龍素記号iQ サイクロペディア》!」


龍素記号iQ(アイキュー) サイクロペディア 水文明 (8)
クリーチャー:クリスタル・コマンド・ドラゴン 8000
シンパシー:リキッド・ピープル
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、カードを3枚まで引いてもよい。
このクリーチャーはブロックされない。
W・ブレイカー


『認識、クリスタル・コマンド・ドラゴン。エマジェンシー、エマジェンシー——』
 《サイクロペディア》が出て来たことで、《ジャバジャック》の様子がおかしくなる。恐れているか、警戒しているのだろう。
「《サイクロペディア》がバトルゾーンに出たので、カードを三枚ドローだ。そして《メルニア》を召喚し、《アクア・バースター》二体と《アクア・ハンマープライス》で攻撃!」
『《アクア・ガード》デブロック。緊急プログラム、ニンジャ・ストライク発動。《斬隠テンサイ・ジャニット》召喚、《アクア・ハンマープライス》ヲ手札ニ戻ス』
 結局、浬の攻撃は届かないが、さしたる問題はない。
『《アクア・スーパーエメラル》ヲ二体召喚。《アクア戦士 バットマスク》ヲ召喚。《ジャバジャック》で《アクア・バースター》ヲ攻撃』
 守りを固めつつ、殴り返しで《アクア・バースター》の一体を破壊する《ジャバジャック》。しかし、無駄だ。
「ブロッカーを並べれば凌げると思ったのか? 残念だけど、それは叶わない。《解体人形ジェニー》を二体召喚」
 二体の《ジェニー》で《ジャバジャック》の手札をすべて叩き落す。
「《メルニア》でシールドをブレイク」
 まずはブロックされない《メルニア》でシールドを割る。
『S・トリガー発動《夏の日スパイラル》』
「なら《アクア・バースター》を戻す。《サイクロペディア》で攻撃」
『《アクア・スーパーエメラル》でブロック——』
 ——は、できなかった。
 《サイクロペディア》は、二体の《アクア・スーパーエメラル》をすり抜けていく。
「残念だが、《サイクロペディア》はブロックされない。お前がいくらブロッカーを並べても無意味だ」
 溢れる知識は、相手の防御を無効化するのだ。
 そして、神秘の力を宿す結晶龍が飛び立つ。

「《龍素記号iQ サイクロペディア》で、ダイレクトアタック——!」