二次創作小説(紙ほか)
- 烏ヶ森編 12話「太陽山脈」 ( No.171 )
- 日時: 2015/05/21 20:32
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: rGbn2kVL)
「ターン終了だ」
「あたしのターン……さて、どうするか……」
エクストラウィンを成すための下準備が完全に完了し、後はブロッカーを吸収するだけになった《ジーク・キャヴァリエ》。兎にも角にも、まずは《ジーク・キャヴァリエ》をなんとかしたい。
そのために、まず破壊すべきは《ポッピ・ラッキー》だが、
「それより、こっちの方が厄介かもな……よし」
ミシェルはなにか別のものをターゲットに据えたようで、《ジーク・キャヴァリエ》と《ポッピ・ラッキー》から視線をずらす。
そして、手札のカードを抜き取った。
「墓地進化! 《ホネンビー》を進化元に、《暗黒の悪魔神ヴァーズ・ロマノフ》を召喚!」
ミシェルは、墓地の《ホネンビー》を、《ヴァーズ・ロマノフ》へと進化させる。
《ヴァーズ・ロマノフ》は登場時、相手クリーチャーを破壊できるのだが、進化クリーチャーは対象外だ。そうでなくとも、《ポッピ・ラッキー》がいるので選択できない。
なので、ミシェルは違うクリーチャーを狙い撃つ。
「《サスペーガ》を破壊!」
『む……』
《ヴァーズ・ロマノフ》は、剣のような魔銃から、禍々しい魔弾を放つ。
その魔弾はまっすぐに飛んでいき、《サスペーガ》を撃ち抜いた。
「ドローソースは潰した。これで、展開力も落ちたろ」
《ジーク・キャヴァリエ》の能力は、十体ものクリーチャーを自身の下に取り込むという、難度の高い条件がある。
その条件は、言い換えれば十体のクリーチャーを破壊することだが、それ以前に、十体のクリーチャーを場に出すことでもある。
十体もクリーチャーを出そうとすれば、自然と手札が足りなくなるものだが、《ジーク・キャヴァリエ》はそれを《サスペーガ》の能力で補っていたのだ。
『……だが、既に我が軍勢は十分な数となった。止められるものならば、止めて見せよ。私のターン』
これは《ジーク・キャヴァリエ》の言うとおり。《ジーク・キャヴァリエ》は既に、自身の他に五体ものブロッカーを並べている。これを突破するのは難しいだろう。
『《ジャスティス・プラン》を発動。山札よりエンジェル・コマンドとジャスティス・ウイングを手に入れ、《デネブモンゴ》を召喚。カードを引き、手札より《フィルミエ》をバトルゾーンに。さらにG・ゼロで《ウェビウス》も召喚だ』
「これで八体……」
《ジーク・キャヴァリエ》のブロッカーをすべて破壊して突破しようとすれば、メテオバーン条件を満たしてしまう。
かといって、ミシェルのデッキに破壊以外の除去手段があるかと言えば、そうでもない。
だが、
「……突破手段がないわけじゃ、ないな」
ミシェルはニヤリと微笑む。
「あたしのターン。《白骨の守護者ホネンビー》を召喚。山札の上から再毎を墓地へ送り、墓地からクリーチャーを一体回収」
ここで回収するカードは、一枚しかない。こんな状況でも、一発でひっくり返せる切り札。
「《暴走龍 5000GT》を手札に」
『!』
ミシェルの狙いに気付いたのか、《ジーク・キャヴァリエ》の表情が一変する。
だが、今更彼女を止めることなど、不可能だ。
「あたしの墓地のクリーチャーは八体! よって、マナコスト−8! 4マナでこいつを召喚だ!」
数多の屍を踏み越え、加速する暴動者。
暴れるように戦場を突き進むその姿は、正に暴走龍。
「暴走せし無法の龍よ、すべての弱者を焼き尽くせ! 《暴走龍 5000GT》!」
轟くような咆哮と共に、《5000GT》が戦場へとやって来た。
彼の存在は強すぎる。強すぎるがゆえに、惰弱な者は彼の圧力に耐え切れず——消滅する。
「《5000GT》の能力で、パワー5000以下のクリーチャーはすべて破壊だ!」
『な、に……!』
《5000GT》の圧力で、ミシェルのクリーチャーもそうだが、《ジーク・キャヴァリエ》のクリーチャーがほぼ壊滅した。
《ジーク・キャヴァリエ》の場にいたクリーチャーは、ほぼすべてパワー5000以下の小型クリーチャーだ。残されたのは、《ジーク・キャヴァリエ》自身のみ。
『だ、だが、破壊されたクリーチャーはすべて、私の元へと吸収される! これで十体! 力は満たされた!』
そう、すべてのブロッカーを破壊するということは、即ち、《ジーク・キャヴァリエ》の下へと送り込まれるということだ。
元々二枚装填しており、場に八体のクリーチャーを並べていた《ジーク・キャヴァリエ》は、これでメテオバーン発動に必要なクリーチャー十体を、吸収したのだった。
「だが、お前にブロッカーはいない! G・ゼロで《クロスファイア》を召喚! そして、《5000GT》でTブレイク!」
『く……っ!』
ミシェルの狙いは、これだった。
場にメテオバーンに必要な数のブロッカーを並べられてしまえば、もう《ジーク・キャバリエ》本体を狙うしかないのだが、そうしようにも、《ポッピ・ラッキー》や《フィルミエ》が邪魔だった。
ちまちま殴っても弾が装填されるだけ。ならば、とミシェルは発想を転換した。
すべての弾を装填されても構わない。相手のブロッカーを殲滅し、そのままメテオバーンを発動されることなく、とどめを刺せばいい、と。
《5000GT》の破壊的な攻撃が、《ジーク・キャヴァリエ》のシールドを次々と粉砕する。
『ぬぅ……S・トリガー! 《交錯の翼 アキュール》を召か——』
「それは叶わないな。《5000GT》がいる限り、パワー5000以下のクリーチャーは召喚できない!」
《アキュール》のパワーは2000、《5000GT》の圧力には耐えられず、場に出ることが許されないのだった。
ミシェルの猛攻を止めることもできず、《ジーク・キャヴァリエ》はただ一人、最後の一撃を叩き込まれる。
「《百万超邪 クロスファイア》で、ダイレクトアタックだ!」