二次創作小説(紙ほか)
- 烏ヶ森編14話「一騎vsラヴァー」 ( No.183 )
- 日時: 2015/06/18 04:29
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: 0qnzCmXU)
かくして始まった、今回のデュエル。
互いに準備を進めていく中、先に動き出したのは一騎だった。
「行くぞ、恋! 《爆轟 マッカラン・ファイン》召喚!」
轟く炎と共に姿を現す、ヒューマノイド爆、《爆轟 マッカラン・ファイン》。
刹那、一騎のマナが赤い輝きを見せる。
「《マッカラン・ファイン》はマナ武装5でスピードアタッカーだ! シールドをブレイク!」
先んじてシールドを破壊する一騎。先手を取ったと言えば聞こえはいいが、しかしその様子は、どこかせいているようにも見えた。
「……私の、ターン……《超過の翼 デネブモンゴ》召喚……効果で《聖龍の翼 コッコルア》も、バトルゾーンへ……」
まだまだ相手の動きは静か。ブロッカーで堅実に場固めをする。
そんな中、一騎は攻め手を緩めず、追撃をかける。
「俺のターン! 《龍覇 グレンモルト》召喚! そして、来い! 《銀河剣 プロトハート》!」
遙か彼方の銀河から、一振りの剣が流星の如く落下し、《グレンモルト》の前に突き刺さる。そして彼は、それを勢いよく引き抜いた。
「《プロトハート》を《グレンモルト》に装備! さらに《グレンモルト》は《マッカラン・ファイン》のマナ武装でスピードアタッカーに! 《グレンモルト》でシールドをブレイク!」
銀河剣がラヴァーのシールドを切り裂く。そして、
「《プロトハート》の能力発動! 《グレンモルト》をアンタップ! そして、もう一枚ブレイクだ!」
銀河剣は、持ち手に二回の攻撃を与える力がある。その力により、《グレンモルト》は再び剣を構え、シールドを切り裂いた。
これで彼女のシールドは残り二枚。この早いターンでかなり削られたが、相手もただやられるだけではなかった。
「……S・トリガー、発動……《ドラゴンズ・サイン》」
「っ……!」
「手札から、光のドラゴンを、バトルゾーンへ……私の世界に奇跡を起こす……《蒼華の精霊龍 ラ・ローゼ・ブルエ》」
天の龍門から現れるのは、蒼い薔薇を散らせる天使龍、《ラ・ローゼ・ブルエ》。
高い除去耐性に、シールド追加能力。せっかく削ったシールドも、また取り戻されてしまう。
「でも、そうはさせない! ターン終了時、《プロトハート》を装備した《グレンモルト》が、ターン中に二回攻撃しているので、《プロトハート》の龍解条件達成!」
《グレンモルト》は暴れるように揺れ動く《プロトハート》を、天高く投げ飛ばす。それこそ、まるで銀河まで届くかのように。
遙か上空で、《プロトハート》は漲った熱血の力を受け、その力の姿を現す。
「宇宙の星々、熱き血潮を漲らせ、銀河の鼓動を解放せよ! 龍解! 《星龍解 ガイギンガ・ソウル》!」
《プロトハート》が龍解し、現れたのは《ガイギンガ・ソウル》。パワー8000のWブレイカーで、二回攻撃が可能な能力を持つ。一騎の切り札の一体。
これでシールドが増えようが、一気に攻め込むつもりなのだ。
「……私の、ターン」
対するは圧倒的に不利な状況だが、しかし、焦った素振りは見られない。
彼女は静かに、冷静に、次の手を打つ。
「《龍覇 レグルスピア》召喚……効果で、ドラグハート・フォートレス、来て……《浮遊する賛美歌 ゾディアック》」
龍解を見せる一騎に対抗するように、一足遅れてドラグハートを呼び出す。さらに、
「《ラ・ローゼ・ブルエ》で……《グレンモルト》を、攻撃……」
「く……っ!」
一騎の《グレンモルト》が破壊され、シールドも増えて三枚に。
じわりじわりと、巻き返されていく。
だが、じわじわと、などという生易しい速度での巻き返し程度では、今の一騎を止めることはできない。
なぜなら、
「《龍覇 グレンモルト》召喚!」
一騎は返しのターン、ニ体目の《グレンモルト》を呼び出した。
だが、装備する武器は先ほどとは違う。より熱く、燃え上がる勝利の剣だ。
「超次元ゾーンから、《将龍剣 ガイアール》を呼んで、《グレンモルト》に装備! そしてその能力で、《コッコルア》とバトル!」
《ガイアール》を携えた《グレンモルト》は、剣を大上段に構え、一息に振りおろす。
その斬撃を避けることのできない《コッコルア》は、翼と一緒にその身を切り裂かれ、破壊された。
「さらに、《ガイギンガ・ソウル》で攻撃! 《ガイギンガ・ソウル》はガイアール・コマンド・ドラゴン! よってこの瞬間、《将龍剣 ガイアール》の龍解条件は満たされた!」
《将龍剣 ガイアール》の龍解条件は、自分のガイアール、またはガイアール・コマンド・ドラゴンが攻撃すること。
その条件が達成され、《ガイアール》は内に秘めたる熱き魂を、龍の姿としてここに顕現させる。
「戦場の爆炎、熱き闘志を燃え上がらせ、勝利の鼓動を解放せよ! 龍解! 《猛烈将龍 ガイバーン》!」
燃え盛る金色の剣が、内に秘めた龍の魂を解放する。
肉体を伴った龍は、熱き咆哮を轟かせ、戦場へと出陣した。
「《ガイバーン》の龍解は成った! 《ガイギンガ・ソウル》でWブレイクだ!」
「……まだ」
《ガイギンガ・ソウル》による斬撃が、二枚のシールドを打ち砕く。
しかし、その割られたシールドのうち一枚が、光の束となり、収束するのだった。
「……S・トリガー発動……《ヘブンズ・ゲート》」
「な……!」
「《音感の精霊龍 エメラルーダ》《支配の精霊龍 ヴァルハラナイツ》を、バトルゾーンへ……」
天国の門が開かれ、そこから二体の天使龍が舞い降りる。
それにより、一騎の猛攻に、ストップが掛けられてしまった。
「《エメラルーダ》の能力で、手札を一枚、シールドへ……《ヴァルハラナイツ》の能力で、《ガイバーン》を、フリーズ……」
シールドを増やされ、《ガイバーン》は凍結してしまう。しかも相手の場には巨大な光ブロッカーが二体。
シールドの数では優勢で、彼女は防戦一方になっていたはずが、たった一枚のトリガーで、一騎は窮地に立たされてしまう。
しかしそれでも、彼は止まらなかった。
勢いは削がれても、一騎は前に進むことを、やめなかった。
まるで、それはなにかに訴えているような——懇願しているような、様だった。