二次創作小説(紙ほか)
- 51話/烏ヶ森編 18話 「暁vsラヴァー」 ( No.191 )
- 日時: 2015/06/28 22:46
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: 0qnzCmXU)
「暁の先に、勝利を刻め——《爆竜勝利 バトライオウ》!」
《バトラッシュ・ナックル》の勝利に呼応して、《バトライオウ》が戦場へと赴いた。
彼は両腕の刃を打ち鳴らし、大地を震撼させるような咆哮を放つ。その勢いや、燃え盛る炎と同じ、いやさそれ以上の気迫であった。
「《グレンモルト》で、《ソウルガルド》を攻撃!」
攻撃可能な《グレンモルト》は、《ソウルガルド》へと素手で特攻する。ラヴァーの場にはパワー7500のブロッカー、《ウルティマリア》が存在するが、そんなものはお構いなしだ。
なぜなら、《バトライオウ》がこの場にいるから。《バトライオウ》が存在する限り、味方の火のクリーチャーのバトルは、すべて《バトライオウ》が肩代わりすることができる。なので、仮に《ウルティマリア》が出張ってきても、パワー8000の《バトライオウ》に打ち負かされるだけだ。
そのためラヴァーは、素直に《ソウルガルド》を破壊させた。
そして、返しのターン。
「……《純白の翼 キグナシオン》を召喚……さらに、《龍覇 レグルスピア》、召喚……」
再び、ドラグナーを呼び出す。しかも今度は、《アリエース》よりも上級のドラグナーを。
《アリエース》が呼び出せるのは、コスト2以下のドラグハート。だが《レグルスピア》は、コスト3まで出せる。
そして、ラヴァーのコスト3のドラグハートと言えば、
「来て……《浮遊する賛美歌ゾディアック》」
天より、賛美の歌が響く。
一つの島のようになった、浮遊する教会が、天をかき分けて現れた。
これでラヴァーの光クリーチャーはすべてパワーが1000上昇し、《ウルティマリア》のパワーが《バトライオウ》を上回ってしまった。
《キグナシオン》によってシールドへの攻撃も躊躇われる状況。暁は一気に苦しくなってしまったが、
「……ここは攻める。ブロッカーもトリガーも関係ない! 呪文《メテオ・チャージャー》! 《ウルティマリア》を破壊!」
まず《メテオ・チャージャー》で《ウルティマリア》を破壊する。これでパワー負けする心配はなくなった。
「さらに、《爆竜 GENJI・XX》召喚! スピードアタッカーの《GENJI》でそのまま攻撃して、能力発動! ブロッカーの《キグナシオン》を破壊! Wブレイク!」
続けて、《GENJI》を呼び出して《キグナシオン》を破壊。ブロッカーを一掃し、そのまま攻め入る。
だが、その攻め方は非常に危険なものだ。
「《キグナシオン》が破壊されたターン、私のシールドはすべてS・トリガーになる……S・トリガー……《天運の精霊龍 ヴァールハイト》《ジャスティス・プラン》……」
突如、ラヴァーのシールドが純白の光で輝く。
《キグナシオン》の能力によって、ラヴァーのシールドに奇跡の力が宿り、すべてS・トリガーとなったのだ。
《GENJI》の刀が二枚のシールドを切り裂き、その二枚のシールドからクリーチャーと呪文、《ヴァールハイト》と《ジャスティス・プラン》がそれぞれ飛び出し、ラヴァーのシールドと手札を潤す。
どんなに重いカードでも、今はシールドが割れるだけですぐさま発動してしまう。これ以上の攻撃は危険な行為だが、暁は止まらなかった。
「まだまだ! 《バトライオウ》でWブレイク!」
《バトライオウ》が両腕振るい、ラヴァーのシールドをさらに二枚、切り裂く。
一気にシールドを削られるラヴァーだが、割られた二枚のシールドは、光の束となって収束し、彼女の場へと向かうのだった。
「……S・トリガー……《ヘブンズ・ゲート》」
光の束はだんだんとその姿を明確にさせていく。
それは天国へと続く門扉。そこを通り、現世に舞い降りるのは、天命を授かった光の守護者たちだ。
「私の世界の英雄、龍の力をその身に宿し、聖歌の祈りで武装せよ——《護英雄 シール・ド・レイユ》」
そして、
「私の世界に奇跡を起こす——《蒼華の精霊龍 ラ・ローゼ・ブルエ》」
ラヴァーの手札から二体の大型ブロッカー、《シール・ド・レイユ》と《ラ・ローゼ・ブルエ》が現れる。
まずは《シール・ド・レイユ》が力を発動した。その瞬間、ラヴァーのマナゾーンが白い光を発し、《シール・ド・レイユ》の身体を聖歌と盾が覆う。
「《シール・ド・レイユ》の能力で……《バトラッシュ・ナックル》と、《グレンモルト》を、シールドへ……」
次の瞬間には、《シール・ド・レイユ》から発せられる光線によって、暁のクリーチャーが二体、シールドへと封じ込まれてしまった。
これ以上の攻撃はできず、暁はターンを終える。そうして訪れた、ラヴァーのターン初め。
「ターン始めに、光のクリーチャーがニ体以上……《浮遊する賛美歌ゾディアック》、龍解……《賛美の精霊龍 ハレルヤ・ゾディア》」
《ゾディアック》が龍解を果たした。さらにラヴァーのクリーチャーは増え、その鉄壁は堅牢なものとなっていく。
彼女が遠のいてしまうかの如く、暁を拒絶するかの如く、彼女はあらゆる攻撃、破壊を遮断する。
「私の世界の英雄、龍の力をその身に宿し、支配の盾で武装せよ——《天英雄 ヴァルハラ・デューク》」
続けざまに現れたのは、《シール・ド・レイユ》に続く英雄、《ヴァルハラ・デューク》。
その力により、再びラヴァーのマナが光に包まれる。
「《ヴァルハラ・デューク》のマナ武装7、発動……」
マナゾーンの光がラヴァーのクリーチャーにも届き、彼らを守るかのように包み込む。
これでラヴァーのクリーチャーは、次のターンまで破壊されなくなった。
ただでさえ立ち並ぶクリーチャーに押されているというのに、除去を封じられるとなると、ますますもって対抗手段がなくなってしまう。
だがラヴァーはそんな暁の心を折りに来るかのように、彼女の反撃の芽を潰していく。
「《シール・ド・レイユ》《ラ・ローゼ・ブルエ》で……《バトライオウ》《GENJI》を、攻撃……」
「《バトライオウ》、《GENJI》……」
暁のクリーチャーが、切り札が、仲間が。立て続けに破壊されていく。
加えて《ラ・ローゼ・ブルエ》の能力で、ラヴァーはシールドを回復している。あらゆる面から、暁の攻め手は潰されているのだ。
それでも暁は、諦めず、デッキに手をかける。
次なるカードを引くために。
「私のターン……!」
手札のない暁は、このターンのドローに賭ける。どうにか、場を好転できるカードを引くことを祈る。
しかし、現実は非情だった。
「くっ、うぅ……呪文《天守閣 龍王武陣》……!」
捲られたのは《コッコ・ルピア》《ネクスト・チャージャー》《熱血龍 バクアドルガン》《怒英雄 ガイムソウ》《ボルシャック・NEX》の五枚。
暁は《ガイムソウ》を選択するも、《ヴァルハラ・デューク》のマナ武装によって、《龍王武陣》から放たれる砲撃は、すべて弾かれてしまう。
「……マナ武装5で、《ガイムソウ》を手札に……!」
なので結局、暁にできることは、そのカードを手札に入れることだけ。
これ以上はなにもすることができず、ターンを終えるしかなかった。
「……《栄光の翼 バロンアルデ》を召喚、マナを追加……さらに」
ブロッカーとマナを増やしつつ、ラヴァーは、六枚のマナをタップする。
そうして現れるのは、正義執行の使者だった。
「《龍覇 エバーローズ》を召喚……来て……《不滅槍 パーフェクト》」
ドラグハート・ウェポンまで呼び出すラヴァー。彼女の場にはクリーチャーが五体以上存在しているので、龍解条件は満たしている。
つまり、
「世界の王よ、正義を掲げ天より降り立ち、不滅の生と命を授ける。龍解——」
《パーフェクト》が天空へと撃ち出され、一筋の光となりて、地上へと降り注ぐ。
刹那、不滅の槍に宿された龍の魂が、解放される——
「——《天命王 エバーラスト》」