二次創作小説(紙ほか)

51話/烏ヶ森編 18話 「暁vsラヴァー」 ( No.192 )
日時: 2015/06/28 23:47
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: 0qnzCmXU)

「——《天命王 エバーラスト》」
 龍解が成し遂げられた。
 天命が執行される。
 光の正義によって。
 天使龍たちの、王によって。
「龍解……完了……」
「っ……!」
 幾度と見た光景。数多の光クリーチャー。その中心に存在する、《天命王 エバーラスト》。
 次のターン。暁は反撃の芽をすべて潰され、圧倒的な戦力差を武器に、光の軍勢に押し潰される。
 そんなビジョンが、見えたような気がした。
(……ダメ! 弱気になっちゃダメだ、私! このデュエルは、今までとは違うんだ。一騎さんのためにも、一騎さんの分も、戦うんだ!)
 しかし、この状況は絶望的だ。その事実は揺るがない。
 手札の《ガイムソウ》だけではどうしたって突破は不可能。
 逆転の目は、本当に存在しないのか。
 それを否定する時、なにか、途轍もない力を感じた。
 熱く、熱く、ただひたすらに熱く、力強い、なにかが。
(この力は……一騎さん……?)
 無意識に手を置いていたデッキ。それに触れている手に、熱い力を感じる。
 それが一体なんなのか、それは考えるまでもなく理解できた。
 この熱さ、温かさ、優しさ——これは、彼の力だ。
(……お願い、一騎さん。もうちょっとだけ、私に力を貸して……!)
 暁はその一心で、カードを引く。
「私のターン!」
 迷いはなかった。
 今、自分にできること、それは仲間を、彼を信じて、カードを操るだけだ。
 暁はマナゾーンのカードを七枚、タップする。
「暁の先に並ぶ英雄、龍の力をその身に宿し、熱血の戦火で武装せよ! 《怒英雄 ガイムソウ》!」
 爆炎が弾け飛び、噴火の如く、怒り狂う龍の如く、《ガイムソウ》がその姿を現した。
 直後、爆発するかのように、暁のマナゾーンが炎に包まれる。
「《ガイムソウ》のマナ武装7発動! 手札から火のクリーチャーを一体、バトルゾーンへ!」
 出せるクリーチャーなど決まりきっている。今、自分の手札にあるのはこのカードだけだ。
 彼との約束の証。今の自分に応えてくれた、彼の意志。
 それを、今ここに、呼び出す。

「行って! 《龍覇 グレンモルト「爆」》!」



龍覇 グレンモルト「爆」 火文明 (8)
クリーチャー:ヒューマノイド爆/ドラグナー 8000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、コスト5以下の火のドラグハートを1枚、自分の超次元ゾーンからバトルゾーンに出す。(それがウエポンであれば、このクリーチャーに装備して出す)
スピードアタッカー
W・ブレイカー



 《ガイムソウ》の武装の力により現れたのは、《グレンモルト》。
 しかし、いつもの姿とは違う。より熱く、より激しく、内に秘めた力を爆発させるべく刃を振るう《グレンモルト》——《龍覇 グレンモルト「爆」》だ。
 その能力は、超次元ゾーンからコスト5以下の火のドラグハートを呼び出すこと。
 《グレンモルト》は4コスト以下までしか呼び出せなかったが、《グレンモルト「爆」》は呼び出せる範囲が広くなっているのだ。それは、つまり、
「《爆熱剣 バトライ刃》、2D龍解——そしてここに!」
 《バトライ刃》を、《バトライ刃》ではない状態で、呼び出すことができるということだ。
 超次元の空間で、《バトライ刃》はその姿を変える。
 熱血の龍の魂が変質し、龍の刃は、天守閣のそびえ立つ、龍の城へと変形する。
 そして、戦場へと現れた。

「《爆熱天守 バトライ閣》!」



爆熱天守 バトライ閣 ≡V≡ 火文明 (5)
ドラグハート・フォートレス
自分の火のドラゴンまたは火のヒューマノイドが攻撃する時、自分の山札の上から1枚目をすべてのプレイヤーに見せてもよい。それが進化ではないドラゴンまたは進化ではないヒューマノイドであれば、バトルゾーンに出す。それ以外なら、自分の山札の一番下に置く。
龍解:自分のターン中、ドラゴンをバトルゾーンに出した時、それがそのターンに出す最初のドラゴンでなければ、このドラグハートをクリーチャー側に裏返し、アンタップしてもよい。



 《爆熱剣 バトライ刃》が《グレンモルト「爆」》の力を受け、超次元の彼方で2D龍解し、バトルゾーンへとそびえ立つ。
 その姿は、巨大な龍の天守閣を持つ城。
 それこそが、《爆熱天守 バトライ閣》だった。
「《グレンモルト「爆」》はスピードアタッカー! そのまま攻撃!」
 《バトライ閣》を、《グレンモルト「爆」》の能力でウエポン状態を経由せず、直接場へと呼び出した暁。
 彼女はそのまま攻撃する。相手の場に、数多のブロッカーが存在する中で。
 しかしそれは考えなしに特攻したわけではない。《グレンモルト「爆」》が攻撃することで、《バトライ閣》の能力が発動する。
 暁は山札の一番上のカードを捲る。それがドラゴンか進化でないヒューマノイドであれば、そのままバトルゾーンに出せる。
 ここで望むのはドラゴンだ。
 そして、暁が捲るのは——
「——《永遠のリュウセイ・カイザー》! ドラゴンだからバトルゾーンへ!」
 そして。
 暁は、二本の指を突き立てる。
「ターン中、私は二体目のドラゴンをバトルゾーンに出したよ! だから、《バトライ閣》の龍解条件成立!」
 《バトライ閣》の龍解条件は、ターン中に二体ドラゴンを呼ぶこと。
 暁はこのターン、《ガイムソウ》を召喚した。そして《グレンモルト「爆」》の攻撃によって発動した《バトライ閣》の能力で、《リュウセイ・カイザー》をバトルゾーンへと出している。
 《ガイムソウ》と《リュウセイ・カイザー》。この二体から熱血の闘魂を受け、《バトライ閣》はさらにその姿を変形させる。
 魂の在り方を、変質させる。
「《爆熱天守 バトライ閣》——」
 さらなる熱き闘志を燃え上がらせる。
 熱く、熱く、ひたすら熱く。
 燃え上がる。

「暁に先に——」

 勝利を、刻むべく。

「——3D龍解!」

 そして、現れた。
 爆ぜるような熱血の魂が、武神の如き龍の魂が。
 その姿が、ここにある。

 暁の先に、勝利を刻む——



「——《爆熱DX バトライ武神》!」