二次創作小説(紙ほか)

51話/烏ヶ森編 18話 「暁vsラヴァー」 ( No.193 )
日時: 2015/06/29 01:03
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: 0qnzCmXU)

爆熱DX バトライ武神 ≡V≡ 火文明 (8)
ドラグハート・クリーチャー:ガイアール・コマンド・ドラゴン 12000
このクリーチャーが攻撃する時、自分の山札の上から3枚をすべてのプレイヤーに見せる。その中の進化ではないドラゴンと進化ではないヒューマノイドをすべてバトルゾーンに出す。こうして見せたカードが3枚ともドラゴンであれば、そのターン、バトルゾーンにある自分のクリーチャーはすべて「スピードアタッカー」を得る。その後、残りのカードを好きな順序で自分の山札の一番下に戻す。
T・ブレイカー
龍回避—このクリーチャーがバトルゾーンを離れる時、バトルゾーンを離れるかわりに、フォートレス側に裏返す。



 《バトライ刃》が天守閣の城となり、《バトライ閣》へ。
 《バトライ閣》が鎧武者の龍となり、《バトライ武神》へ。
 勝利を刻む戦闘龍は、武器と要塞の姿となり、その内で燃やした闘士を、龍の魂を、すべて解き放つ。
 そして現れた。爆熱の鎧龍が、戦闘と勝利を望み、武神の龍となり、昇華した姿。
 それが——《爆熱DX バトライ武神》。
「《リュウセイ・カイザー》の能力で、私のクリーチャーはすべてスピードアタッカーになる! 《グレンモルト「爆」》で攻撃!」
「《エバーラスト》でブロック……!」
「続けて《爆熱DX バトライ武神》で攻撃! そして、能力発動!」
 大地を揺るがし、天空を震わせる咆哮が響き渡る。直後、《バトライ武神》は刀を振るった。そうして発生した陣風が、暁のデッキから三枚、カードを飛ばす。
 飛ばされたカードは宙を舞い、やがて熱き闘志の火を点けられる。
「《バトライ武神》が攻撃する時、山札の上から三枚を捲って、その中の進化でないドラゴンとヒューマノイドをすべてバトルゾーンに!」
 飛ばされた三枚のカードがすべて、暁の前へと舞い落ちる。
 そして、点火された闘魂が——轟!
 ——と、燃え上がる。
 刹那、爆炎の中から、三体の龍が飛び出した。 

「行っけえぇぇぇぇぇぇぇ! 《ジャックポット・バトライザー》! 《撃英雄 ガイゲンスイ》! 《勝利天帝 Gメビウス》!」

 《バトライ武神》の力に呼応し、暁の仲間たる龍が現れる。
 さらなる龍を呼び込む《ジャックポット》。
 仲間へ熱血の力を託す英雄《ガイゲンスイ》。
 そして呼ぶものに勝利をもたらす《Gメビウス》。
「《ガイゲンスイ》のマナ武装7発動! 私のクリーチャーのパワーはすべて+7000! さらにシールドを一枚追加ブレイクするよ! 《バトライ武神》!」
 暁の声に呼応するかのように《バトライ武神》は刀を振るい、ラヴァーへとその刃を向ける。
 熱血の魂が注ぎ込まれた、熱き炎の刃を。
「っ……《エバーローズ》でブロック……!」
 《バトライ武神》のパワーは《ガイゲンスイ》の能力で+7000されており、パワー19000。《エバーラスト》でも倒せない強さだ。
「《Gメビウス》で攻撃! その時、《Gメビウス》の能力でアンタップして、《バロンアルデ》も破壊!」
「《シール・ド・レイユ》でブロック……!」
「もう一度《Gメビウス》で攻撃! 《ソウルガルド》を破壊!」
 暁の猛攻が始まった。
 《バトライ武神》が呼び集めた龍たちの力を結集させ、ラヴァーの強固な鉄壁を突き崩す。
 彼女のブロッカーは次々と倒れていき、シールドも次々と砕け散る。
 そして、炎が揺らめく。
「……!」
 許しがたい、炎が舞う。
「っ……!」
 仲間を奪った、同胞を消した、友を焼いた、炎が。
 憎々しく、忌み嫌う炎が、今、自分の目の前にある。

 ——彼女の中で、なにかが弾けた。

「……S・トリガー……!」

 そして、彼女の世界を——終わらせる。



「——《アポカリプス・デイ》!」



アポカリプス・デイ 光文明 (6)
呪文
S・トリガー
バトルゾーンにクリーチャーが6体以上あれば、それをすべて破壊する。



 昏い光が戦場を包む。
 刹那、その光はすべての命を無にする。
 黙示録に描かれた1ページが再現される。神話のような凄惨な一場面。絶望的な終末が訪れ、あらゆる生命は消し飛ばされた。
 ——彼女の手によって。
「っ、そんな……」
 状況はこちらが優勢だったはず。《バトライ武神》が数多の龍を呼び、《ガイゲンスイ》が火力を上げ、《リュウセイ・カイザー》が推進力となり、一気に決めるつもりだった。
 天国の門が開こうとも、龍の印が現れようとも、すべてを焼き払うつもりでいた。それだけの力が、暁の戦闘龍にはあったはずだ。
 だが、まさか、彼女が破壊を為してくるとは思いもしなかった。
 すべてを焼き払われたのは、むしろこちら側——すべてが虚無の世界となってしまった。
「で、でも! 《バトライ武神》は龍回避で、《バトライ閣》に——」
「……させるか……! 《ソウルガルド》を召喚……《バトライ閣》を、超次元ゾーンへ!」
「な……っ!」
 声を荒げ、ラヴァーは記憶を封じ込める天使龍を呼び出す。
 場は一掃され、唯一残された《バトライ閣》も超次元ゾーンへと戻されてしまう。
 再び《バトライ武神》へと3D龍解する希望も、断たれてしまった。
「さらに、《コッコルア》を召喚!」
「わ、私のターン……《セルリアン・ダガー・ドラゴン》を召喚! 一枚ドロー!」
「《音感の精霊龍 エメラルーダ》を召喚……さらに、《ソウルガルド》を進化!」
 眩い閃光が、《ソウルガルド》を包み込む。
「私の世界を照らしだす——《聖霊龍王 バラディオス》!」
 そして進化した姿は、封印の光を放つ天使龍《バラディオス》。
 その光を浴びたものはすべて、動きを封じられ、なすすべもなく、圧倒的な力にひれ伏してしまう。
「相手クリーチャーをすべてフリーズ! そのまま攻撃!」
「う……《熱血龍 メッタギルス》召喚! 《コッコルア》を破壊!」
 《セルリアン・ダガー・ドラゴン》がやられ、暁は即座に《メッタギルス》を呼び出す。
 それにより《コッコルア》を破壊するが、
「呪文《ヘブンズ・ゲート》……《提督の精霊龍 ボンソーワル》、そして」
 最悪のタイミングで、天国の門扉が開かれる。
 ラヴァーは割られたシールドから手札を得ており、暁は手札もクリーチャーもほとんどいない。反撃の手は枯渇してしまっている状態だ。
 そんな状況で、二体の天使龍が、舞い降りる。

「私が世界を支配する——《支配の精霊龍 ヴァルハラナイツ》!」

 《ヴァルハラナイツ》が、正義を執行すべく舞い降りた。
 その力により、今度は《メッタギルス》の動きが封じ込まれる。
「《バラディオス》で、《メッタギルス》を攻撃!」
 光輪が《メッタギルス》を両断する。暁は場にクリーチャーを残せず、ひたすら殲滅されてしまう。
 いつになったら、彼女の裁きは、下るのか。
 刻一刻と迫るそれを、無限の時を過ごすかのように、待たされる。
「……《コッコ・ルピア》を召喚して、ターン、終了……」
 暁はカードを引き、クリーチャーを召喚する。
 今の自分にできることは、こんなにもちっぽけだ。次のターンにすぐさま破壊されるかもしれないクリーチャーを呼び出すことしかできない。
 意味もなく、すぐに死にゆくクリーチャーを呼ぶことがどれほど残酷か。分かっているはずなのに、なにもせずにターンを終えることはできなかった。
「《龍覇 エバーローズ》を召喚……!」
 ラヴァーは淡々と、爆発寸前の激情を必死で抑えるように、しかし少しずつ漏れ出ている感情のままに、次なるクリーチャーを呼び出す。
 龍と心を通わせるドラグナー。《アリエース》《レグルスピア》と見て来た、三体目のドラグナーと、ドラグハート。
 再び舞い戻ってきた、光の使者たち。
 彼女の切り札が封じられた槍が、現れるのだった。
「来て……《不滅槍 パーフェクト》!」
 不滅の槍が、《エバーローズ》の手に渡る。
「《パーフェクト》を《エバーローズ》に装備……さらに、《協奏の翼 メダロ・アンドロム》を召喚!」
 これで、彼女のクリーチャーは全部で五体。
 それが、暁に彼女の正義という裁きを下す合図だった。
 ターン終了、と彼女は告げる。
 そして、昏い光が世界を覆う。
「世界の王よ、正義を掲げ天より降り立ち、不滅の生と命を授ける。龍解——」

 正義執行の天命王が、再び舞い降りる——



「——《天命王 エバーラスト》!」