二次創作小説(紙ほか)
- 98話「ボルメテウス・リターンズ」 ( No.305 )
- 日時: 2016/02/01 15:32
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: 9Mczrpye)
希望と勝利の光が炎となり吹き荒れ、伝説の龍が舞い降りた。
《ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン》。ボルメテウスの名を冠する最初の龍。
聖なる炎で悪を焼き尽くし、かの龍を呼ぶ声があれば幾度でも舞い戻る、伝説の存在。
それが今、デウスの下につき、暁に牙を剥く。
「ターン終了だ」
「っ、《ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン》……いきなり大きなドラゴンが出てビックリだけど、それじゃあ遅いよ! 《バクアドルガン》召喚! そのまま攻撃して、山札をめくるよ!」
次にめくれたのは《熱血龍 メッタギルス》。またもドラゴンなので、手札へ。
そして、直後に《バクアドルガン》が突進し、デウスのシールドを砕く。
確かに《ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン》は強力なドラゴンだが、先にドラゴンを展開した暁の方が、盤面上は有利だ。このまま展開力と速度を持って、暁はドラゴンの攻撃力で押し切ろうとする。
だが、《バクアドルガン》によって砕かれたシールドは、光の束となり収束した。
「S・トリガー、《ボルメテウス・ホワイト・フレア》」
ボルメテウス・ホワイト・フレア 光/火文明 (5)
呪文
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
S・トリガー
次のうちいずれかひとつを選ぶ。名前に《ボルメテウス》とある自分のクリーチャーがバトルゾーンにあれば、両方選んでもよい。
▼相手のパワー6000以下のクリーチャーを1体破壊する。
▼相手のクリーチャーをすべてタップする。
収束した光はデウスの手に。そして、彼は《ボルメテウス》へとその光を託した。
すると、《ボルメテウス》は背中の砲塔から、灼熱の火炎を放つ。白く、轟々と燃え盛る火炎放射は、瞬く間に暁の《バクアドルガン》を飲み込み、灰塵へと変えてしまった。
「二体目の《熱血龍 バクアドルガン》を破壊だ」
「くぅ……!」
「さらに、私の場に《ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン》が存在するので、《ボルメテウス・ホワイト・フレア》のもう一つの能力も使わせてもらおう。相手クリーチャーをすべてタップ」
続けて、主砲の両横に取り付けられた二つの副砲から、眩い閃光が放たれる。
その光を浴びた《ボルシャック・NEX》は動きを封じられ、地に伏せてしまった。
「攻撃を止められた……!」
「では、私のターンだ。《光器パーフェクト・マドンナ》を召喚。そして《ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン》で《ボルシャック・NEX》を攻撃だ」
《ボルメテウス》が《ボルシャック・NEX》に肉薄し、巨大な爪で引き裂いた。
一体、また一体と暁のクリーチャーは破壊され、徐々に勢いを奪われていく。先に展開したアドバンテージが失われていく。
「でも、まだ止まらないよ! 《英雄奥義 バーニング銀河》! コスト5以下の《カレイコ》を破壊! さらにマナ武装7、コスト12以下の《ボルメテウス》も破壊!」
「《禁術のカルマ カレイコ》だけでなく《ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン》までもが破壊されたか。これで踏み倒しを禁ずることはできなくなったが、では君はどう攻める?」
「……ターン終了だよ」
デウスの場には《パーフェクト・マドンナ》がいる。どんな攻撃も、一発であれば《パーフェクト・マドンナ》が受け止めるので、攻撃可能なクリーチャーが《バクアドルガン》しかいない暁は、攻撃せずにターンを終える。
「呪文《エナジー・ライト》。カードを二枚ドローする。続けて呪文《クリスタル・メモリー》。山札からカードを一枚手札に加える。ターンは終了だ」
暁が攻めあぐねている間に、デウスは着々と下準備を進める。手札を潤し、知識を蓄え、じっくりゆっくりと、盤面を制圧していく。
しかし、暁を甘く見てはいけない。
たった1ターン、一瞬であっても、彼女は爆ぜる。
それは火山が噴火し、爆発するかの如く、急激に、迅速に、そして猛烈に、怒涛の勢いで攻める。
爆発的な展開と、爆発的な攻撃力を、発揮するのだ。
「暁の先に並ぶ英雄、龍の力をその身に宿し、熱血の戦火で武装せよ——《怒英雄 ガイムソウ》!」
まずは、英雄の力が解き放たれた。
「ほぅ、英雄か」
「《ガイムソウ》の能力、マナ武装7発動! 手札から火のクリーチャーをバトルゾーンに出すよ! 出て来て《龍覇 グレンモルト「爆」》!」
暁のマナが、赤く光る。七枚の火のカードが、《ガイムソウ》に力を与える。
怒りのような激情を、力に変換。変換した力を、仲間に授与。
《ガイムソウ》の武装を推進力に、新たな戦士、龍と心を通わす者、ドラグナー。《龍覇 グレンモルト「爆」》が、戦場へと駆け出した。
「《グレンモルト「爆」》の能力で、超次元ゾーンからコスト5以下の火のドラグハートを呼べる!」
さらに《グレンモルト「爆」》の力で、今度は超次元の門扉をこじ開ける。
彼の熱血の心に惹かれ、爆熱の城が築城された。
「2D龍解! そしてここに! 来て——《爆熱天守 バトライ閣》!」
龍の天守を持つ城、《バトライ閣》が《グレンモルト「爆」》に呼ばれる。
「《グレンモルト「爆」》で攻撃! その時、山札の上から一枚目を捲って、ドラゴンかヒューマノイドならバトルゾーンに!」
剣の一振りと共に、《バトライ閣》から法螺貝の音が響き渡る。
その音は《グレンモルト「爆」》の熱血と共鳴することで、新たな仲間を呼び起こす。
共鳴の可否は、暁の捲ったカードが証明した。
「捲れたのは《永遠のリュウセイ・カイザー》だよ! ドラゴンだからバトルゾーンに! そして!」
暁は、ビシッと、二本の指を突き立てて、Vサインのように、デウスへと腕を突き出した。
「このターン、二体以上ドラゴンを場に出したことで、《バトライ閣》の龍解条件成立!」
《バトライ閣》が鳴動する。
二体のドラゴンの熱き血潮が力となり、《バトライ閣》に熱血の魂を注ぎ込んだ。
爆ぜるように激しく、灼熱の心が、《バトライ閣》の姿を変える。
「暁の先に——3D龍解!」
それは、暁の先に、勝利を刻む龍——
「——《爆熱DX バトライ武神》!」
《バトライ武神》が、姿を現した。
《バトライ閣》が形を変え、《バトライ武神》へと変化する。城そのものを纏うかのような鎧を身に着け、長大で巨大な太刀を手に、戦場をしっかりと踏み締める。
暁の陣営に《バトライ武神》がそびえるように立つ。そして、その脇をすり抜けるように、一人の剣士が駆け抜けて行った。《グレンモルト「爆」》だ。彼の攻撃は、まだ終わっていない。
「《グレンモルト「爆」》でWブレイク!」
「……S・トリガー、《埋没のカルマ オリーブオイル》をバトルゾーンに。私の墓地のカードをすべて、山札に戻す」
「まだまだ! 《バトライ武神》で攻撃! その時、山札から三枚を捲って、ドラゴンとヒューマノイドをすべてバトルゾーンに!」
《グレンモルト「爆」》に続き、《バトライ武神》が戦場を駆け、太刀を振るう。
爆炎と爆風が轟音を上げ、暁の山札のカードを吹き飛ばし、その中の仲間を一挙に呼び出した。
「《爆竜 バトラッシュ・ナックル》! 《龍世界 ドラゴ大王》! そして——」
暁の場には《ガイムソウ》《グレンモルト「爆」》《リュウセイ・カイザー》《バトライ武神》、さらに《バトライ武神》によって呼び出された《バトラッシュ・ナックル》と《ドラゴ大王》。合計六体のクリーチャーが存在する。
そのコスト合計は、12をゆうに超えていた。さらに《バトラッシュ・ナックル》の種族は、アーマード・ドラゴンとフレイム・コマンド。
太陽が昇る時が来た。
「——私の場は、アーマード・ドラゴンを含む火のクリーチャーのコスト合計が12以上! 条件達成!」
数多くの仲間の力を得て、神話は継承する。
そして彼は、仲間を導く太陽となる。
「進化! メソロギィ・ゼロ——《太陽神翼 コーヴァス》!」
黒翼に抱かれし太陽の化身が、仲間たちの声に導かれ、戦場へと駆けつけた。
「……《コーヴァス》」
『言わなくても分かるぜ。あいつをぶん殴ればいいんだろ? 任せとけ』
「うん、お願い! 《コーヴァス》の能力で、相手クリーチャー一体とバトルするよ! 《オリオティス》とバトル!」
『——はぁっ!』
黒羽が舞い、一陣の風が吹くと、次の瞬間には《オリオティス》の姿はなくなっていた。一瞬のうちに、《コーヴァス》が殴り倒したのだ。
そしてこれで、暁の展開を邪魔するクリーチャーはいなくなった。
「さぁ、行くよ! 《コーヴァス》がバトルに勝ったから、山札の上から三枚を見て、《爆竜 GENJI・XX》をバトルゾーンに!」
「やられたか……だが、《制御の翼 オリオティス》の能力は発動する。そちらのマナゾーンのカードは八枚、《爆熱DX バトライ武神》の能力で現れた、コスト10の《龍世界 ドラゴ大王》は山札に戻って貰おう」
「それでも、《ドラゴ大王》の能力は発動する! 《コーヴァス》と《オリーブオイル》をバトルだよ!」
《オリオティス》によってクリーチャーの存在は制御され、《ドラゴ大王》は山札へと戻らざるを得なくなってしまったが、タダでは消えない。
『我の王権は不滅、決して消えることはない! その印を貴様の身に刻もうぞ! 行け、《コーヴァス》よ!』
「承知だ、《大王》! まだまだ、殴り倒してやるよ!」
次は、《オリーブオイル》に接近する。大きく振りかぶった燃える拳を突き出し、《オリーブオイル》は無数のパーツとなり、バラバラになって吹き飛んだ。
《ドラゴ大王》が山札に戻される中、《コーヴァス》の勝利によってもたらされた風が吹く。
「もう一度、山札を捲るよ!」
今度は《オリオティス》に邪魔されることもない。どれだけ大きなクリーチャーでも呼び出せる。
そして、《ドラゴ大王》の匹敵するほどの力を持つ龍が、降り立った。
「暁の先に、歴史を残せ——《勝利天帝 Gメビウス》!」
クリーチャーそのものに制限をかけて制圧する《ドラゴ大王》と違い、直線的な強さを持つドラゴン《Gメビウス》。
オーバーキルすぎるほどの打点を揃えながら、暁のドラゴンは次々と呼び寄せられる。ちょっとやそっとのS・トリガーでは、防ぎきることは不可能だ。
「《バトライ武神》、行って!」
「《光器パーフェクト・マドンナ》でブロック」
「まだまだ! 《コーヴァス》で攻撃! その時、《鬼スナイパー》とバトルして、山札から《シャックポット・バトライザー》をバトルゾーンに!」
ドラゴンがドラゴンを呼び、そのドラゴンが新たなドラゴンを呼ぶ引き金となる。
これが暁のスタイルだ。数多の龍を操り、爆発的展開力を叩き出す。すべてのドラゴンは、彼女の下に集うのだ。
しかし、その展開力は、必ずしも良い方向に作用するとは限らない。
暁だってわかっていたはずだ。一度、痛い目を見ているはずなのだから。
「……S・トリガー」
デウスは砕かれたシールドを集め、一つのカードの形へと変える。
かつて暁は、自らの展開力によって盤面を覆されたことがある。
それが、その“終焉”が今、再現される。
奇しくも、あの時と同じ場所で。
彼女の時のように。
「かの世界は終焉を迎える——《アポカリプス・デイ》」