二次創作小説(紙ほか)
- 99話「悔恨」 ( No.307 )
- 日時: 2016/02/02 21:30
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: 9Mczrpye)
「——負けちゃったなぁ」
ベッドに寝転がりながら、暁は天井に向かって溜息を吐く。
あの後。デウスの言う通り、彼らはすぐさまその場を去っていった。
残ったものは、暁がデウス・エクス・マキナに敗北したという結果だけ。
なにもなかったのだ。怪我もない、なにも失わなかった。みんな、無事だったのだ。
ただし、暁の中では、まだ蟠りが残っていた。
「《ドラゴ大王》も《バトライ武神》も、そして《コーヴァス》も……みんな頑張ってくれたのに」
それでも、負けた。
世界を終わらせる一撃を受けても、恋と戦った時は、《コーヴァス》の力を借りることで乗り切れた。
今回は最初から《コーヴァス》の力を借りたが、それでも届かなかった。
「まだ、私は弱いのかな……」
正直なところ、《コーヴァス》の力には絶対的な自信があった。どんな逆境でも、どんな強敵でも、どんな困難でも、《コーヴァス》が来てくれれば絶対に乗り越えられる。そう信じていた。
根拠のない自信だ。今まで《コーヴァス》を呼び出して無敗だったからといって、これからも勝ち続けられる保証は、どこにもないというのに。
自分は、コルルと、そして《コーヴァス》に、甘えていたのだろうか。
頼りになる相棒。ここぞという時に助けてくれる仲間。最後は共に勝利を掴む切り札。
暁にとっての《コーヴァス》は、そういう存在だ。しかしそれは、《コーヴァス》だけではなかったはず。
《バトライオウ》、《GENJI》、《ドラゴ大王》、《Gメビウス》、《ガイゲンスイ》に《ガイムソウ》、そして《バトライ武神》。暁には多くの仲間がいる。龍として共に戦う、仲間が。
自分は本当に彼らの力を引き出しているのか? 《コーヴァス》の強さに甘えて、カード扱いがぞんざいになっているのではないか?
上手くカードを扱えている、ファイアー・バードとドラゴンの連携も取れている。それらはすべてただの思い上がりで、本当は、《コーヴァス》に頼り切りになっていただけではないのか?
そう思うと、胸の内からなにかが込み上げてくる。沸々と湧き上がるように、胸を締め付けるような息苦しさ。
枕に顔を埋めて、ぽつりと、言葉を漏らす。
「……悔しい」
デウスに圧倒的に敗北したことが。
そして、自分の弱さと、不甲斐なさが。
「もっと、強くならなきゃ。リュンの言うこととかよく分かんないけど、でも、このまま負けっぱなしは嫌」
いまだにリュンの目的や、目指すもの、その明確なビジョンどころか、ぼんやりとした想像図すらも暁には描けないが、それでも、自分のしたいことは、はっきりした。
「強くなるんだ。私も、コルルたちと——!」