二次創作小説(紙ほか)

100話「侵略」 ( No.311 )
日時: 2016/02/09 07:52
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: 9Mczrpye)

轟く侵略 レッドゾーン L 火文明 (6)
進化クリーチャー:ソニック・コマンド/侵略者 12000
進化—自分の火のクリーチャー1体の上に置く。
侵略—火のコマンド
T・ブレイカー
このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、一番パワーが大きい相手のクリーチャーをすべて破壊する。



 赤き領域を突き抜けた《ザ・レッド》は、その姿を変えていた。
 拳、脚関節、足、両肩はホイールによって接合され、駆動力となる。
 赤い機体がベースとなり、機械的な体幹を備え、鋭角的な肢体を構築する。
 炎を噴き上げ、鳥のシンボルを煌めかせ、音速を超える轟速のスピードで、フィールドを駆け抜ける。
 そしてそれは、赤き領域として、轟くようにすべてを侵略する、伝説の侵略者の姿であった。
「《轟速 ザ・レッド》を、《轟く侵略 レッドゾーン》に侵略!」
「攻撃中に、進化……っ!」
 感情をあまり顔に出さない恋だが、流石にこれには吃驚の色が見て取れた。
 攻撃中でもクリーチャーを呼び出すギミックはあるが、進化クリーチャーが出て来るとなれば、その難易度は大きく上がる。それに、ただのスピードアタッカーだと思っていたクリーチャーが、いきなり大型の進化クリーチャーに化けたのだ。驚かないわけがない。
 同時に、戦慄を覚える。
「これが侵略だ。味わう暇もねーくらいに瞬殺してやるから、今すぐ覚悟を決めな。周回遅れは待ってやらねーぞ!」
 《ザ・レッド》が変形——否、侵略した《レッドゾーン》は、そのままの——否々、より増したスピードで、恋へと突貫する。
「《レッドゾーン》はTブレイカーだ! てめーのシールドを三枚いただくぜ!」
「まずい……《コッコルア》でブロック……」
「させねーよ! 《レッドゾーン》がバトルゾーンに出た時、相手の最もパワーが高いクリーチャーをすべて破壊する! てめーのクリーチャーは一体! そいつももらうぞ!」
 《レッドゾーン》の侵攻を阻もうとする《コッコルア》だが、それは防御にもならない。爆走する《レッドゾーン》に撥ねられ、一瞬にして吹き飛んだ。
 ブロッカーは轢き殺され、三枚のシールドも一瞬でまとめて吹き飛ばされる。めちゃくちゃな突破力だった。
 いくら恋が防御に秀でているとはいえ、これほどの速度でこれほどの攻撃力を叩き出されては、防ぎきれない。あとはS・トリガーだけが頼りだ。
「……トリガー、ない……」
「おらよ! 《ブレイズ・クロー》で最後のシールドをブレイク!」
 《ブレイズ・クロー》の爪が、恋に残された最後の一枚のシールドを切り裂く。
 ここでS・トリガーを引かなければ、恋の負けが確定する。
「…………」
「どうした? トリガーで凌げればてめーの勝ちだ。ほら、出せるモンがあるならさっさと出せよ」
「……トリガー……ない……」
「なら終わりだな」
 あっけなく終わりを告げる。
 最後のシールドも光り輝かない。
 宣言通りの、3ターンキルだった。
 赤き侵略者の場に残った最後のクリーチャーが、恋にとどめを刺す。

「《トップギア》で、ダイレクトアタック——!」