二次創作小説(紙ほか)
- 105話「柚vs恋」 ( No.317 )
- 日時: 2016/02/17 01:37
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: 9Mczrpye)
柚と恋のデュエル。
互いにシールドは五枚
柚の場にはなにもなく、恋の場には《制御の翼 オリオティス》が一体。
「わたしのターンですっ。《龍覇 ケロスケ》を召喚!」
マナを伸ばす柚は、一旦加速を止め、攻勢を見せた。
現れたのは、蛙の面を付けたドラグナー。
「《ケロスケ》の能力で、超次元ゾーンからコスト2以下のドラグハートを呼べます。《卵殻塊 ジュラピル》を出して、《ケロスケ》に装備ですっ!」
超次元の彼方より、一振りの槌が落ちる。卵殻を被る古代龍を模した打撃部を持つ、原始的な槌だ。
今はまだ卵の姿をしたその槌を、《ケロスケ》は掴み取った。
「呪文《ジャスティス・プラン》……山札の上三枚から、エンジェル・コマンドとジャスティス・ウイングを、すべて手札に……」
「《養卵類 エッグザウラー》を召喚ですっ。続けて《ケロスケ》で攻撃! そのとき、《ジュラピル》の能力で、山札からマナをふやしますっ」
《ケロスケ》が《ジュラピル》を振るう。すると、槌から剥がれ落ちた卵殻が地に落ち、それが大地の肥やしとなって、新たなマナを生み出した。
「そして、ターン終了するときに、《ジュラピル》を装備した《ケロスケ》がタップしているので、龍解条件成立ですっ!」
《ジュラピル》が姿を変化させる条件は、一度でもその槌を振るうこと。その条件が満たされた《卵殻塊 ジュラピル》は、武器としての形を捨てる。
そして、武器の姿を捨てると、次は要塞の姿へと成り代わる。
生命誕生の神秘を喚起させる、遺跡という要塞へと。
「2D龍解です——《生誕神秘 ル=ピラッジュ》!」
卵殻塊(エッグ・ハンマー) ジュラピル 自然文明 (2)
ドラグハート・ウエポン
これを装備したクリーチャーが攻撃する時、自分の山札の上から1枚目をマナゾーンに置いてもよい。
龍解:自分のターンの終わりに、これを装備したクリーチャーがタップされていれば、このドラグハートをフォートレス側に裏返してもよい。
生誕神秘 ル=ピラッジュ 自然文明 (4)
ドラグハート・フォートレス
自分の自然のクリーチャーが攻撃する時、自分の山札の上から1枚目をマナゾーンに置いてもよい。
龍解:自分のターンのはじめに、自分のマナゾーンにカードが12枚以上あれば、このドラグハートをクリーチャー側に裏返し、アンタップしてもよい。
地面に振り降ろされ、地中に埋まった《ジュラピル》。母なる大地の中で、一身にその恵みを受け、マナを吸収し、《ジュラピル》は《ル=ピラッジュ》として立ち上がる。
「……呪文《トロワ・チャージャー》で、《ティグヌス》をバトルゾーンに」
2D龍解、ドラグハート・フォートレス。それは決して無視できない要素ではあるが、しかし恋は静かだった。
小さなクリーチャーを並べるだけで、ターンを終える。
「呪文《セブンス・タワー》! メタモーフで3マナふやして、《地掘類蛇蝎目 ディグルピオン》を召喚! ドラゴンがいるのでマナを増やして、一枚ドローですっ!」
対する柚は、攻めの姿勢をキープ。
一度は止めた加速を再開し、むしろその加速度を上げていく。
「さらに《ケロスケ》で攻撃です! そのとき、《ル=ピラッジュ》の能力も発動しますっ。山札の上から一枚目のカードをマナへ!」
《セブンス・タワー》《ディグルピオン》《ル=ピラッジュ》、あらゆるカードを用いて、柚はマナを増大させる。
「続けて《エッグザウラー》でも攻撃です! 《ル=ピラッジュ》の能力で、マナをふやしますっ」
まだ加速を止めない柚。このターンだけで6マナも増やしており、そのマナの数はとうに十を越えている。
「私のターン……《龍覇 セイントローズ》を召喚」
だが、その加速にストップをかけるかのように、恋も動き出した。
彼女のさらなる“正義”の力。《セイントローズ》は、武器ではない龍の魂を呼ぶ。
それは今、柚の場にそびえ立っているものと同質の存在。
一筋の光が射し込む時、“天獄”の箱船が、地上へと降下する。
「私の正義をここに。来て……《天獄の正義 ヘブンズ・ヘブン》」
雲間をかき分けて、神々しい光を放ちながら、《ヘブンズ・ヘブン》がその姿を現す。
「ターン終了時、《ヘブンズ・ヘブン》の能力で、手札からブロッカーを呼び出す……《高貴の精霊龍 プレミアム・マドンナ》をバトルゾーンに」
そして、箱船から天空の使者、聖なる精霊龍も舞い降りる。
すべては主の正義を果たすため。その命に従い、彼らは地上へと侵攻するのだ。
「わ、わたしのターンです……」
たった一枚のカードだが、それでも《ヘブンズ・ヘブン》の強力さは、柚も理解している。それが出てきてしまったということは、柚にとって良い状況ではない。
だが、しかし、
「で、でも、わたしだって……」
柚にだって、手がないわけではないのだった。
「わたしのターンのはじめに、わたしのマナゾーンのカードが12枚以上あるので、《ル=ピラッジュ》の龍解条件成立ですっ!」
遺跡が揺れ動く。
《ル=ピラッジュ》は、大地の偉大なる恵みを受け、龍の魂を解放するための力を十二分に溜め込んだ。その力は生命の活力を促進させるエネルギーとなり、大きな力を与える。
化石から蘇り、最初は小さな卵だった命が、成長する。そして、大いなる力を得た。
自らの受けた成長と、復活の力を。
「3D龍解——《成長類石塊目 ジュランクルーガ》!」
成長類石塊目 ジュランクルーガ 自然文明 (7)
ドラグハート・クリーチャー:ジュラシック・コマンド・ドラゴン 9000
自分のターンに、クリーチャーを1体自分のマナゾーンから召喚してもよい。
W・ブレイカー
《ジュラピル》《ル=ピラッジュ》と生誕し、成長し、遂に古代龍としての姿を取り戻した《ジュランクルーガ》。
毒々しいほどに凶悪な鱗を纏い、大地から巨大な鉄槌を引きずり出して、《ジュランクルーガ》は吼えた。
その雄叫びは、大地を揺るがし、地中深くに沈んだ、化石たちの眠りを覚ます。
「《ジュランクルーガ》の能力で、わたしは1ターンに一度だけ、マナゾーンからクリーチャーを召喚できます! 出てきてくださいっ!」
これが、成長した《ジュランクルーガ》の力。自分がこの姿にあるために経た記憶を、一瞬のうちに他の生命に与える力だ。
大地に眠る化石を呼び覚まし、急成長させ、栄光の時代とまったく同じ姿で、復活させる。
そのために《ジュランクルーガ》は、最後の仕上げを施す。そのホウコウで化石は目覚めた。次に為すべきは、成長。
巨大な槌の一振りで、神秘的なまでの成長の記録を、化石の中に叩き込む。
そして、古代龍が復活した。
「お呼びします、お頭さん——《仁義類鬼流目 ブラキオヤイバ》!」
《ジュランクルーガ》によって復活したのは、仁義の古代龍、《ブラキオヤイバ》。
《ピーア》の能力でコストが下がり、さらに減らしたマナが補填される。実質的に召喚コストが2下がっているような状態で、柚はさらに切り札を呼び出す。
「続けて《四牙類 クアトロドン》を、《ディグルピオン》から進化です! カード引いて、《土隠類 ハコオシディーディ》も召喚!」
次々とクリーチャーを展開する柚。大量のマナを存分に使い、場には何体もの古代龍が並ぶ。
恋へと牙を剥く古代龍たち。見る者を竦ませてしまいそうなほど、恐ろしく、そして巨大な龍だ。
しかし、それらの龍がいくら並ぼうとも、今のままでは恋の守りを突き崩すには至らない。
むしろ逆だ。
恋の天使龍たちが、柚の古代龍の牙を砕く。
「その程度のクリーチャーが出ても、関係ない……私のターン」
恋のターンが訪れる。それと同時に、宙に浮かぶ《ヘブンズ・ヘブン》が光り輝いた。
「この時……私の場に、ブロッカーは三体……《ヘブンズ・ヘブン》の龍解条件成立……」
場に揃ったブロッカーたちが、箱舟に光を与える。
彼女の正義を、命という形にするための光を。
「世界の王よ、正義の名の下に、勝利、封印、加護の三つの盟約をここに誓う。龍解——」
箱舟は形を変える。彼女の正義としての姿を現す。
龍の魂が解放され、天から讃美歌が響き渡る。命という魂は華々しく散る花弁の如く美しい。
そして、ただ一つの正義の名の下に、彼女の世界の王が君臨した。
「——《天命讃華 ネバーラスト》」