二次創作小説(紙ほか)

132話「煩悩欲界」 ( No.412 )
日時: 2016/07/06 13:23
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: ugLLkdYi)

三界 ブッディ 光文明 (5)
進化クリーチャー:エンジェル・コマンド/侵略者 9500
進化—自分の光のクリーチャー1体の上に置く。
侵略—光のコマンド
このクリーチャーが破壊される時、墓地に置くかわりに、自分の手札にあるクリーチャーを1体、このクリーチャーの下に置いてもよい。
このクリーチャーの下に3枚以上カードがあれば、このクリーチャーはバトルゾーンを離れない。
W・ブレイカー



 《ブッディ》の下にあるカードは、侵略元となった《ザゼンダ》と《ブッディ》、そして破壊耐性のコストとなった《トリガブリエ》の三枚。
 三枚のカードを取り込んだ《ブッディ》は、神聖な光に守られ、あらゆる除去を受け付けなくなる。
「いかなるばあいでも、ばをはなれない……」
 それはつまり、破壊だけでなく、破壊以外の除去にも耐性を持つということ。
 そのため、《エウル=ブッカ》によるマナ送還も通用しない。
「……そうか。だからさっき、《ブッディ》のうえに、《ブッディ》をかさねたんだな。《ブッディ》のじょきょたいせいを、あげるために」
「そういうことだ。本来ならば破壊を耐え凌いだ三回目に無敵になるのだが、仏の顔も三度まで、などと悠長なことを言うつもりはない。儂はそれほど寛容ではないぞ」
「おんなたらしの、えろじじいだからな」
「黙れ犬畜生が。殺すぞ」
「おれはしってるぞ。さんかいたいは、おんなをつかまえては、そのからだをもてあそんでいると。ぼんのうまみれだ」
 ウッディが言うと、佛迦王は怒りを見せなかった。
 むしろ、どこか鎮痛な面持ちで、神妙な表情で、重く口を開く。
「……煩悩を捨てきれないのは、承知の上だ。儂は一僧である以前に【鳳】だ。欲望を解放することが、【鳳】としてのあるべき姿だ」
「だが、そのよくぼうに、ゆずをまきこませはしない。やくそく、したからな。おれが、ゆずをまもる!」
 力強く宣言し、ウッディのマナが緑色に光る。
「《エウル=ブッカ》のマナ武装5! 《クマウス》をマナにかえして、ターンしゅうりょうだ」
 《ブッディ》にはマナ送りが効かないため、マナ武装5の対象を《クマウス》へと向け、ウッディはターンを終える。
「……犬畜生の分際で、ほざきおる……儂らのことをなにも知らぬ癖に、勝手に抜かしおる……忌々しい」
 苦い顔で吐き捨てると、佛迦王はカードを引く。そして、さらにクリーチャーを並べた。
「儂のターン。《ガガ・ピカリャン》を召喚。一枚ドローし、もう一体《ガガ・ピカリャン》を召喚。一枚ドロー」
 佛迦王は二体の《ガガ・ピカリャン》を並べる。これで《ガガ・ピカリャン》は場に三体。
「そして、前のターンに召喚した《ガガ・ピカリャン》で攻撃。コスト3以上の光のクリーチャーが攻撃する時、侵略発動!」
「《ゼンジゾウ》か?」
「ふんっ、そう思うか? だがそうは問屋が卸さんよ。煩悩を絶ち、欲界を超え、人間道にて廻れ! 侵略進化! 《三界 ナラカ・マークラ》!」
 三つ目の光が、さらなる輪廻の道を示す。
 《ガガ・ピカリャン》は、金剛の身体を持つ神仏へと侵略する。
 赤く光る眼。背後には、天使のような翼のある円光。台座の上で座禅を組み、荘厳な気迫を発している。
「行け! 《ナラカ・マークラ》でシールドをWブレイク!」
「……トリガーは、なしだ」
「ならばこの時、《ナラカ・マークラ》の能力発動! 《ナラカ・マークラ》の攻撃後、シールドを一枚追加する! さらに《ブッディ》でシールドをWブレイク!」
 佛迦王は攻める。《ナラカ・マークラ》に続き、《ブッディ》が光線を放って追撃する。
 ウッディのシールドが二枚、光線に貫かれて粉砕されるが、
「S・トリガーだ! 《古龍遺跡エウル=ブッカ》! 《ガガ・ピカリャン》と《ナラカ・マークラ》をマナゾーンにかえすぞ!」
「また《エウル=ブッカ》か。芸がないな。ターン終了」
「おれのターン」
 相手の場には無敵状態の《ブッディ》と、《ガガ・ピカリャン》。シールドも四枚ある。
 対するウッディは、シールドが残り一枚。場にいるのも、《ジャスミン》と《ホルデガンス》が一体ずつ。
「……ここが、さいだいのしょうねんば、だな」
 相手は攻め手十分、守りも厚い。こちらは非力なクリーチャーばかりで、残りの盾も心もとない。
 しかし、だからこそ、
「おれの“かくめい”が、しんかをはっきする! よくみておけ!」
「……?」
「まずはこいつだ! 《雪精 X—Girls》をしょうかん!」



雪精 X—Girls(エックスガールズ) 自然文明 (4)
クリーチャー:スノーフェアリー風 4000
自分の自然のパワー6000以上のクリーチャーの召喚コストを最大2少なくする。ただし、コストは0以下にはならない。



 四つの緑のマナを支払って現れたのは、三人組のクリーチャーだった。
 《エリカッチュ》《マリニャン》《サエポヨ》——古代龍を鎮めるために選ばれた巫女。
 時に號の面を被り、時に雪精として歌い踊るクリーチャーだ。
「これで、おれのばにスノーフェアリーが3たい。G・ゼロで《ステージュラ》をしょうかん! さらに《X—Girls》のこうか、はつどう! おれのパワー6000いじょうのクリーチャーをしょうかんするコストは、2すくなくなる! だから、7から2をひいて、5マナでしょうかんするぞ!」
 ウッディに残されたマナは5マナ。その残った5マナをすべて使い切り、ウッディは雪の妖精たちを進化させる。
「《X—Girls》を、しんか!」
 三人組の妖精が、進化の光に飲まれる。
 彼女たちの歌声が力となり、それは舞台となった。
 三人の歌姫を乗せる、革命的な舞台へと。
「おまえのでばんだ! なかまたちのせんじんをきり、とつげきする——さぁ、おれたちの“かくめい”のはじまりだぞ!」
 歌姫たちの舞台が出来上がる。巨大で無骨だが、心優しき意志を持つ舞台だ。
 緑色の巨躯。大木のような脚に、水晶のように隆起した背中。前足の付け根には、革命を示す拳のシンボルが浮かび上がる。
 出来上がった舞台に、三人の歌姫が立った。そして、完成した。
 クスリケウッヅに呼応した、革命的なステージが。

「これがおれの、なかまのちからだ——《革命類突進目 トリケラX》!」