二次創作小説(紙ほか)
- 133話「革命類目」 ( No.413 )
- 日時: 2016/07/08 01:35
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: ugLLkdYi)
《X—Girls》の歌声に導かれ、巨大な古代龍が現れる。
さらに《トリケラX》の頭部には、その《X—Girls》も騎乗している。
「これで、じゅんびかんりょう、だ。いっきにきめるぞ!」
「なにを言うかと思えば、これだから無知で無能な犬畜生は困る。貴様の場にクリーチャーは三体。打点は四。儂のシールドは四枚。とどめを刺すことは不可能だ。その程度も理解できんのか。阿呆が」
「あほはおまえだぞ、ぶっかおう! おまえのしんりゃくが、おれの“かくめい”をひきおこしたんだ! おれの“かくめい”で、おまえのいう“ふかのう”を、“かのう”にしてやる!」
そう宣言してから、ウッディは《トリケラX》に指示を出す。
しかしその指示は、とても単純なものだ。
ただただ、敵に向かって突撃するのみ。
「《トリケラX》でこうげき! そのとき、《トリケラX》のこうか、はつどうだ!」
ウッディの指示によって突進する《トリケラX》。その進撃を邪魔するものは、容赦なく撥ね飛ばされる。
「《トリケラX》よりもよわいクリーチャーを、マナにかえすぞ! 《ガガ・ピカリャン》をマナへ!」
「くっ……だが《ガガ・ピカリャン》が一体消えたところで、なんの支障もない。儂のシールドはまだ四枚もあるのだからな」
「よゆうだな。だが、そのよゆうも、すぐにけしとぶぞ。おまえのたてといっしょにな!」
その瞬間。
《トリケラX》が、咆えた。
古代の龍が、太古の世界にも轟くほどの雄叫びをあげる。
その叫びは、ただ奮起するための叫びではない。
革命を起こすための叫びだ。
「なかまのために、そのちからをささげろ。ちからをあわせて、てきをうて!」
《トリケラX》の咆哮は、古代にまで届いた。
その力を受け、そして、そんな《トリケラX》の姿を見て、仲間たちが応援する。
舞台に立つ歌姫たちの歌と踊りが、戦場に立つ唯一の古代龍を、さらに発奮させた。
それが、革命の証だ。
「“かくめい”はつどう!」
革命類突進目 トリケラX 自然文明 (7)
進化クリーチャー:ジュラシック・コマンド・ドラゴン/革命軍 9000+
進化—自分の自然のクリーチャー1体の上に置く。
このクリーチャーが攻撃する時、このクリーチャーよりパワーの小さい相手クリーチャーを1体選び、持ち主のマナゾーンに置く。
革命2—自分のシールドが2つ以下なら、このクリーチャーのパワーを+9000し、「Q・ブレイカー」を与える。
W・ブレイカー
「《トリケラX》の革命2! おれのシールドが2まいいかのとき、《トリケラX》はパワーが9000ふえて18000! さらにQブレイカーになる!」
「っ!? パワー18000……それに、Qブレイカーだと!?」
《トリケラX》の革命は単純な自己強化だが、その上昇幅は半端ない。20000近いパワーを得るのもそうだが、それ以上に、数少ないQブレイカーの能力を得るというのは、驚異的だった。
一度に四枚のシールドを叩き割るQブレイカー。その一撃だけで、佛迦王の固め直した守りはすべて粉砕される。
「いけ、《トリケラX》! シールドをQブレイクだ!」
「ぐぉ……!」
《トリケラX》は、あらん限りの力で突貫し、佛迦王のシールドを、四枚まとめてぶち抜いた。
砕かれたシールドの破片が飛び散り、佛迦王に降り注ぐ。これだけでもう、シールドはゼロ。とどめを刺される状態まで持ち込まれてしまったが、
「ぐぅ……まだ終了ではない! S・トリガー《閃光の守護者ホーリー》を召喚! 相手クリーチャーをすべてタップだ!」
「!」
「さらにS・トリガー《DNA・スパーク》で、シールドを追加!」
砕かれたシールド四枚のうち二枚が、光の束となって収束する。
一つは守護者となり、眩い閃光でウッディのクリーチャーをすべて地に伏せる。これだけで、ウッディは追撃ができなくなってしまった。
タップとブロッカーを出すだけでは飽き足らず、佛迦王はさらに《DNA・スパーク》も唱える。タップ効果は《ホーリー》を先に出しているので無意味だが、シールドが追加され、さらに守りを固める。
革命を起こしたものの、トリガーによって阻まれ、ウッディは追撃の手を潰されてしまった。このターン、これ以上の攻撃はできない。
「……ターンしゅうりょう、だ」
よって、彼はターンを終えるしかなかった。
「大分、肝を冷やしたが……これで終わりだ、クスリケウッヅ」
トリガーで攻撃を止められただけでなく、クリーチャーの数までもが増えてしまった。ウッディのシールドは残り一枚。ブロッカーもいないため、クリーチャーが二体並ぶだけで危険域に達する。
それになにより、佛迦王の場には、三枚のカードを取り込んだ《ブッディ》がいる。
除去系のS・トリガーでは、攻撃を止めることができない。
「意味はないと思うが、一応、召喚しておこう。《侵略者 クマウス》を召喚。さらに《降臨の精霊 トリガブリエ》も二体召喚だ」
佛迦王の場に《クマウス》と二体の《トリガブリエ》が並ぶ。
しかしそれらのクリーチャーに意義はない。
意義を持つのは、既に場に出ていた、《ブッディ》と《ホーリー》の二体のみ。
「《ホーリー》で攻撃! その時、侵略発動!」
まずは《ホーリー》から動き始める。
「侵略進化! 《三界 ゼンジゾウ》! 貴様の最後のシールドをブレイクだ!」
《ホーリー》が侵略し、《ゼンジゾウ》へと進化する。
《ゼンジゾウ》が振るう錫杖によって、数珠がウッディに残された最後のシールドを射抜き、粉砕した。
「クスリケウッヅ。貴様に勝機は残されていない。トリガーを出そうが、無敵の《ブッディ》を除去する手段を、貴様は持っていないだろう」
「…………」
降り注ぐシールドの破片を浴びながら、ウッディは最後のシールドを確認する。
そのカードを見て、彼の目が少しだけ揺らぐ。
「……S・トリガー」
「っ……?」
小さく呟くように口を開く。その様子に、思わず息を飲む佛迦王。
確かに《ブッディ》に除去カードは通じないが、しかし攻撃を止める手段がないわけではない。
たとえば、先ほど佛迦王がトリガーで出した《ホーリー》など、除去せずに攻撃を止めるカードだ。自然にも、攻撃を止めるカードが少数ながらも存在する。仮にそれらのカードが投入されており、それを引かれてしまうと、攻撃が止まってしまう。攻撃が止まってしまうと、返しのターンで攻めきられてしまう。
そんな可能性を危惧していたが、結果を見れば、それ自体は杞憂であった。
「マナ武装5で、《緑罠類有毒目 トラップトプス》をしょうかんだ……!」
現れたのは、マナ武装5でS・トリガーを得るジュラシック・コマンド・ドラゴン、《トラップトプス》。
有毒目の名の如く、毒によってコスト5以下のカードをマナに還す能力を持っているドラゴンだが、
「ふんっ、なにかと思えばその程度か。笑わせるな。確かに《ブッディ》のコストは5だ。だが無敵の《ブッディ》を除去することはできない。即ち、《ブッディ》を止めることはできん!」
「……《トラップトプス》のこうかで、《トリガブリエ》をマナゾーンへかえすぞ」
《トラップトプス》の毒が《トリガブリエ》を大地に還す。
しかし、それは今の盤面にはなんの影響も与えない。
佛迦王の場には、攻撃可能な《ブッディ》が残っている。
「これでとどめだ。畜生道に堕ちるがいい、クスリケウッヅよ」
冷酷に響く佛迦王。温情も救済も存在しない。
ただそこにあるのは、冷たい光の排除と、征服、そして侵略だけ。
三界を統べる神仏が、六本の腕を振りかざす。
「《三界 ブッディ》で、ダイレクトアタック——」