二次創作小説(紙ほか)

133話「革命類目」 ( No.414 )
日時: 2016/07/10 19:26
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: ugLLkdYi)

「——革命0トリガー、はつどう!」

 《ブッディ》の攻撃が放たれる刹那。
 ウッディは叫んだ。
「じゅもん——《革命の巨石》!」



革命の巨石 自然文明 (3)
呪文
革命0トリガー—クリーチャーが自分を攻撃する時、自分のシールドがひとつもなければ、この呪文をコストを支払わずに唱えてもよい。
自分の山札の上から1枚目を表向きにする。それが自然のクリーチャーなら、相手のクリーチャーを1体選び、持ち主のマナゾーンに置く。
この呪文を唱えた後、墓地に置くかわりに山札に加えてシャッフルする。



「革命0トリガー、だと?」
「そうだ。おれのシールドが0まいで、とどめをくらうとき、てふだからこいつを、つかうことができるんだ!」
 絶体絶命の瞬間で真価を発揮する、革命0トリガー。
 その使用タイミングの関係上、相手のクリーチャーの攻撃を、なんらかの方法で止める効果を持っている。《革命の巨石》の場合、山札の一番上を公開し、それが自然のクリーチャーであれば、相手クリーチャー一体をマナ送りにできる。
 ウッディは山札の一番上を、サッと捲り返す。
「《雪精 X—Girls》だ」
 捲られたのは自然のクリーチャー。そのため、相手クリーチャーをマナに送ることができるが、
「だからどうした! 儂の《ブッディ》は場を離れん! その呪文は不発だ!」
 カードを三枚取り込んだ《ブッディ》は、三界の名の下に、神仏の加護を受ける。その加護を受けた《ブッディ》は、あらゆる障害を受け付けず、その身にかかる災厄をすべて振り払う。
 革命0トリガーと言えど、その加護の前には無力だ。
 しかし、ウッディは首を横に振った。
「いいや、ちがうぞ。《ブッディ》には、マナにかえってもらう」
「なにを言っている! 《ブッディ》は、自身の下にカードを三枚溜めることで、無敵の僧兵となる——」
「おまえこそ、なにをいっている」
 ウッディは佛迦王の言葉を遮り、そして言い放つ。
 今ある現実、そして真実を。

「——おまえの《ブッディ》のしたには、カードは2まいしかないぞ」

 その、刹那だった。
 天空から巨大な岩石が落下する。革命の印が刻まれた、古龍を称えた巨石が。
 《ブッディ》はその巨石に押し潰される。地面へと落とされ、そのまま埋め込まれた。
 そこには加護もなにも存在しない。大自然の、そして革命の力によって、大地へと還されたのだった。
「な……っ!? な、なぜだ!? 儂の《ブッディ》が……!」
「さっきも、いったぞ。おまえの《ブッディ》のしたには、カードは2まいだ。だから、マナにかえせる」
 見れば、確かに《ブッディ》と一緒にマナに送り込まれたカードは、《ザゼンダ》と《ブッディ》の二枚、場に出ていた《ブッディ》と合わせて三枚だ。
 《トリガブリエ》だけが、存在していない。
「い、いつの間に……!?」
「《トラップトプス》のこうかだ」
 《ブッディ》が除去されて困惑を露わにする佛迦王に対し、ウッディはつとめて冷静だった。
 それは、既に勝利を確信したからこその平静なのかもしれない。
 ウッディは場の《トラップトプス》を指し示しながら、続ける。
「《トラップトプス》は、ばにでたとき、コスト5いかの、あいてのカードを1まい、マナにかえす」
「だが、あの時は《トリガブリエ》を対象にしたはず……!」
「そうだぞ。だけど、おれがえらんだのは、さっきだした《トリガブリエ》じゃない。おまえが“《ブッディ》のしたにかさねた《トリガブリエ》だ”」
「! なんだと……!?」
 カード指定除去。
 《トラップトプス》の除去方法は、俗にそう呼ばれるものだ。
 基本的に、除去カードは相手のクリーチャーを指定して除去を行う。《パニック・ルーム》や《トリケラX》、《革命の巨石》がそうだ。しかし、中にはそうでない除去がある。
 それがカード指定除去。これはクリーチャーを指定しておらず、カードを指定して除去するため、除去しにくいクロスギアやドラグハート・フォートレスを除去できる数少ない除去手段だ。当然、カードという扱いならば、クリーチャーでも除去できる。
 ただしクリーチャーを除去する場合は、複数のオブジェクトから構成されたクリーチャー——つまり、進化元を有する進化クリーチャーなどを除去する場合、挙動が変わってくる。
 カードを一枚指定して除去する場合、複数のオブジェクトから構成されたクリーチャーを除去するなら、一体のクリーチャーが抱える一枚一枚のカードの中から選択しなければならない。
 クリーチャーではなく、カードとして参照して除去するため、進化クリーチャーであろうと、カードとしてカウントするならば、一枚にしかならない。
 進化クリーチャーの一番上のカードが剥がされた場合、進化元は場に残るのだが、カード指定除去ならば、逆に進化元を除去することもできる。勿論、それをする意義はかなり薄いが、今回はそれが効いた。
 ウッディは、《トラップトプス》でカードを指定して除去する時、《ブッディ》そのものが除去できないために、《ブッディ》の下に吸収された“進化元のカードを減らした”のだ。それにより、《ブッディ》の下にあるカード枚数は減り、《ブッディ》は加護を受けなくなった。つまり、もう無敵状態ではない。
 破壊による除去は手札をコストにすれば耐えられるが、マナ送りには、無力だった。
「《ブッディ》じたいはむてきでも、《ブッディ》のしたにあるカードまでは、むてきじゃない。じぶんのちからを、かしんしたな、ぶっかおう」
「ぐぬぬ、畜生めが……!」
「おまえの《ブッディ》は、もうむてきじゃないぞ。《革命の巨石》のこうかで、《三界 ブッディ》をマナゾーンへ!」
 これで、ウッディへのとどめは防がれた。
 佛迦王の場には、もう攻撃できるクリーチャーは存在しない。
 これでターンは終わりだ。
「きめるぞ、おれのターン! 《古龍遺跡エウル=ブッカ》で、《クマウス》と《トリガブリエ》をマナゾーンへ! さらに《ジャスミン》を、《ベル・ザ・エレメンタル》にしんかだ!」
 ダメ押しと言わんばかりに、ウッディは追撃のクリーチャーを用意する。
 そして、並べた仲間たちで、総攻撃を仕掛けた。
「《ベル・ザ・エレメンタル》でこうげき! マナをふやして、シールドブレイクだ!」
「ぐぅ……! 《ゼンジゾウ》でブロック!」
「そのバトルは《ステージュラ》がかわりにひきうけるぞ!」
 《ベル・ザ・エレメンタル》もスノーフェアリー。《ステージュラ》の護衛対象であり、《ゼンジゾウ》の防御を打ち砕いた。
「《ホルデガンス》! いってくれ!」
「《トリガブリエ》でブロックだ!」
「そっちも《ステージュラ》がバトルを引き受ける! 《ステージュラ》でもシールドをブレイク!」
 《ステージュラ》がシールドを砕く。しかし、その光は収束しなかった。
「くっ、ここでトリガーなしか……!」
 佛迦王の並べたクリーチャーがすべて消え去り、ブロッカーもシールドもゼロ。守りは完全に消えた。
 これで、決着だ。

「《革命類突進目 トリケラX》で、とどめだ——!」