二次創作小説(紙ほか)
- 番外編 合同合宿1日目 「陽光の下に大海あり5」 ( No.420 )
- 日時: 2016/08/11 22:50
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: ugLLkdYi)
恋と流の対戦。
互いにシールドは五枚。
恋の場にはなにもない。《エンジェル・フェザー》と《ジャスティス・プラン》で手札を整えているだけだ。
対する流の場には《龍覇 メタルアベンジャー》と、それによって呼び出された《龍波動空母 エビデゴラス》。《フェアリー・ライフ》《フェアリー・シャワー》と順調にマナを伸ばして、綺麗に6マナ域へと繋いでいる。
だが、それだけではなかった。
「《霞み妖精ジャスミン》を召喚。破壊してマナを加速」
まずは、山札から一枚。
「さらに呪文《再誕の社》。墓地の《ジャスミン》と《フェアリー・シャワー》をマナへ置くぞ」
次に墓地から二枚。
「続けて呪文《セブンス・タワー》。メタモーフで山札の上から三枚をマナへ」
最後にまた山札から三枚。
流はスイッチが入ったかのように、一気に凄まじい勢いでマナを加速していく。
《ジャスミン》《再誕の社》《セブンス・タワー》と、1ターンで一気に6マナも増やした。
「すごいマナ加速です……わたしでも、あんなにふやすのは、むずかしいですよ」
「でもこの加速の仕方。お相手のお兄さん、見たところ青緑のターボか、ビマナっぽいわね」
「《エビデゴラス》があるからな。どっちかっていうとビマナな気がするが……」
しかし、なにか妙だった。
「私のターン……《音感の精霊龍 エメラルーダ》を召喚……手札とシールドを、交換して、ターン終了……」
「俺のターン。《エビデゴラス》の効果含め二枚ドロー。呪文《フェアリー・シャワー》だ。山札の上二枚から、《母なる星域》をマナへ、もう片方を手札へ。さらにそれぞれ5マナ払い、《キング・シャルンホルスト》《キング・ケーレ》を召喚。《キング・ケーレ》の能力で《エメラルーダ》をバウンスだ」
現れた二体のクリーチャーを見て、暁が首を傾げた。
「《キング・シャルンホルスト》に《キング・ケーレ》? なんか、見たことのないカードだね」
「マイナーどころではあるわね。特に《キング・シャルンホルスト》はただの準バニラブロッカーだし、普通のデッキじゃ採用しないようなカードだけど……どうなのかしら」
「どっちもリヴァイアサンのクリーチャーだけど、リヴァイアサンの種族が生きるカードって言うと、進化クリーチャーくらいだよね」
「進化クリーチャーはありそうだな。マナに《母なる星域》が見える……が、わざわざ《星域》を使い、過剰にターボしてまで、リヴァイアサンの進化クリーチャーを使うものか……?」
どのようなデッキなのか、底が見えてこない。
カード捌きや使用カードから見て、初心者というわけでもなさそうだ。ジャンクデッキはないだろうから、そうなると後は、ファンデッキという可能性くらいしかない。
「私のターン……やっと6マナ……呪文《ヘブンズ・ゲート》」
しかし相手がファンデッキであろうがなんだろうが、恋は全力だった。
相手とのマナの差を倍以上に付けられたが、ここで遂に、天国の門を開く。
「手札から《蒼華の精霊龍 ラ・ローゼ・ブルエ》と《音感の精霊龍 エメラルーダ》をバトルゾーンに……《エネラルーダ》の能力で、シールドを一枚、手札に……」
恋は、前のターンに《エメラルーダ》でシールドに置いたカードを、手札に加えた。
そこから、新しい扉が開かれる。
「S・トリガー……《ヘブンズ・ゲート》」
「おぉ!」
「こいちゃん……!」
二連続の《ヘブンズ・ゲート》に、周りが沸き立つ。リソースに大きな差を付けられた代わりと言わんばかりに、恋はクリーチャーを展開していく。
「手札からさらに《ラ・ローゼ・ブルエ》と、《支配の精霊龍 ヴァルハラナイツ》をバトルゾーンへ……《ヴァルハラナイツ》の能力で、《シャルンホルスト》をフリーズ」
そして恋は、ターンを終える。
「……俺のターン。《エビデゴラス》の能力で二枚ドロー。4マナで呪文《フェアリー・シャワー》だ」
大量のマナをまだ伸ばすつもりなのか、流はさらに《フェアリー・シャワー》を唱える。
そして残り少なくなってきた山札を二枚見て、小さく溜息を漏らした
「……ここまで掘り進んでも出ないか。これは、盾落ちの可能性があるな……」
「……?」
小声でなにか呟いている。よく聞き取れなかったが、盾落ち、という言葉だけは聞き取れた。
流のデッキはなにかしらのコンボデッキで、そのためのキーカードがシールドに行ってしまい、手札に来ないのだろうか。もしそうなのだとすれば、それは殿堂カードの可能性が高い。コンボデッキだろうことを考えると、《ヒラメキ・プログラム》あたりか。
しかし流の取った選択肢は、諦めではない。
進路変更だ。
「仕方ない。こちらでいくか。《キング・ケーレ》をマナに落とし、もう片方を手札へ。そして、12マナをタップ」
「12マナ……」
そのまま出すには重すぎるマナコスト。しかし今の流には、それを支払うだけのマナがある。そして、それだけのマナを得て使われるカードともなると、かなり限定される。
だが、どのようなカードが出てこようとも、今の状況を、流れを大きく引き寄せるだけの力を発揮することだけは、間違いなかった。
「捲りの時間だ——《超絶奇跡 鬼羅丸》」