二次創作小説(紙ほか)

番外編 合同合宿1日目 「花園へ至る道の防衛線7」 ( No.428 )
日時: 2016/08/18 00:09
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: ugLLkdYi)

 《勝利のガイアール・カイザー》の攻撃をトリガーに、《将龍剣 ガイアール》は龍解し、《猛烈将龍 ガイバーン》となる。
 《ガイバーン》は攻撃時に、自身のパワー以下の相手クリーチャーを破壊する。《勝利のガイアール・カイザー》の攻撃を《ハンゾウ》で防いでも、《ガイバーン》の攻撃で、どの道《ベル・ヘル・デ・ガウル》は破壊されてしまう。そのため、ここで《ハンゾウ》を使っても、機能は薄いのだ。
「《ガイアール》の龍解ね、忘れてたわ……でも、あそこで生姜をすりおろしておけば、《ガウル》の能力を一回使えたわよ? シールドブレイクで手札も増えたし」
「《ガウル》の不確定さを考えると、《ハンゾウ》はまだ握っておきたい。こっちもギリギリだからな」
「いざとなればブロッカー除去にもなるしね。とりあえず抱えておいていいと思うわ」
「うーん、私は使った方がいいと思うけど……まあ、二人が言うなら。これ、美琴のカードだしね」
「やっぱりそうなの……って、なんで名前?」
「えっと、いいかな? 《勝利のガイアール・カイザー》と《ベル・ヘル・デ・ガウル》でバトルだよ」
「あぁ、うん。こっちの負けね」
 破壊される《ベル・ヘル・デ・ガウル》。とりあえず、最低限の目的は達した。
 龍解によって戦線も拡大し、一騎たちは決して小さくないフィールドアドバンテージを稼ぐことができたと言えるだろう。
「うぅん、これはまずいわね……とりあえずドローで」
 一騎たちの場には《アマテ・ラジアル》《グレンモルト》《ブラック・ガンヴィート》《勝利のガイアール・カイザー》《ガイバーン》と、かなりクリーチャーが並んできた。
 そろそろ防戦も終わり、一転攻勢して反撃に出てくる可能性がある。
 その反撃が怖いところではあるが、
「おっと、またね。いい引き」
「ぶちょーさん……」
「なに、大丈夫よ。今度は上手く使うから、私に任せなさいな。マナチャージなし。6マナで《龍覇 サソリス》を召喚よ」
「っ、また《サソリス》か……!」
「《サソリス》に《ジュダイナ》を装備。そして、《ジュダイナ》の効果発動! 1ターンに1度だけ、マナからドラゴンを召喚するわ」
 再び現れた《サソリス》。そして、先ほども恐れていた《ジュダイナ》の効果。それを、沙弓はこのタイミングで解き放つ。
「さぁ、殺戮の時間よ! マナゾーンから《凶英雄 ツミトバツ》を召喚!」
 残りのマナをすべて使い切り、マナゾーンから呼び出されるのは、《凶英雄 ツミトバツ》。
 マナ武装で全体除去を放つ凶悪な英雄のクリーチャーだが、そのマナ武装の条件は7と厳しい。
 しかし、今の沙弓たちのマナには、黒いカードが七枚以上見えていた。
「マナ武装7達成! 相手クリーチャーすべてのパワーをマイナス7000よ!」
「これはきつい……場が半壊したね……!」
 残ったのは《ガイバーン》のみ。他のクリーチャーはすべて、パワーが0以下になって死んでしまった。
 これで沙弓たちはターンを終える。
 展開した場をボロボロにされ、《サソリス》と《ツミトバツ》という新たなアタッカー。さらに、再び襲い掛かる《ジュダイナ》の恐怖。場に《ツミトバツ》という進化元がいるので、《ドルバロムD》を召喚する準備は整っている。
「《アパッチ・ヒャッホー》をチャージ……7マナタップ」
 一騎は静かにマナゾーンのカードを七枚倒す。
 そこにある、赤く染まったカードの枚数を数えながら。
「《次元龍覇 グレンモルト「覇」》を召喚!」
「!」
「ここで《グレンモルト「覇」》かよ……!」
「マナ武装も……達成、されちゃってますね……」
「さらに呪文だよ。《英雄奥義 バーニング・銀河》で、コスト5以下の《ジュダイナ》を破壊。マナ武装7を達成してるから、《ツミトバツ》も破壊だ!」
 《バーニング・銀河》で場のクリーチャーも破壊され、沙弓たちにはいよいよもって厳しい状況に。
「《グレンモルト「覇」》で攻撃! その時、マナ武装7発動! 超次元ゾーンからコスト6以下のカードを呼び出す!」
 沙弓たちは、そもそも闇のカードの割合が多かったので、あまり意識せずとも《ツミトバツ》のマナ武装が達成できるだけのマナを溜めることができた。
 しかし一騎たちはそうはいかない。が、それでも一騎は、ある程度意識して、マナゾーンに火のカードを溜めていた。
 《ロイヤル・アイラ》《マッカラン・ボナパルト》《龍王武陣》《バーニング・銀河》そして《グレンモルト「覇」》。
 一騎の擁する、マナ武装によって大幅に強化されるカードが、いつ手元に来てもいいように、準備していたのだ。
 さらに《グレンモルト「覇」》のマナ武装は、超次元ゾーンからコスト6以下の“カード”を呼び出す。
 つまり、サイキックも呼べるのだ。
「いつもならドラグハートしか呼ばないけど、今は皆のサイキックがある! 防御も考えて、打点を集めるよ! 呼ぶのはコスト6《舞姫の覚醒者ユリア・マティーナ》だ!」
「恐れていた《グレンモルト「覇」》が来ちゃったわね……」
「しかも、面倒くさいブロッカーを引き連れて、な」
 超次元ゾーンがいつも以上に拡張されているため、出せるカードの幅も大きく広がっている。膨大な超次元ゾーンを扱いこなせるのは、恐らくこのクリーチャーぐらいなものだろう。通常なら枠に収まらないだろう《ユリア・マティーナ》が、バトルゾーンに現れた。
「そのままWブレイク!」
「トリガーは……ないわね」
「続けて《ガイバーン》で攻撃! 《ガイバーン》よりパワーの低い《サソリス》を破壊するよ!」
「こっちもトリガーなし……」
「ターン終了だよ」
 シールドをすべて砕いて、ターンを終える一騎。
 そこに、ふと浬が口を出す。
「……さっきの、《ガイハート》出した方が良くなかったですか?」
「うん、俺も後から思った。トリガーを怖がりすぎちゃった。完全に俺のミスだ」
「部長でもミスってするんすね」
「俺もまだまだ未熟者だからね」
 流れるように有利な展開に持って行ったが、しかし完全に一騎のプレイングミスだった。
 あそこは、有利が取れる場面ではない。勝てる場面だ。
 そのチャンスを、一騎は自ら潰してしまった。
「なんかお相手のミスで生き残った感あるけど、気にせず続けましょうか」
 どちらもノートリガーだったので、《ガイハート》を装備されていたら、龍解されてゲームセットだった。
 結果的にも、完全に命拾いしたことになるが、とりあえず気にせずゲームを続ける。
「まずい状況……でも、まだ負けてないのよね」
 カードを引き、手札を眺める。
 一騎たちの場には《グレンモルト「覇」》《ガイバーン》《ユリア・マティーナ》と、厳しい盤面だが、まだなんとかなりそうだ。
「《ホネンビー》を召喚。山札を三枚墓地に置いて、墓地の《クロスファイア》を回収よ。G・ゼロで《クロスファイア》を召喚!」
 まずはブロッカーを出し、《クロスファイア》を回収しつつアタッカーを展開。
 次に盤面の処理にかかる。
「さらに《超次元ロマノフ・ホール》! クリーチャーを一体選んで破壊してもらうわ」
「なら……《ガイバーン》を破壊するよ」
「次に超次元ゾーンからクリーチャーを呼べる……《時空の凶兵ブラック・ガンヴィート》。タップ状態の《グレンモルト「覇」》を破壊よ」
 《ガイバーン》《グレンモルト「覇」》と立て続けのクリーチャーを処理される一騎たち。こうなってくると、正直、苦しい。
「ここは……攻撃しない方がいいかしら?」
「いや、殴る場面だろ。《ユリア・マティーナ》も殴れるんだぞ」
「あぁ、そういえばそうだったわね。防御札というイメージが強くて失念してたわ……じゃあ、攻撃よ。《クロスファイア》でダイレクトアタック!」
「《ユリア・マティーナ》でブロック! 《ユリア・マティーナ》がブロックした時、シールドを一枚追加するよ」
 場のクリーチャーはいなくなったが、代わりにシールドが増えた。
 とはいえ沙弓たちの場には、《ホネンビー》《クロスファイア》《ブラック・ガンヴィート》と、ブロッカーに加えアタッカーも揃えてきているので、やはり苦しいことに変わりはないが。
 残りシールド一枚。耐え凌ぐならブロッカーを出すかアタッカーを潰す。もしくは、決着をつけるなら相手のブロッカーを潰してアタッカーを呼ぶ。
 この場合、どちらが正解か。一騎はカードを引いてから、選択する。
「《エビデゴラス》で二枚ドロー」
 カードを引き、一騎は目を見開く。
「! いいカードを引いた。夢谷君」
「自分っすか?」
「うん。まずは1マナ。《反撃の城 ギャラクシー・ファルコン》を要塞化!」
「っ、ここで城……!」
 《クロスファイア》で殴ったことが裏目に出た。まさか、このタイミングで城が出てくるとは、予想外だ。
 ここで出てくるなら、ハンターだろう。ハンターを使うのは八だけだ。彼が使うハンターで、この状況を打開するカードというと——

「突破口を切り開くよ! 《鋼龍 クシャルダオラ》!」