二次創作小説(紙ほか)

番外編 合同合宿1日目 「花園へ至る道の防衛線14」 ( No.435 )
日時: 2016/08/24 14:24
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: ugLLkdYi)

「マナチャージして6マナタップ! 《爆竜 バトラッシュ・ナックル》を召喚!」
 《バクアドルガン》に続き、次はコスト6の《バトラッシュ・ナックル》。暁は順調にクリーチャーを展開していく。
「《バトラッシュ・ナックル》の能力でバトルができるけど……一騎さんの場にクリーチャーはいないから、使えないね」
 普段の暁なら、相手クリーチャーがいない時に、能力が不発する《バトラッシュ・ナックル》は出さないのだが、今は明確な目的がある。《バトラッシュ・ナックル》はただの打点。一騎のシールドを割るための存在だ。
「さぁ、《バクアドルガン》で攻撃だよ! その時に《バクアドルガン》の能力発動! 山札の一番上をめくるね!」
 再び山札を捲り、今度は《ミラクル・バーストショット》が捲られた。今度はドラゴンではない。
 しかも、これで暁のデッキのS・トリガーのうち一枚は、シールドに埋まっていないことが確定。貴重なトリガーの可能性が一つ消えてしまった。
 とはいえ、一騎のデッキはクリーチャーの平均パワーが高めなので、小型を一掃する《ミラクル・バーストショット》がなくとも問題はなさそうだ。より性能の高いトリガーがある可能性が出て来たと、前向きに考えることにする。
「これは山札に下に戻すよ。で、《バクアドルガン》でシールドをブレイク!」
「打点が揃ってきた、ちょっと厳しいかな……これもトリガーはないよ」
「ターン終了です!」
 これで一騎のシールドは三枚。暁の場にはWブレイカーの《バトラッシュ・ナックル》もいるので、次のターンにはシールドがすべて砕け散る。スピードアタッカーが来れば、そのままとどめを刺す打点が揃ってしまう。その状況だけは避けなくてはならない。
 一騎の場にクリーチャーはいない。殴り返しもできない盤面だが、
「俺のターン。《斬英雄 マッカラン・ボナパルト》を召喚だ!」
 そこで一騎は、前のターンに出さなかった《マッカラン・ボナパルト》を繰り出す。
 前のターンには出すつもりがまったくなかった《マッカラン・ボナパルト》だが、前のターンととこのターンには、大きな違いがある。
 《バトラッシュ・ナックル》同様、《マッカラン・ボナパルト》は登場時に強制バトルを行うクリーチャーだ。しかし、それだけではない。このクリーチャーには、《バトラッシュ・ナックル》にはない利点がある。その利点を生かすために、一騎は1ターン待ったのだ。
 このターン、一騎のマナは7マナ。つまり、
「《マッカラン・ボナパルト》の能力発動! マナ武装7でパワーを+4000! その状態で強制バトルだ! 対象は《バトラッシュ・ナックル》!」
「《バトラッシュ・ナックル》はパワー6000あるけど……」
「マナ武装7で強化された《マッカラン・ボナパルト》のパワーは7000だよ。だからバトルはこっちの勝ちだね」
 《マッカラン・ボナパルト》は素の状態でパワー3000しかないため、強制バトルでも《バクアドルガン》を倒せない。しかしマナ武装を達成すれば、パワーは7000。《バトラッシュ・ナックル》でも倒せるようになる。
 ひとまず二打点持つ《バトラッシュ・ナックル》は破壊できた。《バクアドルガン》は残ってしまったが、《バクアドルガン》殴ってきたら《マッカラン・ボナパルト》が殴り返すので、軽々しく殴れないだろう。
「ついでに《爆熱血 ロイヤル・アイラ》も召喚しておくよ。マナ武装3で手札の《ウインドアックス》を捨てて二枚ドロー。これで俺のターンは終了だよ」
「うー、《バトラッシュ・ナックル》がやられちゃったのは、ちょっときついかも。それに《マッカラン・ボナパルト》も厄介だし……とりあえずドロー」
 困ったような表情を見せる暁。打点を削られただけでなく、殴り返し要員の《マッカラ・ボナパルト》が辛いようだ。マナ武装を達成している《マッカラン・ボナパルト》は、地味に厄介だ。それなりに高いパワーを持ち、おまけのガードマンも備えているため、殴り返しと、相手からの殴り返し防止、さらにWブレイカーという打点にもなるという、多くの役割を持てるクリーチャー。シナジーは淡白で地味だが、無視できる存在ではない。
 しかし、
「! ……ふっふっふ」
「?」
 暁はカードを引くや否や、不敵な笑みを浮かべる。
 明らかにこの状況を覆すようなカードを引いた様子だが、なにが出てくるのか。
「ごめんね一騎さん! 私の勝ちだよ!」
 そう高らかに宣言すると、マナを溜める。
 そして、7マナすべてを支払い、現れた——

「《怒英雄 ガイムソウ》を召喚!」

 ——火文明の擁する、英雄の一体が。
「《ガイムソウ》のマナ武装7! 手札から火のクリーチャーをタダ出しするよ!」
「ここで《ガイムソウ》か……嫌なパターンが見事に来たけど、なにが出るのか……」
 暁のデッキで怖いクリーチャーと言えば、強制バトルとロックをかける《龍世界 ドラゴ大王》や、二回攻撃、火力を放つ《勝利天帝 Gメビウス》などだ。
(あとは《グレンモルト「爆」》も怖いよね……《バトライ閣》を建てられるとドラゴンを連打されるし、既に《ガイムソウ》が出てるから、一体でも踏み倒されたら《バトライ武神》に龍解しちゃう……)
 しかしここで勝ちを宣言するということは、恐らく運任せな展開などではなく、三打点以上のクリーチャーだ。スピードアタッカーの有無は《ガイムソウ》の前では関係ないので、とにかく打点があればいい。しかし暁のデッキで、Tブレイカー以上を持つクリーチャーは、それほど多くないはず。精々、さきほど挙げた二体くらいだ。
 そう思いながら現れたのは——

「さぁ、出て来て——《撃英雄 ガイゲンスイ》!」

 ——二体目の英雄だった。



 現れたのは、光以外の呪文では選ばれない《ラ・ローゼ・ブルエ》に、ドラグナーの《エバーローズ》。
 《ラ・ローゼ・ブルエ》は自分のドラゴンの攻撃、ブロックをトリガーにシールドを増やす。浬が削ったシールドも、すぐに回復されかねない。
 しかしそれ以上にまずいのが《エバーローズ》。そして、《エバーローズ》が装備した《パーフェクト》だ。破壊以外の除去を受け付けなくなるので、これで浬は《エバーローズ》を殴り返し以外の方法で処理することができなくなった。しかも、もたもたしているとさらに展開され、《パーフェクト》が龍解してしまう。そうなると除去耐性を得た光のドラゴン軍団を止められず、踏み潰されるだけだ。
 手遅れになる前に、対処しなければ。
「俺のターン。まずは《Q.E.D.+》の能力で、山札の上から五枚を見て、その中の一枚をトップに固定、残りはボトムへ送還。その後ドロー、そして通常ドローだ」
 疑似的なサーチ&ドローで、手札の質、量の両方を充実させていく浬。
 恋は《ヘブンズ・ゲート》から強力な光ブロッカーをガンガン踏み倒してくる。こちらの除去はバウンスしかないので、一体一体除去していては埒が明かない。
 そうなると、攻めるならば手数で。そして、短期決戦を目指す。
 いつもの浬とは、違うスタイルになる。
「《アクア特攻兵 デコイ》を召喚、続けて《龍覇 M・A・S》を召喚だ! バウンスはせず、《真理銃 エビデンス》を装備! 一枚ドロー!」
 《デコイ》で味方クリーチャーを守りつつ、さらにドラグハートを呼び出す。この時点では、水のカードの使用枚数は二枚だが、
「俺の場に水のドラグナーがいるため、G・ゼロで《龍素力学の特異点》を唱える! 二枚引き、一枚を山札の下に」
 これで三枚。《エビデンス》の龍解条件も満たした。
 次は攻撃だ。
「行くぞ! 《Q.E.D.+》でWブレイク!」
「ブロックはできない……受けるしか……でも」
 《Q.E.D.+》のアンブロッカブル付与により、恋は浬の攻撃を防御できない。
 しかし、恋の防御は、なにもブロッカーだけではないのだ。
「S・トリガー発動……《記憶の精霊龍 ソウルガルド》」
「《ソウルガルド》だと……?」
 浬は最初の《エメラルーダ》で《ヘブンズ・ゲート》を仕込んだと考え、一撃目を《エメラルーダ》で入れ替えたシールドに向けたが、そこから飛び出るトリガーは《ソウルガルド》。マナ武装5を達成しているため、S・トリガーで現れる。
「《デコイ》しか選べない……シールドへ」
「コスト5以下のカードが、そもそもこいつだけだからな」
 浬のデッキは、始動が遅めな分、場に展開されるクリーチャーは比較的コストが高めであることが多いため、コスト指定の除去を受けにくくなっている。
 もっとも、《ソウルガルド》はフォートレス状態の《エビデゴラス》を場から離すことのできる光の貴重な除去カードなので、危ないところではあったが。
 しかし、それも乗り切った。
「このままシールドは貰っていくぞ! 《デカルトQ》も攻撃だ! Wブレイク!」
 この攻撃も、《Q.E.D.+》の能力でブロック不可能。甘んじて受け、恋のシールドはすべて砕かれるが、
「ん……S・トリガー」
「またか……! 今度はなんだ?」
 《ヘブンズ・ゲート》だとまずいかもしれないと思いつつ、放たれたのは——

「呪文……《ドラゴンズ・サイン》」

 ——龍を呼び出す刻印だった。