二次創作小説(紙ほか)
- 番外編 合同合宿1日目 「花園へ至る道の防衛線17」 ( No.438 )
- 日時: 2016/08/25 00:49
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: ugLLkdYi)
「うぅ、出ちゃったよ、《ガイギンガ》……!」
二度目の攻撃が成功し、《ガイハート》は《ガイギンガ》へと龍解する。いよいよ、暁は追い込まれてしまった。
「あんまり意味はないけど、一応使うよ。《ガイギンガ》が龍解した時の能力で、《ガイムソウ》を破壊だ!」
どうせ手札に《ガイゲンスイ》を握られているが、とりあえず《ガイムソウ》を破壊する。
一騎は《ガイギンガ》へと龍解を果たせたわけだが、しかしまだ気は抜けない。残るアタッカーは《ガイギンガ》と《ロイヤル・アイラ》。暁のシールドは二枚。つまり、とどめは《ロイヤル・アイラ》が刺すことになる。《ガイギンガ》の攻撃でトリガーが出て、《ロイヤル・アイラ》が破壊されれば、それで一騎の負けなのだ。
「これが最後の攻撃か……《ガイギンガ》で攻撃だ! Wブレイク!」
「トリガー……ない」
一枚目のシールドからは、トリガーは出ない。
「もう一枚……!」
そして、二枚目のシールドからは、
「やった、S・トリガー!」
「《天守閣 龍王武陣》! 山札の上から五枚を見るよ! その中にある火のクリーチャー以下のパワーを持つ相手クリーチャーを破壊する!」
「くっ、引かれてしまったか……!」
飛び出たS・トリガーは《天守閣 龍王武陣》。奇しくも、一騎が助けられたトリガーは、一騎を苦しめることになった。
《天守閣 龍王武陣》は不安定、不確定な火力除去だが、暁のデッキは強力なドラゴンが多い。パワー2000の《ロイヤル・アイラ》程度なら、簡単に焼かれてしまう。
もはや、ほとんど一騎の負けだった。
「山札を五枚、めくっていくよ!」
そして、暁は山札を捲る。
一枚目《ミラクル・バーストショット》
二枚目《英雄奥義 バーニング・銀河》
三枚目《勝負だ!チャージャー》
四枚目《イフリート・ハンド》
五枚目《コッコ・ルピア》
「……あれ?」
おかしい、と言いたげに首を傾げる暁。
捲った五枚のカードを、穴が開くのではないかというくらい、ジッと見つめる。しかし、いくら見てもカードの内容は変わらない。
暁が捲ったカードの中身はほとんど呪文。唯一のクリーチャーは、パワー1000の《コッコ・ルピア》。これでは、パワー2000の《ロイヤル・アイラ》を倒せない。
「マナ武装5で《コッコ・ルピア》を手札に……」
「……なんかよくわからないけど、火力は届かなかったみたいだね」
「うー! こんなことってある!? 五枚もめくったのに、ほとんど呪文だなんて!」
喚く暁。しかし、実際にそんな不幸が訪れてしまったのだから仕方ない。
「じゃあ、これで終わりだ!」
暁の不運によって、幸運にも攻撃手が減らなかった一騎。暁のシールドはもう存在しない。
この一撃で、勝利だ。
「《爆熱血 ロイヤル・アイラ》で、ダイレクトアタック!」
《Q.E.D.+》を種に起動した《ヒラメキ・プログラム》から現れたのは、《甲型龍帝式 キリコ3》。
浬の持つ、最大の砲塔だ。その力は、今まで幾人もの相手に、幾度と見せつけてきた。
「……やっぱり……芸がない……」
「なら、その芸のなさに負けるお前はなんなんだろうな」
《サイクロペディア》を進化元に、《キリコ3》をバトルゾーンに出る。能力で十枚以上に膨れ上がった浬の手札をすべて山札に戻してシャッフルする。デッキ枚数も残り少なかったので、山札回復のような感覚もあった。
呪文が三枚見えるまで、山札が捲られていく。唱えられる可能性のある呪文はすべて把握している。その中から、必要な呪文が出て来る可能性は、決して低くない。
まず間違いなく、捲られるはずだ。
「呪文……一枚目《英雄奥義 スパイラル・ハリケーン》だ」
「私の光のドラゴンは《エバーラスト》に守られる……効かない」
「知っている。捲れたから使うだけだ。次、二枚目……ちっ、こっちか。《スペルブック・チャージャー》」
浬は捲られた二枚目を見て、小さく舌打ちする。役割としては目的のカードと似た効果だが、この呪文ではない。
必要なカードは来ていない。捲れる呪文は残り一枚。果たして、捲れるか。
「最後、三枚目……《超次元エナジー・ホール》」
これで三枚捲られた。
これらの呪文全ての効果を解決する。
「まずは《スパイラル・ハリケーン》の効果で《エバーローズ》をバウンス、マナ武装7達成で、他のクリーチャーもすべてバウンスだ」
しかし光のドラゴンは動かない。横の小型ブロッカーを吹き飛ばす。
「次に《スペルブック・チャージャー》。山札を五枚見て、《スパイラル・ハリケーン》を手札に。チャージャーはマナへ」
とりあえず適当な呪文を手札に加えたが、関係ない。
次で最後だ。
「最後に《エナジー・ホール》。カードを一枚ドローし、《勝利のリュウセイ・カイザー》をバトルゾーンに」
カードを引きつつサイキック・クリーチャーを展開。《勝利のリュウセイ・カイザー》も、実は水のドラゴン。《Q.E.D.+》でアンブロッカブルになる。
そう——《Q.E.D.+》だ。
「このドローが、このターンの俺の五枚目のドローだ! 《エビデゴラス》の龍解条件成立!」
「……っ」
浬が求めていたのは、除去でもサーチでもない、ドロースペルだ。
一度龍回避した《Q.E.D.+》を、再龍解させるためのカードが必要だった。
「……もしかして、《サイクロペディア》で二枚だけ引いたのって……」
「すべてはこのためだな」
《エビデゴラス》の龍解条件は、ターン中にカードを五枚引くこと。正確には、カードをドローしたとき、そのドローが“そのターンに引く五枚目のカード”だった時に、龍解する。つまり、五枚以上引いても、六枚目では龍解しないのだ。このあたりは、三度目の攻撃では龍解できない《ガイハート》の龍解条件と通じるところがある。
《サイクロペディア》を出した時、浬の《Q.E.D.+》はまだ龍回避していなかったので、あそこで三枚ドローしてしまうと、ターン最初のドロー、追加ドローを含め、五枚のドローとなってしまい、このターンに龍解はできなかった。だから、浬はドロー枚数を減らして、《キリコ3》でドロースペルを捲ることに賭けたのだ。
「少し冷や冷やしたが、ほぼ問題は解決できたな。《エビデゴラス》を龍解! 《最終龍理 Q.E.D.+》!」
これで浬の場には、Tブレイカーの《キリコ3》と、フリーズから解き放たれた《Q.E.D.+》が並ぶ。
打点は揃った。ブロッカーは関係ない。
「ついでに、保健をかけておくか。《アクア特攻兵 デコイ》を召喚」
先ほどの《エナジー・ホール》でたまたま引けたのだろう《デコイ》を場に出し、浬は決着をつけるために、攻める。
「行くぞ! 《キリコ3》でTブレイク! 《Q.E.D.+》の能力で、俺の水のドラゴンはアンブロッカブル! ブロックはさせないからな」
「トリガーは……《聖歌の聖堂ゾディアック》……」
いきなり一枚目からトリガーを踏んでしまうが、捲られたのは《ゾディアック》。
「スパーク呪文が怖いところだったが、《ゾディアック》なら問題ない」
対象を取らないことが多いスパーク系の呪文と異なり、《ゾディアック》は三体のクリーチャーを指定しなくてはならない。つまり、選ぶのだ。
対象を選ぶ効果であれば、マナ武装が働いた《デコイ》がすべて引き寄せてくれる。特に問題なく、次のシールドを叩き割った。
「二枚目……ない。三枚目……S・トリガー」
「またかよ……!」
トリガーで返すことの多い恋だが、それにしてもよくトリガーしている。
ここでスパーク呪文が捲られたら相当まずいが、しかし、トリガーしたのは別の呪文だった。
「……《ヘブンズ・ゲート》」
「っ、来るか……!」
なんとなく覚悟はしていたが、本当に来るとは思わなかった。
手札の光ブロッカーをなんでも踏み倒せる天国の門。ここで出てくるカード次第では、浬の攻勢も止められてしまうが、
「……《オリオティス》と《エバーローズ》をバトルゾーンに……《エバーローズ》に《ジャベレオン》を装備……《オリオティス》が出たから、《ヴァルハラナイツ》の能力で……」
出てきたのは、《オリオティス》と《エバーローズ》。
《エバーローズ》は特に意味のなさそうなウエポンを装備し、《オリオティス》は《ヴァルハラナイツ》の能力をトリガーさせるが、
「……《デコイ》をフリーズ」
対象を取る能力は、すべて《デコイ》へと誘導される。《デコイ》を除去しなければ、その誘導は消えない。
フリーズで動きを止める恋では、そのフリーズすらも《デコイ》に無力化されてしまい、肝心のアタッカーを止めることができないでいた。
「……安心した。《シール・ド・レイユ》でも出されてたら、終わってたな」
「むぅ……」
これで恋のシールドはゼロ。ブロッカーは考えなくてもいい。
決着だ。
「《Q.E.D.+》で、ダイレクトアタック!」