二次創作小説(紙ほか)
- 番外編 合同合宿2日目 「慈悲なき遊戯は豊潤が全て5」 ( No.449 )
- 日時: 2016/08/30 06:50
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: ugLLkdYi)
無双竜機ボルバルザーク VR 火/自然文明 (7)
クリーチャー:アーマード・ドラゴン/アース・ドラゴン 6000
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、他のパワー6000のクリーチャーをすべて破壊する。その後、このターンの後にもう一度自分のターンを行う。そのターンの終わりに、自分はゲームに負ける。
スピードアタッカー
W・ブレイカー
※プレミアム殿堂
《バルガゲイザー》の能力で現れたのは、《無双竜機ボルバルザーク》。
デュエマの環境の一世代を築いた、強力で凶悪なドラゴンだ。
「《無双竜機ボルバルザーク》がバトルゾーンに出た時、パワー6000のクリーチャーを破壊するが、これは不発。だがもう一つの能力は発動だ!」
かのクリーチャーが強力で、凶悪で、恐れられ、疎まれ、愛され、禁じられた理由。
それが、この力だ。
「このターンの終わりに、あたしはエクストラターンを得る!」
登場しただけで、追加のターンを得る能力。
元祖のエクストラターン持ちのクリーチャーは、《聖剣炎獣バーレスク》。アーマード・ワイバーンというマイナー種族の進化クリーチャー、コストは9と重く、相手プレイヤーを攻撃してブロックされなかった時のみ追加ターンを得られる条件、そして極めつけにはターン終了時に手札へと戻る能力と、非常に使いづらい。逆に言えば、エクストラターンとは、それほどがんじがらめに縛りつけるほどに巨大なアドバンテージになるのだ。
他のエクストラターンを得るクリーチャーでは、コスト10と《バーレスク》より重く、攻撃時のガチンコ・ジャッジで勝たなくてはならないという条件がある《勝利宣言 鬼丸「覇」》。山札の上から三枚を捲り、デッキに何枚も積めないフェニックスが捲れた数だけエクストラターンを得られる《ザ・ユニバース・ゲート》。相手に選ばれなければ発動しない《熱血星龍 ガイギンガ》などがあるが、どれも簡単に追加ターンを得ることはできない。
しかし《無双竜機ボルバルザーク》は、登場しただけで、無条件に追加のターンを得られる。この能力がどれほど凶悪かは、それらと比較すればよく分かるだろう。
だが勿論、それだけではない。エクストラターンは無条件だが、その代償もまた、大きい
「次もシェリーのターン……だけど、そのターンの終わりに、シェリーは負ける……」
「どう足掻いても次がラストターンだな」
これが、《無双竜機ボルバルザーク》が禁じられた、裏の理由。
強力な能力の代償が大き過ぎるのだ。出れば問答無用でエクストラターン、攻めきれなければ問答無用で敗北。
このクリーチャーが出た瞬間に、どちらに転ぼうとも決着がついてしまう。強制的にゲームを終了させる特異性も、禁止となる要因だったと言われている。
他にも、一世代の環境を、このクリーチャーが主軸となったデッキだけで独占してしまい、《ボルバルザーク》に勝つために《ボルバルザーク》を使う、というような光景は当たり前だったとされる。
そんな、ある種デュエル・マスターズのゲーム性を崩しかねないカードだったが、アニメ、漫画などの各種メディアでも取り上げられ、人気のあるクリーチャーであることも確かだ。今でも根強いファンは残っており、このクリーチャーがプレミアム殿堂入りした後も、ジョークエキスパンションなどでは再録されている。《ボルバルザーク・紫電・ドラゴン》《ボルバルザーク・エクス》などのリメイク、派生カードも出ており、《ボルバルザーク》の名を後世に伝えた始祖でもあるのだ。
環境において暴れていた時でも、時の流れと共に、非常に多くのデッキタイプを確立しており、盛行具合の異常性を示すとともに、常に使われ、好まれ、研究され続けた証左でもある。
それだけ、このクリーチャーは強くあり、そして愛されたカードなのである。
兎にも角にも、ミシェルは《ボルバルザーク》の登場によってエクストラターンを確定させた。沙弓のシールドは残り四枚。ミシェルの場には、《バルガゲイザー》二体と《ボルバルザーク》。エクストラターンを考慮すれば、単純計算で打点が二倍。このターンに殴れるクリーチャーは、残り《ボルバルザーク》のみだが、次のターンにとどめは刺せるが、
「打点は揃ってるけど、トリガー次第では逆転されちゃうね」
「とはいえ、四天寺先輩には手札がありませんから、殴るしかないと思いますけど……」
「大正解だ! 《ボルバルザーク》でWブレイク!」
手札がない、そしてこのデッキは連ドラ、ステロイドのビートダウン。
次のターンの終わりには負けが確定しているのだ。ごちゃごちゃ考えるより、殴るほかない。
「くっ……S・トリガー発動よ! 《アクア・サーファー》を召喚! 《バルガゲイザー》をバウンス!」
砕かれた二枚のシールドから、《アクア・サーファー》が飛び出る。二体の《バルガゲイザー》のうち一体を処理したが、まだもう一体残っている。打点は削り切れていない。
これでミシェルの殴れるクリーチャーはいなくなった。彼女のこのターンは終わりだが、
「ターン終了……そして、もう一度あたしのターンだ!」
再び、彼女のターンがやって来る。
「まずはドロー」
「手札がないのが救いだけど、さて、なにが出るかしらね……」
このターン、マナチャージしても7マナ。見ているカードから推察するに、《フレミングジェット・ドラゴン》などのスピードアタッカーが怖いところだが、一番恐ろしい可能性は《インフィニティ・ドラゴン》だ。アタッカーを除去しなければ耐えられない沙弓は、トリガーを祈るしかない。しかし除去トリガーが引けても、《インフィニティ・ドラゴン》はその除去を無力化する。運が絡むので出されたら完全に詰みではないが、まず負けると思っていいだろう。
「……《バルガゲイザー》をチャージ。7マナをタップ」
「う、嫌な予感……」
「《インフィニティ・刃隠・ドラゴン》を召喚」
「あ、そっちなのね」
《インフィニティ》違いだった。《バルガゲイザー》よりは仕事をする可能性はあるだろうが。
「さて、後がなくなったところで、《サーファー》踏まないことを祈って殴るか・《ボルバルザーク》でWブレイク!」
《ボルバルザーク》が沙弓のシールドを二枚、砕く。これで沙弓のシールドはゼロだ。
一枚目のシールドに、トリガーはない。
だが、しかし、
「……S・トリガー! 《支配からの開放》よ! 手札の《ゼッツー》を捨てて、パワー6000以下の《バルガゲイザー》を破壊!」
「ちぃ! 運のいい奴め……!」
最後のシールドから捲られたのは、手札一枚を犠牲にして6000火力を放つトリガー呪文、《支配からの開放》。
ギリギリのところで、除去系のS・トリガーを引き当てた沙弓だが、《アクア・サーファー》や《スパイラル・ゲート》でなかったことが悔やまれる。
なぜなら、
「これでミッシェル先輩のアタッカーはいなくなったっす!」
「いいや、まだだ! 《刃隠・ドラゴン》の能力で、あたしのドラゴンは破壊されても転生できる!」
《インフィニティ・刃隠・ドラゴン》は、自分のドラゴンが破壊された時、山札を捲ることができる。そして、捲ったカードがコスト7以下のドラゴン、またはサムライであれば、そのままバトルゾーンに出せるのだ。
《インフィニティ・ドラゴン》のように不死のドラゴン軍団を築くことはできないが、死したドラゴンを転生し、新たな戦力とする可能性を秘めている《刃隠・ドラゴン》でも、この状況を切り抜ける可能性が残っている。
その可能性を祈って、ミシェルはカードを引く。
「……引いたぞ」
そして、捲られたのは、
「コスト6——《フレミングジェット・ドラゴン》だ!」
《刃隠・ドラゴン》の転生対象となる、スピードアタッカーのドラゴンだった。
これで沙弓は、《バルガゲイザー》の除去分が帳消しにされてしまった。
「……終わったわね」
《フレミングジェット》はスピードアタッカー。
《バルガゲイザー》を止めても、後続が出て来てしまえば、どうにもならない。シールドはゼロ。手札にシノビもなかった。
「《フレミングジェット・ドラゴン》で、ダイレクトアタック!」