二次創作小説(紙ほか)
- 番外編 合同合宿2日目 「慈悲なき遊戯は豊潤が全て11」 ( No.455 )
- 日時: 2016/09/01 13:09
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: ugLLkdYi)
『DM Pauper』ルール
・このレギュレーションは構築にのみ制限をかける。その制限は以下の通りである。
・レアリティがコモンのカードのみ使用可能。
・レアリティがコモンであれば、殿堂レギュレーションによる制限を受けない。
・最新のレアリティがコモンでなくても、一度でもコモンとして収録されたことのあるカードは使用可能。
「私の先攻ね。《フラスコビーカ》をチャージ。ターン終了」
暁と美琴の対戦は、美琴の先攻で始まった。
美琴はビートダウンだと思われる暁の攻撃を止めるために、S・トリガーを多くデッキに積んだ。そのため、色の合わないトリガーもいくつか入っており、そういったカードは手札に来たらマナに置くしかない。素出ししても旨みはないだろう《フラスコビーカ》がマナに埋まる。
「私のターン。《死神ハンド》をチャージ」
そして、暁のターン。
彼女は、静かにマナを溜め、そして、
「……やっと、らしい動きができそうだよ」
「?」
「1マナタップ」
柵を振り切ったような、解放感に満ちた表情で、クリーチャーを繰り出す。
「《闇戦士ザビ・クロー》を召喚!」
「っ、速攻で来るのね……!」
ビートダウンという読みは恐らく正解だ。しかし、1コストクリーチャーから殴り始めるほど早いとは思わなかった。
しかし、相手の攻撃速度が少々気がかりだが、攻撃的なデッキであることに変わりはない。ならば大量に投入したS・トリガーが仕事するはず。計画に変更はない。
「自分の組んだデッキじゃなかったし、今まで全然デッキの使い方が分からなかったけど、こうすればなにをすればいいのかすぐわかる。とにかく殴るよ! ターン終了!」
「速度で負けないようにしないと……私のターン。《ティンクル》をチャージして、2マナで《ジャスミン》を召喚! すぐに破壊して、マナを追加!」
「ガンガン攻めるよ! 《ビッグ・パルサー》をチャージして、2マナで《爆獣博士 メテオ》を召喚! 《ザビ・クロー》でシールドをブレイクだよ!」
「《フェアリー・ライフ》をチャージ。4マナで《ライフプラン・チャージャー》! 山札の上から五枚を見る。その中から《ジオブリード》を手札に加えて、チャージャーをマナへ。ターン終了」
「まだまだぁ! 《ボーン・アミーゴ》召喚! 《メテオ》でシールドブレイク!」
「S・トリガー《死亡遊戯》よ! 相手のパワー1000以下のクリーチャー、《ザビ・クロー》を破壊!」
とにかく攻撃する暁に対し、トリガーで受けつつ、マナを伸ばしていく美琴。既にかなり受けに回っていた。
「《デーモン・ハンド》をチャージして《緑神龍ジオブリード》を召喚! バトルゾーンの最もパワーの低いクリーチャーをマナに送る! 《メテオ》をマナへ!」
「《ボーン・スライム》をチャージ! 3マナで《不退転の遺志 チョイノリ》を召喚! さらに2マナ、《ダッシュ・リピート》! これで《チョイノリ》をスピードアタッカーに!」
「攻め手が休まる気配がないわね……しかも、《ダッシュ・リピート》か……」
《ダッシュ・リピート》は自分のクリーチャー一体にスピードアタッカーを付与する呪文。似た効果の呪文には、次の召喚するクリーチャーのコストを下げつつスピードアタッカーを付与する《キリモミ・ヤマアラシ》、味方全体にスピードアタッカーを付与する《キリモミ・スラッシュ》などがあり、どちらもコストは1だ。
だが、2コストの《ダッシュ・リピード》には、それらよりも勝っている点が、一つだけある。それは、唱えた後に手札に戻るということ。これによって暁は、2コストを追加で払うことで、手札のクリーチャーを常にスピードアタッカーで射出できるようになった。
「唱えた《ダッシュ・リピート》は手札に戻って、《チョイノリ》でシールドをブレイク!」
「S・トリガーよ、《クレイジー・マンドレイカー》! パワー3000以下のクリーチャーの攻撃をストップ!」
《ボーン・アミーゴ》の攻撃を止めつつ、シールドに目を落とす美琴。残りのシールドは二枚。思った以上に、展開が早い。
《ダッシュ・リピート》が地味ながら厄介だった。手札が枯渇しているとはいえ、今の暁なら、3コスト以下のクリーチャーはすべてスピードアタッカーになる。ブロッカーを立てるなどして、早めに対処しなければ、次々とシールドが削られてしまう。
「……ちょっと、まずいかもね。《オンソク・ハリテ》をチャージ……4マナで《龍素遊戯》を唱えるわ」
しかし今の手札ではどうしようもない。なにかしらの解決策を見出すために、ドロースペルに賭ける。
《龍素遊戯》は山札の上から四枚を捲って、ドラゴン、ドラゴン以外のクリーチャー、呪文をそれぞれ手札に加える呪文。ドラゴンと呪文がそこそこ入っているこのデッキなら、二枚くらいなら普通に手札に入るはずだ。
そう思って捲った四枚は《黒鱗類 ヴィロプレトス》《霞み妖精ジャスミン》《土隠類ハコオシディーディ》《ゴースト・タッチ》。
「よしっ、《ヴィロプレトス》《ジャスミン》《ゴースト・タッチ》を手札に加えるわ」
幸運にも、最大数の三枚のカードが手に入った。しかも、その中には、この状況を打開するカードもある。
美琴は即座にあまったマナを払い、暁の一枚の手札を叩き落す。
「2マナで《ゴースト・タッチ》! その手札には落ちてもらう!」
「っ、せっかくの《ダッシュ・リピート》が……」
これで暁はクリーチャーにスピードアタッカーを付与できない。手札もゼロなので、攻めるのも苦しくなっただろう。
そして次は、盤面を掃除していく。
「《ジオブリード》で《チョイノリ》に攻撃! ブロックはどうする?」
「うー、《ボーン・アミーゴ》でブロック!」
《チョイノリ》を残して《ボーン・アミーゴ》を捨てる暁。殴ると自爆する《ボーン・アミーゴ》より、普通に殴れる《チョイノリ》を残す方がマシだと考えたのだろう。
「私のターン! チャージはなし。《漆黒の猛虎 チェイサー》を召喚! 山札の一番上を墓地へ!」
墓地に落ちたのは、《怠惰の影ウーザ・ダーリー》。闇のカードだ。
火のカードではないので、《チェイサー》のスピードアタッカーを得る条件を満たせていない。
「あぁ、違うよっ! これじゃあスピードアタッカーにならない……でも、攻撃は止めないよ! 《チョイノリ》で攻撃! シールドブレイク!」
攻めるのも苦しくなった暁だが、攻撃することをやめはしない。殴り返される覚悟で、《チョイノリ》が殴る。
これで美琴のシールドは、残り一枚。
「《黒鱗類 ヴィロプレトス》を召喚、さらに2マナで《ジャスミン》も召喚! 破壊してマナを追加よ」
少しずつだが、美琴の場もクリーチャーが揃っていく。
暁の猛攻を止め、じりじりと巻き返していく。
「《ジオブリード》で《チョイノリ》に攻撃!」
「シールド・ゴー! 《チョイノリ》は表向きでシールドになるよ!」
シールド・ゴーした時の能力は使えないが、一応、シールドが増えたアドバンテージになった。
もっともそれはおまけで、暁は殴ることしか頭にないが。
「! これだ! 墓地進化!」
手札がなくなり、山札の上を投げつけるだけとなった暁。しかしこの状況、このタイミングで、彼女は最高のカードを引く。
「このターンで決めるよ! 《死神凰ドルゲドス》!」