二次創作小説(紙ほか)
- 番外編 合同合宿2日目 「慈悲なき遊戯は豊潤が全て15」 ( No.459 )
- 日時: 2016/09/03 00:11
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: ugLLkdYi)
ソウル・アドバンテージ R 闇文明 (6)
呪文
自分のシールド1枚につき相手の手札を1枚見ないで選び、捨てさせる。
※プレミアム殿堂
『おぉぉっ!』
このカウンターの一枚で、さらに湧き上がる一同。
《ソウル・アドバンテージ》。自分のシールドの枚数に応じてハンデスする、プレミアム殿堂カード。
このカードがプレミアム殿堂たるゆえんは、《ロスト・ソウル》のようなオールハンデスに近い効果を、《ロスト・ソウル》よりも早く撃てる点だ。四、五枚のハンデスを喰らえば、普通のデッキなら手札をほぼすべて叩き落される。それが単純に《ロスト・ソウル》よりも1ターン早く襲ってくるのだ。脅威でないわけがない。
勿論、《ロスト・ソウル》に劣る面もあるし、そもそも速攻などのビートダウンには効果が薄いため、《アクアン》のように単純に膨大なアドバンテージを得られるから強いのではなく、環境の変化による規制という意味合いが強いだろう。
なんにせよ、このタイミング、この局面で、このカードチョイスは、この上なく正しい一手だ。
八のシールドは五枚。つまり、5ハンデスが浬に襲い掛かる。
「引いたカードがすべて叩き落された……!」
先ほど《アクアン》で手に入れたカードがすべて墓地に落とされ、結果的に浬は《アクアン》一体を場に残しただけとなる。手札も一枚しかない。
《ラビリオン》に攻撃を止められ、手札も少ない浬は、また足踏みすることになってしまう。
「……いや、まだだ! マナチャージはなし! 5マナで《トリプル・ブレイン》! カードを三枚ドローする!」
「《8月》をチャージ! またまた6マナで《炎槍と水剣の裁》を唱えるっす! パワー3000以下のクリーチャーをすべて破壊して、破壊した数だけドローっすよ!」
「くっ……!」
「三体破壊したから、三枚ドローっす! さらに、あまった1マナで《ブルース・ガー》を召喚っす!」
盤面をリセットされた上に、手札補充に攻撃準備。完全にペースを八に持って行かれた。
「《偽りの名 13》をチャージ! 《青銅目 ブロンズザウルス》召喚! マナを一枚追加!」
浬も負けじとクリーチャーを並べる。《ブロンズザウルス》で増えたマナは、幸運にも《ホーリー・スパーク》。単色カードなら、このターンに使えるマナが一枚増える。
「追加だ、2マナで《シャーマン・ブロッコリー》を召喚! ターン終了だ」
「《パラダイス・アロマ》をチャージっす。5マナで《デス・チェイサー》を唱えるっすよ! アンタップしている相手クリーチャーを一体破壊っす! 破壊するのは《ブロンズザウルス》!」
「除去が強いな……!」
「除去だけじゃないっす! 3マナで《エナジー・ライト》、2枚ドローっす!」
火力に始まり、ハンデスに全体除去、確定除去と、ここまで八はこちらのカードを墓地に送る行為を繰り返している。お陰で、浬は思い通りに動けない。
「さらに《ブルース・ガー》でシールドをブレイクっす!」
「遂に一枚目のシールドが破られたか……!」
ここまでコントロールのような動きを見せていた八だが、ここで殴ってきた。コントロールであれば、打点を揃えてから殴るのが吉だが、この対戦はワンデッキデュエル。引いてくるカードがコントロール向きとは限らない。むしろ、とりあえずなんでもいいから打点として並べ、殴り合うのが本質と言えるだろう。
単純な殴り合いは得意ではない。加えて先手を取られた。デッキ内容が分からないからコンボを組むこともできない。
とにかく今は、今できることをするしかなかった。
「俺のターン! 《暗黒導師ブラックルシファー》をチャージ! 4マナで《幻槍のジルコン》を召喚。カードを一枚引き、一枚捨てるぞ」
とりあえず、クリーチャーを並べる殴れないブロッカーだが、相手の追撃を防ぎつつ、手札を整えられるため、悪くないクリーチャーだ。単純な墓地肥やしとしては、もはや使われないカードだが。
「さらに2マナで《ハッピー・とラッキーの一撃》を唱える! 俺のシールドを一枚見るぞ。見るカードは決まってるがな」
《ハッピーとラッキーの一撃》は、自分のシールドを一枚見て、手札に加えられる呪文。手札に加えれば山札から一枚シールドを補填し、加えなければ一枚ドローできる。得られるアドバンテージはささやかだが、トリガーの有無など、情報アドバンテージも利用することで、よりテクニカルな使い道もある。
もっともこの場合、浬の目的はかなり単純だが。
浬はシールドを一枚選ぶ。選ぶのは、例がの裏面が赤いカードだ。
「当然、このカードは手札に加え、山札の一番上をシールドに追加する」
一枚だけ明らかにトリガーではないことを公表していたが、これでその心配もない。ただし手札になにを持っているのか、ばればれだが。
「だがそれも、ハンデスを喰らう前に出せば問題ない。《ブロッコリー》で《ブルース・ガー》に攻撃、相打ちだ。俺の《ブロッコリー》は、破壊される代わりにマナに行くがな」
一度タップすれば起き上がらない《ブルース・ガー》は放置しててもよいのだが、浬はあえて《シャーマン・ブロッコリー》と相打ちにして、マナを伸ばす。殴り手も重要だが、今はまだリソースの確保を優先する。
「ターン終了」
「自分のターンっすね。《無敵巨兵ゴーマッハV》をチャージ。2マナで《ゴースト・タッチ》っす!」
「ハンデス……!」
「それっすよ!」
狙われたのは、やはり赤いカードだった。見ないで選ぶということは、決してランダムではないということを示しながら、赤いカードは墓地に落ちていった。
「《ガルベリアス》が……! この裏面の赤さ、どうにかならないのか!」
「残念ながら無理ねぇ。まあ、フラグを立てたカイが悪いってことで」
「納得できん……!」
「さらに7マナで《ルナ・ヘドウィック》を召喚っす! カードを一枚引くっすよ!」
追加で出て来たクリーチャーは、《ルナ・ヘドウィック》。コストは高いものの、パワー3000のブロッカー、S・トリガーにキャントリップがついてあるだけの、淡白なスペックのクリーチャーだ。
とりあえずブロッカーが一体出て来たとだけ考えて、浬はカードを引く。
「ん……? 妙なカードが来たな……」
引いたカードを見て、浬は小さく反応を見せた。
「とりあえず唱えておくか。4マナで《カラフル・ダンス》」
浬が唱えるのは、《カラフル・ダンス》。五枚のマナ加速の後、マナゾーンのカードを五枚墓地に置かなくてはならない呪文。主に墓地肥やしや、コンボなどに使われる呪文で、基本的にこれ一枚ではアドバンテージは得られない。
しかし浬の手札には、これといって有用なカードもない。墓地利用するようなカードを引くかどうかも分からない。だが《カラフル・ダンス》は、墓地に置くカードをタップしたマナにすれば、ほぼノーコストで唱えられる。
だから、とりあえず、で唱えるのだが、
「山札の上から五枚をマナに置くぞ」
マナに置かれたのは《次元流の豪力》《双月怪鳥 パルプ・フィクション》《暗黒皇女アンドゥ・トロワ》《ぼくらの友情パワー!》《アクア・マスター》。
浬はマナに置かれたカードをジッと見据える。そして、なにかを決したように、マナのカードを五枚手に取った。
「……成程な。《13》《ブラックルシファー》《ブロッコリー》《ホーリー・スパーク》《パルプ・フィクション》の五枚を落とす」
手に取ったカードを墓地に落とす。そして今度は、マナに置かれた《アクア・マスター》をタップした。
「いざという時、マナにも対応できるように握り続けていたが、その甲斐はあったな。1マナで《メビウスの回廊》を唱える!」
「な、なんすか、それ?」
「この呪文は、マナゾーンから光、闇、火、自然いずれかの文明を持つカードを回収できる。回収するのは《アンドゥ・トロワ》だ。そして6マナで《暗黒皇女アンドゥ・トロワ》を召喚!」
メビウスの回廊 C 水文明 (1)
呪文
光、闇、火または自然のカードを1枚、自分のマナゾーンから手札に戻す。
暗黒皇女(あんこくおうじょ)アンドゥ・トロワ R 闇文明 (6)
クリーチャー:ダークロード 4000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、コスト1のクリーチャー、コスト2のクリーチャー、コスト3のクリーチャーをそれぞれ1体ずつ、自分の墓地からバトルゾーンに出す。
「墓地は共有だったな? そのルールを利用させてもらう。《アンドゥ・トロワ》の能力で、墓地からコスト1、2、3のクリーチャーをそれぞれ復活させる! コスト1からは《ブルース・ガー》! コスト2からは《ブロッコリー》! コスト3からは《ルキア・レックス》だ!」
「う、まずいっす……」
小型ばかりとはいえ、浬の場に、一気に四体ものクリーチャーが現れた。しかもそのうち一体は、八が召喚し、破壊された《ブルース・ガー》。
墓地が共有ということは、墓地回収やリアニメイトによって、破壊した相手のクリーチャーも使えるということ。今回は、浬がそれを利用した形だ。
「《カラフル・ダンス》から《メビウスの回廊》、そして《アンドゥ・トロワ》か。いい感じにカードが繋がってるね。流石は浬君だ」
「そう? 《アンドゥ・トロワ》がマナに落ちたのは偶然だし、たまたまじゃない?」
「でも、《メビウスの回廊》を握り続けていたのは、見事だと思うわ。私ならとっくにマナに置いてた」
「なんにせよ、墓地共有のルールが生かされたな。ハチ公は自分で出した《ブルース・ガー》を奪われて、一気に展開されたが、どう返すのか」
殴り合いが主となるこの対戦。数を展開した浬に戦況が傾いた。
しかし殴り合いにおいて重要なのは、数だけではない。殴り合いには、大きく分けて二つの方法で、場を制する術がある。
その一つが数。大量の軍団で、敵を押し潰す方法。浬が今現在取ろうとしているのが、これだ。
そして、もう一つは——
「だったらこっちはこれっすよ! 《インフェルノ・サイン》!」
「!」
「墓地からコスト7以下のクリーチャーを復活っすよ! さぁ、出るっす!」
——巨大なクリーチャーで、ねじ伏せることだ。
「——《ガルベリアス・ドラゴン》!」