二次創作小説(紙ほか)
- 番外編 合同合宿2日目 「慈悲なき遊戯は豊潤が全て20」 ( No.464 )
- 日時: 2016/09/04 13:02
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: ugLLkdYi)
幻惑の魔手ドン・マシュマロ 闇/火文明 (9)
サイキック・スーパー・クリーチャー:デスパペット/ゼノパーツ/エイリアン 6000
W・ブレイカー
リンク解除
二体のサイキック・セルがリンクし、《ドン・マシュマロ》へと覚醒する。
リンク解除を持っているとはいえ、たかだがパワー6000のWブレイカーという、準バニラ甚だしいクリーチャーだが、この程度のサイズでもバニラビートにとっては厄介な存在だ。Wブレイカー以上のパワーというだけで、処理手段が限られてしまうのだから。
「そもそも、本来は殴り返しとか考えず、ただただ殴るだけなんですけどねー……」
それができるのも、《アクア・ティーチャー》と《駱駝の御輿》のサポートあってこそなのだが、ハイランダーのせいでそのサポートも不十分だ。
正直、デッキチョイスを誤ったとしか言いようがない。手持ちのカード資産にバニラが多くとも、無理やりハイランダーでバニラビートにする必要はなかったはずだ。
「《ダンゴ・スポポン》をマナにおいて、6マナで《魔光神レオパルドⅡ世》を召喚ですっ! 山札から《ルドヴィカⅡ世》を手札に加えますっ」
加えて今度はゴッドまで現れる。《レオパルド》が相方の《ルドヴィカ》をサーチし、こちらもリンクする準備を整えていた。
「2マナで《オール・イエス》を《ドン・マシュマロ》にクロス。《スペルギア・ファントム》で《A・ザラシー》を攻撃! 能力で山札を捲ります」
捲られたのは《氷牙レオポルディーネ公》《パイレーツ・チャージャー》《聖騎士ブリュンヒルデ》。
柚は迷いなく《パイレーツ・チャージャー》を手札に加えた。
「《パイレーツ・チャージャー》を手札に加えます」
「じゃあ、《A・ザラシー》はバウンスですねー」
「え……あ……は、はい……攻撃先のクリーチャーがいなくなったので、攻撃は中止です。ターン終了です……」
失敗した、と言うように暗い表情を見せる柚。大きな失敗というわけではないが、ちょっとしたミスだ。
《スペルギア・ファントム》は呪文を手札に加えることで、相手クリーチャーをバウンスする。この時、呪文を手札に加えなければバウンスできないのは当然だが、逆に、呪文を手札に加えたならば、絶対にバウンスしなければならないのだ。
その点を、彼女は失念していたようだ。
どちらにせよ空護のクリーチャーは一掃されてしまったわけだが。
「……もうちょっと早く来てれば、また違ったのかもしれないんですけどねー……《A・ザラシー》をチャージして、《ノウメン》を召喚。ターン終了」
手札もなく、場も空。空護にできることは、手札のクリーチャーを場に置くだけ。
バニラの中でも特にパワーの高いクリーチャー、《ノウメン》。確かにもっと早く来ていれば、殴り返しが楽になったかもしれないが、今更そんなことを言っても意味はない。
「わたしのターンっ。《ドクロスカル》を進化! 《黒騎士ザールフェルドⅡ世》!」
「おぉぅ、そのクリーチャーですかー……」
ウエポンがなくなり、パワー2000の貧弱なバニラと化していた《ドクロスカル》が、いきなり《ザールフェルド》へと進化する。《ザールフェルド》はナイト進化ゆえに、ファンキー・ナイトメアの《ドクロスカル》も進化元になる。
この時点で柚の場には、《スペルギア・ファントム》《フランツ》《ドン・マシュマロ》《レオパルド》《ザールフェルド》。合計七打点。とどめを刺すには十分な戦力だが、
(……ダイレクトアタックはできますけど、S・トリガーがありそうです……手札には《ルドヴィカ》もいますし……)
柚は七打点では、少々不安なようだった。ジャストの打点よりも少し上回っている程度だと、捲れるトリガーの順番次第では、一枚でも耐えられかねない。
盤面は既に制圧している。ブロッカーもいて、手札にはカードも揃っている。
ならばと、柚は手札のカードを一枚取った。
「《爆熱 BAGOOON ミサイル》を唱えます。多色クリーチャーはいますけど、使う効果は一つだけです。《ノウメン》をタップします。《ザールフェルドⅡ世》で《ノウメン》を攻撃です」
バウンスはせず、タップキルで《ノウメン》を破壊する柚。
そして、
「ターン終了です」
ターンを終えた。
「攻撃しなくていいんですねー?」
「は、はい」
「じゃあ、僕のターン」
盤面の制圧だけで柚はターンを終えた。柚はより確実に倒すために時間を置いたわけだが、空護からすれば1ターンの余裕ができたとも言える。
とはいえ手札もなにもない空護が、この1ターンでできることなど、たかが知れているが。
ただただ、トップのカードを投げつけるだけだ。それも、ほとんどがバニラ。
「……ま、ナイスタイミング、ということで」
ただし。
投げつけられるカードは、一枚のバニラとは限らない。
「マナチャージなし、7マナタップ」
バニラビートの強さは、圧倒的物量にある。一体一体はただの打点でしかなくとも、相手が対応しきれないほどの数を並べることで、人海戦術で押し潰すのだ。
それは本来《アクア・ティーチャー》による手札補充、《駱駝の御輿》によるコスト軽減、この二つによって実現される。尽きないリソースから低燃費で射出するためのサポートが必須。
しかしそれは、浬の考えた正規ルート。
それとは別の裏ルートを、空護は作っていた。
《アクア・ティーチャー》も《駱駝の御輿》もいらない。たった一枚で、バニラビートが目指すものが完成する。
代わりに、祈りが必要だ。
烏合の衆であろうと、雑兵の軍であろうと、仲間を集めるための、祈りが——
「——《神聖祈 パーロック》」